移動式オフグリッド拠点が登場 電力・通信・入浴を提供
ベストカレンダー編集部
2025年12月11日 12:03
移動式災害拠点提供
開催日:12月11日
巨大地震警戒下に示された“移動できる”民間の災害支援モデル
2025年12月11日付の発表によると、群馬県前橋市を拠点とする蒼穹株式会社(THE W Relax Garden Resort 運営、代表取締役:友澤敏朗)は、災害時に被災地へ派遣可能な移動式オフグリッド・トレーラーハウスの提供体制を整えたと公表した。発表は同日08時53分に行われている。
背景には、8日午後11時15分ごろに青森県八戸市で発生した最大震度6強の地震があり、これを受けて気象庁は9日未明に令和4年の運用開始以来初めてとなる「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発出している。こうした地震リスクの高まりを踏まえ、同社は電力・通信・衛生・休息環境をセットで提供できる移動可能な災害拠点を提示した。
搭載技術と設備構成:電力・通信・衛生・温熱ケアを自己完結
トレーラーハウスは車両ナンバー取得済みで牽引により被災地へ直接搬送できる点がまず特長である。現地での使用状況に応じて上水・下水・プロパンガスに接続できるほか、下水や電気などは脱着可能な設計を採用している。
主要な搭載設備は以下のとおりで、災害現場での自己完結運用を想定している。
- 6kW 太陽光発電パネル(屋根搭載):昼間に発電し、蓄電池へ蓄えることで停電時にも電力を供給。
- TESLA Powerwall 蓄電池:発表資料にはTESLA Powerwallのほか、同資料内に13kW蓄電池の記載もあり、常時蓄電を行う仕様。
- Starlink 衛星通信:地上通信インフラが途絶した場合でも上空衛星からインターネット接続を確保。災害利用を想定してパスワード不要で誰でも接続できる設定とされている。
- 上水・下水・プロパンガス接続:被災地のインフラ状況に応じ、トイレ・シャワー・給湯・洗面を提供可能。下水は脱着可能。
- サウナ(特許出願中):サウナ×岩盤浴×スチームを同時空間で実現する日本初の3機能同時サウナを搭載。
電力系の想定稼働機能と利点
蓄電と太陽光の組み合わせにより、停電時でも生活に直結する機能を維持できることが強調されている。屋内・屋外に多数のコンセントを設置しており、スマートフォン充電やノートPCの利用などが可能だ。
具体的な稼働例としては次の機器類が挙げられている。
- スマホ充電(屋内・屋外のコンセント)
- シャワー、給湯
- 照明、扇風機、ポンプ類
- Wi-Fi 機器(Starlinkによるインターネット接続)
夜間や悪天候時でも運用できる設計が取られており、災害時に生じがちな“電力難民”問題に対する緩和効果が期待される。
通信・衛生・燃料の確保方式
Starlink による衛星通信は、地上回線が破壊された状況でも上空衛星経由でインターネット接続を提供できる点が最大の利点だ。THE Wの設定では、災害対応時に接続障壁を下げるためにパスワード不要での接続が可能とされている。
衛生面では上水接続によりトイレや洗面、シャワー、給湯が使用でき、プロパンガス接続により調理や給湯の補助が可能である。下水は脱着可能な仕様で現場のインフラ状況に柔軟に対応する。
特許出願中の「サウナ×岩盤浴×スチーム」と運用実績
本トレーラーハウスが備えるサウナ設備は「サウナ(高温)」「岩盤浴(中温・遠赤外線)」「スチーム(高湿)」の三機能をひとつの空間で同時に提供できる点を売りとしており、現在特許出願中である。
各機能の用途は次のとおり整理されている。
- サウナ(高温)
- 短時間でしっかり発汗したい人向け。身体の代謝促進や発汗によるリフレッシュが可能。
- 岩盤浴(中温・遠赤外線)
- 高温が苦手な人や高齢者にも使いやすい温熱環境を提供し、長時間の温熱療法が行える。
- スチーム(高湿)
- 乾燥した肌や喉に潤いを与え、呼吸器や皮膚の保護、疲労回復やストレス軽減に資する。
避難者の身体状況や年齢はさまざまであり、単一の温熱環境では対応しきれないケースがある。3機能同時の設備は、ひとつの設備で多様なニーズに応えることを目的として設計されている。
また、平時における運用実績が確保されている点も特色である。THE W Relax Garden Resort は前橋市で完全貸切のグランピング施設として日常的にトレーラーハウスを稼働させており、普段から運用されているため災害時に“部品が動かない”といった問題が起きにくいと説明されている。
配備・派遣・連携体制と問い合わせ先
蒼穹株式会社はこの移動式災害拠点について、被災地派遣は要請ベースでの受け入れを基本とし、企業・自治体との連携協定や同仕様トレーラーハウスの製作(OEM)について随時相談を受け付ける体制を整えている。
発表資料では、視察やOEM相談、グランピング予約に関する連絡先を明記している。代表者のコメントとしては「災害時に本当に役立つ設備とは、平時から動かしている設備だけです」としており、平時の運用実績に基づく信頼性を強調している。
- 運営会社:蒼穹株式会社(THE W Relax Garden Resort 運営)
- 代表取締役:友澤 敏朗
- 発表日時:2025年12月11日 08時53分
- 所在地(現地運用):群馬県前橋市
- 問い合わせ(メール):contact@thew.jp
- 施設HP:https://thew.jp/
- グランピング予約(完全貸切):https://reservation-thew.jp/
- 災害用トレーラーハウス視察・OEM相談:https://thew.jp/contact/
まとめ:仕様と連絡先を一覧化
以下の表は本プレスリリースで示されたトレーラーハウスの主要仕様、機能、運用・連絡窓口を整理したものである。概要を一目で把握できるようまとめている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年12月11日 08:53 |
| 発表者 | 蒼穹株式会社(THE W Relax Garden Resort 運営) 代表取締役:友澤 敏朗 |
| 背景 | 12月8日午後11時15分ごろの青森県八戸市の地震(最大震度6強)と、気象庁による「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の発出 |
| 車両 | 車両ナンバー取得済み、牽引による被災地直送が可能 |
| 電力 | 6kW 屋根搭載太陽光パネル + TESLA Powerwall(資料内に13kW蓄電池の記載あり)、多数の屋内外コンセント |
| 通信 | Starlink 衛星通信(パスワード不要設定で誰でも接続可) |
| 衛生・給湯 | 上水・下水(脱着可能)・プロパンガス接続によりトイレ・シャワー・給湯・洗面を提供 |
| 温熱ケア | 特許出願中の「サウナ×岩盤浴×スチーム」3機能同時サウナを搭載 |
| 平時運用 | 前橋市で完全貸切グランピングとして日常的に稼働中(実運用実績あり) |
| 派遣・連携 | 被災地派遣(要請ベース)、企業・自治体との連携協定、同仕様のOEM製作相談受け付け |
| 問い合わせ先 | メール:contact@thew.jp / HP:https://thew.jp/ |
本稿では、発表資料に記載された全ての主要事項を整理して掲載した。災害発生時に電力・通信・衛生・温熱ケアをセットで提供する移動式の拠点として、平時から稼働する実装と連携・OEMの受け入れ方針が明確に示されている点が特徴である。