BSCで可視化した有隣堂の2025年ベスト
ベストカレンダー編集部
2025年12月11日 19:04
有隣堂2025年ベスト発表
開催日:12月11日
地域とデータが示した2025年の購買像 ― BSCが可視化した変化
株式会社有隣堂は、2025年の販売実績を基にした年間ベストセラーランキングを発表しました。本ランキングは、自社開発の店舗運営システム「Book Store Central(BSC)」による販売データを集計して作成されており、店舗ごとの売上動向や商品トレンドをリアルタイムに把握したうえでの分析結果です。BSCの導入は単なる業務効率化にとどまらず、顧客ニーズに沿った商品展開や独自の販売施策の立案に貢献しています。
本稿では、集計の対象・期間やランキングの上位傾向、ZINEコーナーの存在感、そして公式YouTubeチャンネルとの連動施策による成果まで、プレスリリースで示されたすべての情報を整理して提示します。集計期間や対象カテゴリなどの基礎情報も明記しますので、ランキング結果の意味合いを正確に把握できます。
集計対象と期間の詳細
有隣堂が発表したランキングは、対象や集計期間が明確になっています。解析基盤としてのBSCにより、店舗ごとの販売数を正確に把握し、ランキングに反映しています。
- 調査主体
- 株式会社有隣堂(自社調べ)
- 集計期間(書籍ランキング)
- 2024年12月1日~2025年11月30日
- 集計期間(ZINEランキング/新横浜店)
- 2025年5月17日~2025年11月26日(ZINEは取り扱い開始日が5月17日)
- 対象範囲
- 有隣堂全店:雑誌・文庫・コミックを除く書籍販売数上位ランキング、有隣堂 キュービックプラザ新横浜店:ZINE販売数上位ランキング、YouTube:「有隣堂しか知らない世界」R.B.ブッコローグッズ販売数上位ランキング
BSC導入による影響とデータ活用
BSCの導入により、各店舗での売れ筋や時間帯別の動向、商品カテゴリ別の増減などが詳細に把握可能になりました。これにより、在庫配分やフェアの告知、YouTube連動の即売会など、タイムリーな販売施策を行いやすくなっています。
- リアルタイムの販売データに基づく迅速な商品補充と売場最適化。
- 地域性の高い商品(ZINEやご当地本など)を含むローカル需要の可視化。
- 公式メディア(YouTube)との連動企画の販売効果可視化と改善。
有隣堂全店の書籍ベストセラー2025 ― 定番シリーズと学び直し志向の台頭
2025年の年間書籍販売数で第1位に輝いたのは、鈴木のりたけ氏による『大ピンチずかん 3』(小学館)でした。同シリーズは昨年の『大ピンチずかん 2』が4位に入るなど継続的な支持を受けており、親子で楽しめる教養コンテンツとしての地位を確立しています。
書籍ランキングの上位には、実用・学習分野の書籍が安定した需要を見せています。語学試験対策や資産形成、科学的な習慣づくりを扱った書籍がランクインしており、「学び直し」や「生活改善」を目指す読者の姿勢が反映されています。
ランキング上位の主な作品と出版社(抜粋)
以下は有隣堂全店の2025年間書籍ベストセラーの主要ランクとその出版社情報です。集計期間は2024年12月1日~2025年11月30日です。
- 第1位:『大ピンチずかん 3』(鈴木のりたけ/小学館)
- 第2位:『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』(朝日新聞出版)
- 第4位:『本当の自由を手に入れるお金の大学 改訂版』(朝日新聞出版)
- 第8位:『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)
- 第9位:『会社四季報業界地図 2026年版』(東洋経済新報社)
これらの結果は、シリーズものの継続的な強さ、資格・スキル取得の需要、資産形成関連の安定した関心を示すものです。特に実用書・学習書の上位入りは、読者の自己投資意欲が高いことを意味しています。
YouTube連動の即売企画がもたらした販売効果
とくに注目すべき事例として、『会社四季報業界地図 2026年版』(東洋経済新報社)のランクインがあります。この書籍は、公式YouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」で実施したライブ販売企画(2025年8月14日)との連動が大きく寄与しました。
ライブ販売企画では、同書の限定特典付き3,000冊をオンライン即売会で販売し、販売はわずか14分で完売しました。この事例は、書籍の販売が単なる店頭流通に留まらず、メディアでの告知やライブの即売といった新たな購買導線によって拡大する様相を示しています。
新横浜店のZINEコーナーが映す地域性と創作意欲
有隣堂 キュービックプラザ新横浜店は、2025年5月17日にZINEの取り扱いを開始し、関東圏で同社最大規模のZINE常設展開店舗となりました。この店のZINEベストセラーランキング(集計期間:2025年5月17日~2025年11月26日)は、地域性の強さとZINEならではの創作志向を如実に示しています。
新横浜店のランキング上位には、地元・横浜に深く根ざしたテーマを扱ったZINEが複数入っており、地域コンテンツが高い支持を得ている点が特徴です。同店はZINEを単なる販売物ではなく、創作・発表の契機となる場として機能していることが示されました。
ZINEランキングの傾向と主なタイトル
新横浜店のZINEランキングでは、1位に『自分でやってみる人のための校正のたね』(サワラギ校正部)が入りました。これはZINE制作を志す人々が自身の作品をより良く仕上げるための実用的な手引きとして受け取られています。また、7位には『おてあげ第1号』(困ってる人文編集者の会)がランクインしており、編集者やデザイナー、書店員らの現場の声を集めた内容が評価されました。
興味深いことに、2位から4位は横浜の老舗弁当メーカー・株式会社崎陽軒のシウマイ弁当をテーマにしたZINEが占めました。代表的なタイトルとして『食べ方図説 崎陽軒シウマイ弁当編』が挙げられます。これらは単なるグルメ情報を越え、地域文化や記憶を掘り下げる内容として支持を集めました。
- 1位:『自分でやってみる人のための校正のたね』(サワラギ校正部)
- 2位〜4位:崎陽軒シウマイ弁当をテーマとしたZINE群(代表例:『食べ方図説 崎陽軒シウマイ弁当編』)
- 7位:『おてあげ第1号』(困ってる人文編集者の会)
これらの傾向から、ZINEコーナーが「買う場所」であると同時に「作るきっかけを得る場所」として機能している点が読み取れます。制作に関する実用書や、地域に根差した題材が同時に受け入れられる場となっています。
公式YouTube『有隣堂しか知らない世界』とR.B.ブッコローの物販戦略
有隣堂の公式YouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」は、2025年6月30日にチャンネル開設5周年を迎えました。番組MCである「R.B.ブッコロー」に関連するグッズは約45種類を展開しており、2025年の年間集計(2024年12月1日~2025年11月30日)では、5周年記念商品が上位を占める結果となりました。
ランクインした商品の特徴は、実用性と記念性が併存している点です。コラボレーション商品や店舗との結びつきがある商品がファンの購買を喚起しています。
R.B.ブッコローグッズ上位(抜粋)
ランキングでは開設5周年に合わせて発売された新商品が3点ランクインし、そのうち上位を独占する形となりました。主な上位商品は以下の通りです。
- 第1位:『R.B.ブッコロー ブッコニカ学習帳』(ジャポニカ学習帳とのコラボレーション、撮り下ろし写真や特別ページ「R.B.ブッコローの生態」収録)
- 第2位:『R.B.ブッコロー キーチェーン付きぬいぐるみ(エプロン)』(書店員仕様のエプロンを着用した第2弾)
- 第4位:『R.B.ブッコロー 折りたたみエコバッグ』(高い実用性を有する日常使いの商品)
これらの商品の支持は、記念品としての価値と、日常的に使える実用性を両立している点に原因があります。加えて、番組と店舗との連携や限定性が購入を後押ししたと評価できます。
購買要因の整理
R.B.ブッコロー関連商品の売上を生んだ主な要因を整理すると、次のとおりです。
- 5周年などの節目に合わせた限定商品の投入と話題化。
- コラボレーション(既存のブランドや定番商品との組み合わせ)による注目度向上。
- 実用性と記念性のバランスがとれた商品設計。
- 公式YouTubeチャンネルというメディアを通じた告知・販促の迅速な実行。
まとめ(要点整理)
本稿では、有隣堂が発表した2025年の年間ベストセラーランキングの全情報を整理しました。BSCに基づく集計により、書籍(雑誌・文庫・コミック除く)、新横浜店のZINE、そしてYouTube関連グッズの各ランキングが示され、それぞれに地域性やメディア連動、実用性志向といった明確な傾向が確認されました。以下の表に主要な事実と数値、日付をまとめます。
| 項目 | 主な内容 | 集計期間 / 日付 / 備考 |
|---|---|---|
| 全店書籍ランキング(上位例) | 1位『大ピンチずかん 3』(小学館)、2位『金のフレーズ』(朝日新聞出版)、4位『お金の大学 改訂版』(朝日新聞出版)、8位『すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)、9位『会社四季報業界地図 2026年版』(東洋経済新報社) | 集計期間:2024/12/01~2025/11/30 |
| YouTube連動販売の成功事例 | 『会社四季報業界地図 2026年版』の限定特典付き3,000冊をライブ販売で14分で完売 | ライブ実施日:2025/08/14、集計期間:2024/12/01~2025/11/30 |
| 新横浜店(ZINE)ランキング | 1位『自分でやってみる人のための校正のたね』(サワラギ校正部)、2~4位に崎陽軒シウマイ弁当をテーマにしたZINE群(例:『食べ方図説 崎陽軒シウマイ弁当編』)、7位『おてあげ第1号』 | ZINE取り扱い開始:2025/05/17、集計期間:2025/05/17~2025/11/26 |
| 公式YouTube・R.B.ブッコロー商品 | チャンネル開設5周年(2025/06/30)、展開中グッズ約45種、上位:1位ブッコニカ学習帳、2位キーチェーン付きぬいぐるみ(エプロン)、4位折りたたみエコバッグ | 集計期間:2024/12/01~2025/11/30 |
| 会社情報(要旨) | 株式会社有隣堂:本社神奈川県横浜市、代表取締役社長 松信健太郎、創業115年、44店舗(神奈川・東京・千葉・兵庫・大阪)ほか複合型店舗運営や出版等 | HP:https://www.yurindo.co.jp/、年間ランキング:https://www.yurindo.co.jp/ranking/?time=year |
以上の整理から、2025年の有隣堂における書籍・ZINE・物販の各領域は、データ基盤による精度の高い分析と、地域性やメディア連動を組み合わせた施策が有効に機能した年であることが見えてきます。これらの事実を踏まえて、読者は各ランキングの背景にある要因を把握することができます。
参考リンク: