OcNOS導入でewwが400G IPoDWDMバックボーンへ
ベストカレンダー編集部
2025年12月11日 17:47
400Gバックボーン導入
開催日:12月11日
アルプス地域の帯域需要に応えるオープンネットワーキングへの転換
2025年12月11日付の発表によると、オーストリアの付加価値サービスプロバイダーであるeww ITandTELは、IP InfusionのネットワークOS「OcNOS®-SP-PLUS」を採用して既存のMPLSバックボーンをアップグレードしました。本稼働により、既存の100G環境から将来を見据えた400G IPoDWDM(IP over DWDM)対応のアーキテクチャへと強化されています。
発表はACCESSを通じて日本時間で2025年12月11日 15時00分に行われています。今回の取り組みは、30年以上にわたるデータセンター運用と広範なファイバーインフラを持つeww ITandTELが、コスト最適化とスケーラビリティ確保を目的にレガシー機器からオープンネットワーキングへと移行した結果です。
背景と課題
eww ITandTELは多数の顧客に対して高信頼・高性能なネットワークサービスを提供してきましたが、従来のシャーシ型ハードウェアによるベンダーロックインや機能拡張の制約により、コストと拡張性の面で課題を抱えていました。顧客ニーズの増加と帯域要求の高まりに対し、柔軟かつコスト効率の高い基盤が求められていました。
そこで同社は、ハードウェアとソフトウェアを分離するディスアグリゲーション型のオープンネットワーキングモデルを採用し、400G ZR+対応のコヒーレントトランシーバーを利用するマルチベンダー構成に移行しました。
- 対象企業: eww ITandTEL(オーストリア)
- 主な狙い: 帯域強化(100G → 400G)、コスト効率の向上、ベンダーロックイン回避
- 導入日時: 発表 2025年12月11日
導入した技術とシステム構成の詳細
アップグレードされたバックボーンは、IP InfusionのネットワークOS「OcNOS®-SP-PLUS」を中心に構成されています。物理プラットフォームはホワイトボックス型スイッチを採用しており、UfiSpaceとEdgecore Networksの各製品が組み合わされています。
具体的には、以下のプラットフォームでOcNOSが稼働します。これによりハードウェアとソフトウェアを分離し、マルチベンダー環境での柔軟な運用が可能となっています。
- UfiSpace
- モデル: S9600-56DX、S9510-28DC
- Edgecore Networks
- モデル: AS7946-30XB
IPoDWDMとコヒーレントトランシーバー
今回のアーキテクチャはIPoDWDM(IP over DWDM)を採用し、400G ZR+対応のコヒーレントトランシーバーを基盤にしています。これにより長距離伝送における帯域効率が向上し、同一ファイバー上での容量増強が実現されます。
OcNOSはネットワークの制御・可視化・運用効率に寄与するソフトウェア機能を提供し、オープンネットワーキングによりマルチベンダー機器の統合運用が容易になります。
利点と運用面での注目点
eww ITandTELのネットワーク/システムエンジニアチーム責任者であるChristoph Ehmayer氏は、今回の移行に関して「信頼性と性能はお客様にとって妥協できない要素であり、そのことが当社のあらゆるアーキテクチャ選択の原動力となっています。オープンな『OcNOS』駆動型400G IPoDWDMバックボーンへの移行により、サービスの安定性と需要への対応に必要な制御、可視性、運用効率が得られます」とコメントしています。
またネットワーク/データセンター責任者のRoland Neumayr氏は「今回のアップグレードは、大容量で、独立性があり、長期的成長を見据えた、地域で最も優れたデジタルインフラを提供するという当社の取り組みの一環です。オープンネットワーキングを採用することで、お客様はより高速で、戦略的に将来を見据えたネットワークのメリットを享受できるようになります」と述べています。
運用面のキーポイント
運用時の注目点として、以下が挙げられます。
- 制御・可視性の強化: OcNOSが提供する運用ツールにより、トラフィックの監視と障害対応が改善される。
- ベンダーロックイン回避: ディスアグリゲーションによりハードウェア選定の自由度が高まる。
- コスト最適化: ホワイトボックス採用とマルチベンダーによる競争原理でTCO削減が見込まれる。
- スケーラビリティ: 100G環境から400G ZR+へ対応可能な基盤で将来需要に備える。
パートナーシップと関係企業の役割
今回のアップグレードにあたり、付加価値ディストリビューター兼システムインテグレーターとしてEPS Globalが重要な役割を担いました。EPS Globalはグローバルな流通ネットワーク、テクニカルサービス、サプライチェーン物流により、必要なすべてのコンポーネントの調達、構成、納期管理を実現しました。
IP Infusionの最高経営責任者(CEO)Tom Savoieは、本件について「eww ITandTELは、先進的な地域プロバイダーがオープンネットワーキングを採用することで競争に打ち勝つ方法を示す好例です。ソフトウェアとハードウェアを分離することで、より堅牢で運用コストが低く、将来のニーズにも柔軟に対応できるネットワークを構築できるようになります。オーストリアにおいて、独立系で信頼性の高いデータサービスを提供するという同社の使命を支援できることを誇りに思います」と述べています。
各社の概要
発表文に含まれる各社の説明は次のとおりです。
- IP Infusion: キャリア、サービスプロバイダー、データセンター向けのオープンネットワーキング・ソフトウェアソリューションを開発。主力プラットフォームはOcNOS®。米カリフォルニア州サンタクララに本社。株式会社ACCESSの100%出資子会社。
- eww ITandTEL: 高性能ネットワーク、インターネットサービス、データセンターハウジング等のオーストリア製エンドツーエンドITサービスを提供。ISO/IEC 27001、EN 50600の認証を取得したデータセンターを保持し、ヨーロッパの主要インターネットハブに直接接続するバックボーンを運用。
- ACCESS: 東証プライム(4813)上場。1984年設立の独立系ソフトウェア企業で、モバイルやネットワークソフトウェア技術を軸に国際展開中。
関連リンクとして、ACCESSの公式サイトが発表に併記されています: https://www.access-company.com/
要点整理と本件の意義
本章では記事中で取り上げた主要な事実を表形式で整理します。以下の
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2025年12月11日(ACCESS発表、15時00分) |
| 導入主体 | eww ITandTEL(オーストリア) |
| ソフトウェア | IP Infusion: OcNOS®-SP-PLUS |
| ハードウェア(稼働プラットフォーム) | UfiSpace(S9600-56DX、S9510-28DC)、Edgecore Networks(AS7946-30XB) |
| ネットワーク技術 | IPoDWDM、400G ZR+対応コヒーレントトランシーバー |
| 目的 | 100Gから400Gへ帯域強化、コスト効率化、ベンダーロックイン回避 |
| 主な利点 | 可視性と運用効率の向上、スケーラビリティ、TCO削減 |
| パートナー | EPS Global(ディストリビューター/SI) |
| 関連企業情報 | IP InfusionはACCESSの100%出資子会社。ACCESS公式: https://www.access-company.com/ |
本件は、地域プロバイダーがオープンネットワーキングとディスアグリゲーションを活用して、既存のインフラからスムーズに高帯域かつコスト効率の良い基盤へと移行した事例として位置付けられます。導入されたOcNOSを中核とするソフトウェア駆動型のアプローチは、運用の可視化・制御性向上と機器選定の柔軟性確保を両立させる点で、同地域のネットワークインフラの競争力向上に寄与すると考えられます。
最後に、発表文中に記載されている商標表記についてもここで確認します。ACCESSおよびACCESSロゴは株式会社ACCESSの登録商標または商標であり、IP Infusion、IP Infusionロゴ、OcNOSはIP Infusion Inc.の商標または登録商標です。その他文中の会社名および商品名は各社の登録商標または商標として扱われます。
参考リンク: