高級EC向け不正検知『ASUKA』をアクルが提供開始

ASUKA提供開始

開催日:12月11日

ASUKA提供開始
ASUKAって何ができるの?
ASUKAは取引情報や属性、行動分析、配送先照合などをリアルタイムでスコアリングして不正の兆候を検知・自動判定する不正検知・認証システムで、決済前制御や自動キャンセルで損失と運用工数を削減します。
Shopifyを使ってるサイトなら誰でも導入できるの?
Shopifyアプリとしてインストールと設定で導入可能だが、チェックアウト時に決済進行を制御する事前判定機能はShopify Plus利用事業者に限定される点に注意が必要です。

高級時計を扱うECに導入された不正検知・認証システム「ASUKA」

クレジットカード決済の不正利用対策ソリューションを提供する株式会社アクルは、ワールド通商株式会社が運営する高級商材を扱うECサイトに対して、不正検知・認証システムASUKAの提供を開始しました。発表は2025年12月11日11時00分に行われています。

本導入は、既存のEMV 3-Dセキュアによる本人認証に加え、巧妙化する不正手口へ対応し、購入体験の質を損なわずに不正リスクを低減することを目的としています。ASUKAは取引情報や属性情報をもとにリアルタイムで変化するデータを参照し、不正の兆候を検知してカード認証を自動で行うシステムです。

アクル、ワールド通商株式会社が運営する高級商材ECサイトに不正検知・認証システム「ASUKA」の提供を開始。 画像 2

背景にある市場動向と規制

近年、クレジットカード不正利用の被害は増加傾向にあります。日本クレジット協会の発表によれば、2024年のクレジットカード不正利用被害金額は513億円に達しました。こうした状況を受けて、経済産業省は2025年3月に「クレジットカード・セキュリティガイドライン」を公表し、ECサイトを運営するカード加盟店に対して適切なセキュリティ対策の実施を求めています。

カード加盟店には取引のあらゆる段階に対応できる予防的な不正対策が求められており、EMV 3-Dセキュアのみならず、複数の対策を組み合わせて導入することが推奨されています。とりわけ高級商材を扱うオンラインストアでは、決済のスムーズさを保ちながら不正対策を行う点が重要です。

アクル、ワールド通商株式会社が運営する高級商材ECサイトに不正検知・認証システム「ASUKA」の提供を開始。 画像 3

ASUKAの技術的特徴と導入効果

ASUKAは取引データ、属性データ、行動分析、配送先照合などを組み合わせて総合的に不正を判定するシステムです。これにより、第三者不正利用やクレジットマスター、大量アタックといった脅威に対応します。

同システムは物販ECに限らず旅行商材やサービス商材を含む45,000サイト以上のカード加盟店で導入実績があり、既に300社以上の事業者に採用されています。導入により不正注文の早期検知、決済前の制御、決済手数料や配送料の無駄を削減する効果が期待できます。

主な機能と技術要素

ASUKAが提供する主要機能は以下のとおりです。これらを組み合わせて各ECのリスクプロファイルに応じた対策が可能です。

  • リアルタイム判定:取引中の情報を即時にスコアリングし、判断を下す。
  • 属性行動分析:ユーザーの行動パターンを分析し、普段と異なる挙動を検出。
  • 不正配送先住所照合:配送先情報と蓄積データを突合し、不正配送先を検出する機能の強化。
  • EMV 3-Dセキュアとの連携:本人認証サービスと組み合わせることで検知精度を向上。
  • 多決済対応:クレジットカード以外に後払い決済や各種Pay系決済の不正対策にも対応。

ネットワーク効果と運用支援

ASUKAは国内最大級の不正排除ネットワークを持ち、他のEC事業者のブラックデータや不正パターンをリアルタイムに更新・参照できます。このネットワーク効果により個別サイトのみの観測では見えにくい不正行為も検出しやすくなります。

さらに、アクルは専任担当者による分析サポートを提供します。導入後はEC運営担当者が個別に不正者を分析する必要がなく、繁忙期やセール時の一時的な強化・緩和にも対応可能です。

Shopifyアプリ化による導入の簡便さと制約

2025年よりASUKAはShopifyアプリとして提供を開始しました。これによりShopifyを利用する事業者は、アプリをインストールして簡単な設定を行うだけでASUKAの導入を始められるようになっています。

ただし、チェックアウト時の事前制御機能に関してはShopify Plus利用事業者に限定されます。チェックアウト時に判定を行い決済処理に進ませない制御が可能になることで、不正注文を未然に防ぎ、決済手数料や配送料等の損失を抑えることができます。

導入によるコスト削減メカニズム

不正が発生すると、事業者側は商品代金の実損に加え、決済手数料や配送料、目視チェックやキャンセル対応といった運用工数が発生します。ASUKAを通じたチェックアウト時の判定と自動キャンセル機能により、これらのコストを削減できます。

また、クレジットカード以外の決済手段に対するスコアリング強化と不正配送先チェック機能のアップデートにより、後払い決済や各種Pay系決済における不正対策も可能です。

ワールド通商の導入意図と運営体制

ワールド通商株式会社はラグジュアリー領域における商品流通やブランド展開を手がける輸入商社で、直営店舗に加え複数のオンラインブティックを運営しています。多様化する決済環境に対応するため、安全性と顧客体験の両立を図る一環としてASUKAを導入しました。

高級商材を扱うECサイトでは、決済のスムーズさや顧客のブランド体験を損なわない対策が重要であり、ワールド通商はASUKAの導入を通じてより良いセキュリティ運用体制を構築します。運営サイトの詳細は公式サイトで確認できます。

ワールド通商株式会社 本社
東京都中央区銀座5-11-14 ポスコ東京ビル
事業内容
ラグジュアリー領域における商品流通およびブランド展開を手がける輸入商社
公式サイト
https://www.wccweb.jp
株式会社アクル 本社
東京都港区三田2-7-13 TDS三田ビル 6階
代表取締役社長
近藤 修
事業内容
クレジットカード不正対策ソリューション、チャージバック保証、集客支援サービス 他
サービス情報
ASUKA サービスページ: https://akuru-inc.com/service/asuka/
資料請求
https://akuru-inc.com/download/pamphlet/

導入に関する留意点

ASUKAによる事前制御はShopify Plus利用時に提供される機能である点を導入検討時の重要な留意点として挙げる必要があります。また、既存のEMV 3-Dセキュアのみでは承認率低下のリスクがあり、ASUKAのような外部ネットワークを活用した不正対策と組み合わせることで、売上損失を抑えつつ不正対策の効果を高められます。

導入後は専任担当者による分析レポートや運用支援が提供され、繁忙期やセール時の一時的な対応強化・緩和も可能です。

要点の整理

ここまでに示したASUKAの導入内容、技術的な特徴、Shopifyアプリ化による利点、ワールド通商の導入背景と会社概要を下表に整理します。

項目 内容
発表日時 2025年12月11日 11時00分
提供開始企業 株式会社アクル(本社:東京都港区 三田2-7-13 TDS三田ビル 6階、代表取締役社長 近藤 修)
導入先 ワールド通商株式会社が運営する高級商材を扱うECサイト(本社:東京都中央区銀座5-11-14 ポスコ東京ビル)
サービス名 ASUKA(不正検知・認証システム)
Shopifyアプリ化 2025年より提供開始。アプリのインストールと簡単な設定で導入可能。チェックアウト事前制御はShopify Plus限定。
ネットワーク規模 既に300社以上、約45,000サイト以上で利用
主な機能 リアルタイム判定、属性行動分析、不正配送先照合、EMV 3-Dセキュア連携、多決済対応
導入効果 不正検知の向上、決済承認率の維持、運用工数とコストの削減、異なる決済手段への対応
関連リンク ASUKA サービス: https://akuru-inc.com/service/asuka/ 、 資料請求: https://akuru-inc.com/download/pamphlet/ 、 ワールド通商: https://www.wccweb.jp

本件は、高級商材を扱うEC運営において重要な不正対策の一例であり、決済の安全性と顧客体験の両立を図るための技術的アプローチと運用支援の組み合わせが示されています。導入にあたっては、Shopifyの利用形態や運用フローに応じた機能の適用範囲を確認することが求められます。