福袋販売、秋〜年末に前倒し 11月検討が3割超
ベストカレンダー編集部
2025年12月12日 17:47
福袋販売早期化
開催期間:11月28日〜12月1日
福袋の“販売時期”が前倒しに─秋から年末まで広がる消費機会
くふう生活者総合研究所が実施した福袋に関する調査(調査期間:2025年11月28日〜12月1日、回答者数:5,403名)では、福袋の販売時期が従来の年始だけにとどまらず、秋から年末にかけて前倒しで販売・予約が行われる傾向が明らかになりました。調査時点で福袋を既に「購入する」と決めている人(購入済みを含む)は約1割、これから検討する「未定」が約2割という内訳になっていますが、注目すべきは購入検討の開始時期です。
販売の早期化を受けて、購入検討時期が「11月以前」であると答えた人が3割を超えました。くふうトクバイの導入企業への別調査では、7割を超える企業が年始の販促として福袋販売を予定していると回答しており、小売各社が福袋を年末にかけた販促施策として位置づけている状況が浮かび上がります。店頭での当日販売に加え、秋以降に予約・抽選での提供を開始するケースも増えています。
販売側の声:業態別に見る福袋の位置づけ
調査では、企業側から寄せられた具体的なコメントも収集しています。ドラッグストアでは「お買い物商品券付き福袋を来店促進のために販売。朝から並ぶお客様が多く、継続的に実施している企画」との声があり、スーパーマーケットでは「食品・菓子の詰合せ福袋を販売。お客様が楽しみにしている」との回答が寄せられました。
また、スポーツ用品小売からは「人気メーカーのウェア詰め合わせを販売しており、新年の購買意欲は未だ残っている。企業の稼ぎどころになる」といったコメントがあり、業態によって福袋が販促や集客、ブランド訴求の手段として活用されていることが確認できます。
福袋に「入っていてほしい」ものは日常消費品が中心
福袋の中身について、生活者が「欲しい」と答えた上位は日常的に消費する品目が並びました。1位は「食料品」46.6%、2位は「割引チケット・商品引換券」45.8%、3位は「菓子・スイーツ」38.8%、4位が「消耗品・生活必需品」28.7%でした。これらの結果は、価格面での納得感と実用性を重視する消費志向を反映しています。
調査結果は、福袋を単なる“驚き”や“サプライズ”を楽しむための企画というだけでなく、日常の買い物ニーズを満たし、確実に使える商品の提供が求められている実態を示しています。割引チケットや商品引換券が高順位に入っている点は、消費者が「お得さ」を視覚的・数値的に把握できるアイテムを好む傾向を示しています。
| 順位 | 項目 | 割合 |
|---|---|---|
| 1 | 食料品 | 46.6% |
| 2 | 割引チケット・商品引換券 | 45.8% |
| 3 | 菓子・スイーツ | 38.8% |
| 4 | 消耗品・生活必需品 | 28.7% |
消費者が選ぶ“使える福袋”の背景
日用品や食料、割引券といった項目の人気は、物価高や家計管理を意識する消費者の生活行動に紐づいています。家計に占める食品や日用品の割合が高いことから、福袋においても当該カテゴリが高い支持を得るのは自然な傾向です。
この背景には、家計簿サービス「くふう Zaim」を利用するユーザー層の購買行動が影響している可能性があります。実際にくふうグループの提供サービスは30〜50代を中心とした層に利用されており、日常消費に敏感な層の声が調査に反映されている点は重要です。
価格と中身の“見える化”が重視される購入基準
福袋購入時に重視する要素については「価格」61.1%が最も高く、次いで「好きなショップ・ブランドであること」50.6%、さらに「中身がわかっていること」49.7%が挙がりました。価格の妥当性に加え、購入後に無駄にならないかを重視する傾向が顕著です。
伝統的に福袋の魅力は「中身の見えないワクワク感」にありましたが、本調査では「確実に使えるもの」「割引などのお得さが明確なもの」「事前に内容が分かる安心感」といった堅実な購買志向が強く出ています。これにより販売側も、内容の一部公開や割引チケットの同梱といった施策を取りやすくなっています。
- 価格(61.1%) — コストパフォーマンスを最優先に考える層が多い。
- 好きなショップ・ブランド(50.6%) — ブランド信頼で購入意欲が高まる。
- 中身がわかっていること(49.7%) — 使えるものかどうかの確信を求める傾向。
予算の実態:6割超が1万円未満を想定
福袋の購入予算については「5,000円〜1万円未満」が最も多く27.7%を占め、全体の6割超が「1万円未満」を想定していることが分かりました。手頃な価格帯での満足度を得たいという期待が強い点は、小売側が価格帯を細かく設定する理由の一つでもあります。
予算の分布は、販売時期の早期化と相まって年末から年始にかけた購買行動の分散化を生み、企業は予約販売や段階的な販売方法を採用することで多様な消費者ニーズに対応しています。
調査の設計とくふうカンパニーのサービス概要
本調査はテーマを「年末年始の過ごし方」と「年始の販促」に設定し、全国の家計簿サービス『くふう Zaim』利用者およびチラシ・買い物情報サービス『くふう トクバイ』利用者を対象に行われました。回答者数は5,403名、調査方法はインターネット調査です。企業側へのアンケートは『くふう トクバイ』導入企業35社を対象に2025年11月21日〜29日に実施しています。
調査からは消費者側の購入検討時期の前倒しや、購買基準の堅実化、企業側の販促計画(7割超が福袋販売を予定)といった複数の示唆が得られています。これらの知見は、販促施策や商品設計の方向性を考える上で実務的に有用です。
- くふう生活者総合研究所
- 生活者の行動データや声を分析し、生活満足度向上に資する情報発信を行う研究組織です。
- くふう トクバイ(旧:トクバイ)
- 2013年に開始したチラシ・買い物情報のWebサービス・アプリ。2025年1月時点で月間利用者は30〜50代の女性を中心に1,600万人以上。URL: https://tokubai.co.jp/
- くふう Zaim(旧:Zaim)
- 家計簿アプリ。レシート撮影による自動読み取りや銀行・カード連携による自動記録機能を備え、1,100万ダウンロードを超える実績があります。URL: https://zaim.net
- 会社情報
- 社名:株式会社くふうカンパニー(2025年1月1日付で社名変更)/本社:〒108-0073 東京都港区三田1−4−28 三田国際ビル23階/設立:2012年9月(旧:株式会社 Zaim)/主要事業:チラシ・買い物情報サービス、家計簿アプリ等の企画・開発・運営。URL: https://kufu.co.jp/company/kufucompany/
調査結果の要点を一覧で整理
以下の表に、本記事で触れた主要な調査結果と関連情報を整理しました。数値や期間、対象などの基本データを明示しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査主体 | くふう生活者総合研究所(株式会社くふうカンパニーHD) |
| 調査対象(個人) | 家計簿サービス「くふう Zaim」・チラシ・買い物情報サービス「くふう トクバイ」利用者 合計5,403名 |
| 調査期間(個人) | 2025年11月28日〜12月1日 |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 福袋購入決定者 | 購入する(購入済含む)=約1割、未定=約2割 |
| 購入検討開始時期 | 「11月以前」が3割超(販売の早期化を反映) |
| 欲しい中身 上位 | 食料品46.6%、割引チケット・商品引換券45.8%、菓子・スイーツ38.8%、消耗品28.7% |
| 購入時に重視すること | 価格61.1%、好きなショップ・ブランド50.6%、中身がわかっていること49.7% |
| 予算 | 5,000円〜1万円未満が最多(27.7%)。全体の6割超が「1万円未満」 |
| 企業側動向 | くふう トクバイ導入企業35社への調査で7割超が年始の販促に福袋販売を予定 |
| 企業所在地等 | 株式会社くふうカンパニー 本社:〒108-0073 東京都港区三田1−4−28 三田国際ビル23階 |
本調査は、福袋という季節商戦の一部が販売時期や中身の構成によってどのように変化しているかを示すものです。価格や内容の見える化を重視する消費者ニーズと、販促として福袋を活用する企業の動向が同時に存在している点が本調査の主要な示唆です。
参考リンク: