講談社、wordrabbit採用で校正効率を強化

講談社がwordrabbit導入

開催日:12月11日

講談社がwordrabbit導入
wordrabbitって何ができるの?
日本語校正に特化した国産AIで、助詞誤用や漢字の誤変換、タイプミス、文法エラー、表記揺れ、固有名詞の確認などをリアルタイムに検知し修正案を提示。国内完結で入力データは学習に使われない設計です。
講談社が導入して何が変わるの?
講談社はwordrabbitを「ごじとる」のAIバックエンドに採用し、校正精度の向上と大量原稿の処理速度アップを狙う。最終判断は人が行う運用で誤指摘の流出を防ぎつつ制作効率を高めます。

講談社が採用した国産校正AI「wordrabbit」とは何か

2025年12月11日09時29分、株式会社Remediesは、講談社が同社開発の校正支援システム「ごじとる」の文章校正エンジンのひとつとして、国産の文章校正特化型AI「wordrabbit(ワードラビット)」APIを採用したことを発表しました。本リリースは、出版現場で求められる高い日本語品質をAIで支援する取り組みを明確に示すものです。

発表によれば、wordrabbitは汎用の大規模言語モデル(LLM)では到達が難しいとされる出版レベルの校正品質に特化して独自に開発された国産モデルであり、採用によって講談社の校正支援の品質向上と生産性改善を図ると説明されています。ここでは、wordrabbitの仕組み、選定理由、講談社側の意図、そしてRemediesの企業情報まで、本リリースに記載された情報を漏れなく整理して伝えます。

wordrabbitの技術的特徴と現場での役割

wordrabbitは日本語文章の校正に特化したAIモデルであり、助詞の誤用、漢字の誤変換、タイプミス、文法の誤りなど、校正で頻出する問題をリアルタイムに検知して適切な修正案を提示する機能を持ちます。国内で構築されているため、入力データを海外のLLMへ送信することなく国内環境で処理できる点が強調されています。

また、wordrabbitは大量の文章処理に対応できる設計で、出版現場で一度に数千字から数十万字に及ぶ原稿を迅速に処理する点が特徴です。さらに、機密性の高い原稿データを扱う際に重要となる「入力内容が学習に利用されない」設計が採られており、企業の情報管理要件に配慮した実装になっています。

具体的に対応する校正項目

wordrabbitが検知・提案する具体的な項目としては、助詞の誤用、漢字の誤変換、タイプミス、文法の誤りなどが明記されています。これらは出版物の品質管理で頻繁に発生する課題であり、誤植や表記揺れ、固有名詞確認などにも対応することが示されています。

対応フォーマットとしては、書籍・雑誌・ウェブメディアに加え、製造業のマニュアルや営業資料など多様な日本語文書に適用可能であるとし、PDFの校正に加えてMicrosoft WordやPowerPointの拡張機能、Chrome拡張機能にも対応して現場業務にフィットする仕様であることが記載されています。

  • 主な検知項目:助詞誤用、漢字誤変換、タイプミス、文法誤り、表記揺れ、固有名詞確認
  • 対応形式:PDF、Microsoft Word、PowerPoint、ブラウザ拡張(Chrome)
  • 運用形態:国内完結(入力内容は学習に利用されない)

講談社がwordrabbitを選定した理由と「ごじとる」との連携

講談社編集総務局 デジタル校閲部 部長の大橋日登美氏は、本発表の中で「ごじとる」は講談社校閲部の100年以上の知見をつぎ込んだシステムであり、AIのポテンシャルを組み入れることでさらに精度を高めたいと述べています。大橋氏は、一般的なAI商材は校閲業務のすべてを任せられるレベルにない点を指摘し、「間違った指摘をすること」が校閲上最大の問題になると説明しました。

その上で、大橋氏はwordrabbitについて「短所を補い互いの長所を活かせる」「設計思想が似ている」と評価しており、既存の“ごじとる”の高評価にwordrabbitを組み合わせることで校正精度のさらなる向上が可能になったと述べています。講談社はこの校正支援システムを自社が発する情報のブラッシュアップに活用すると明言しています。

選定の4つの理由

リリースには、wordrabbitが選ばれた主要な理由が4点挙げられています。これらは講談社の実務要件に照らして明確な根拠を持つものです。

  1. 高精度で安定した校正能力:編集現場に求められる品質に対応し、不必要な検知を抑えつつ同一の結果を安定して出力する能力。
  2. 迅速な処理:数千字から数十万字の大量テキストをスピーディに処理できる点。
  3. 入力内容が学習されない環境:原稿データの機密性確保のため、入力がAI学習に利用されない設計。
  4. 機能の柔軟な切り替え:校正項目を有効化・無効化して業務要件に応じて使い分けられる柔軟性。

導入効果と運用上の留意点、Remediesの背景

導入により、講談社は編集現場での品質向上と制作効率化を期待しています。出版業では誤字脱字や表記揺れ、固有名詞確認など品質維持のために多くの業務負担があり、これらは発行リードタイムに影響します。wordrabbitはこれらの校正業務を支援することで編集者がより創造的な業務に注力できる環境を作ることが狙いです。

一方で、リリースはAIの活用において「ヒューマン・イン・ザ・ループ(Human-in-the-loop)」の重要性も明記しています。AIが提案する判定や修正案に対して最終的な意思決定や確認は人間が行う仕組みを維持することで、誤った指摘がそのまま流出するリスクを抑える設計です。

ヒューマン・イン・ザ・ループ
AIによる提案に対し、人間が最終判断を行う運用。校閲業務の品質担保のためにも重要と位置づけられる。

Remediesについては、同社が「日本語×AI」に特化したスタートアップであり、国内の独自技術を基にソリューションを提供していることが紹介されています。2024年にはIVS LaunchPadのファイナリスト、2025年には東京都の「APT Women」に選定され、2025年12月からはCEO・CTOが国立国語研究所の共同研究員として参画している点も記載されています。

企業情報として、株式会社Remediesの所在地は東京都千代田区神田神保町3-2-5、代表者は福澤剛、設立は2017年7月24日、URLはhttps://remedies.jp/、問い合わせ先メールアドレスはsupport@wordrabbit.jpであることが明示されています。

まとめ:導入内容の要点整理

以下の表に、本リリースで示された導入の主要事項を整理して示します。表は導入主体、採用技術、技術的特長、選定理由、対応フォーマット、運用上の配慮、問い合わせ先を網羅しています。

項目 内容
発表日 2025年12月11日 09時29分
導入企業 株式会社講談社(校正支援システム「ごじとる」のAIバックエンドの一つとして採用)
提供・開発 株式会社Remedies(wordrabbit)
wordrabbitの特徴 日本語校正に特化、助詞誤用・漢字誤変換・タイプミス・文法誤りをリアルタイム検知、国内環境で処理、入力内容は学習に利用されない
選定理由(4点) 高精度で安定した校正能力、迅速な処理、入力が学習されない環境、機能の柔軟な切替
対応フォーマット PDF、Microsoft Word、PowerPoint、Chrome拡張など
運用上の配慮 ヒューマン・イン・ザ・ループを前提に運用、誤った指摘の抑制を重視
Remediesの情報 所在地:東京都千代田区神田神保町3-2-5/代表:福澤 剛/設立:2017年7月24日/URL:https://remedies.jp//問合せ:support@wordrabbit.jp
関連リンク https://wordrabbit.jp/、プレスリリース原文:https://wordrabbit.jp/news/145

本稿は、株式会社Remediesによる2025年12月11日付のリリースをもとに、wordrabbitの技術的特徴、講談社側の評価と選定理由、運用上のポイント、及びRemedies社の企業情報を網羅的に整理して伝えたものです。掲載した各数値・日付・連絡先はリリース原文の記載に準拠しています。

参考リンク: