神保町3書店の2025年年間ランキングと店別の特色は?

神保町3書店年間ランキング

開催日:12月12日

神保町3書店年間ランキング
どんな本がランキング上位に入ってるの?
年間では『本なら売るほど 1巻』が全店でランクイン。話題作の『国宝』『ババヤガの夜』や、金額上位では『今日の治療薬』『TOKYO JAZZ JOINTS』『物語要素事典』など、冊数と金額で傾向が異なり店舗ごとの特色が色濃く出ています。
三省堂はいつ神保町に戻ってくるの?
三省堂書店の新本店は2026年3月19日に神保町で開業予定。これにより徒歩圏内に大型書店が3店並び、店ごとの個性を巡る楽しみが増える見込みです。

神保町の三書店が示した2025年の「違い」と「共通点」

株式会社アニメイトホールディングスが2025年12月12日12時00分に発表したリリースによると、神保町の大型書店3店(三省堂書店 神保町本店東京堂書店 神田神保町店書泉グランデ)の2025年年間ランキングが公表されました。ランキングはあえてオールジャンルで集計し、「売上冊数」「売上金額」の二軸での集計が行われています。

6月に発表された上半期ランキングでは店舗間で共通する商品は見られませんでしたが、年間集計では傾向が変化し、全店でランクインした作品が一部確認されています。発表には各店の店長からのコメントや分析も添えられており、集計結果の背景にある売り場作りやイベント施策も明示されています。

発表日
2025年12月12日 12:00(株式会社アニメイトホールディングス発表)
集計対象
三省堂書店 神保町本店/東京堂書店 神田神保町店/書泉グランデ(オールジャンル、年間)
ランキング軸
売上冊数ランキング(トップ10)および売上金額ランキング(トップ10)
2025年の総決算!本の街 神保町3書店のベストセラー発表‼1年通しても、やっぱり全く違う本が売れていました⁉ 画像 2

売上冊数ランキングと売上金額ランキングの特徴

今回の発表では、まず「売上冊数ベスト10」と「売上金額ベスト10」をそれぞれ公表しています。冊数ランキングではリーダビリティや話題性が購買につながっている一方、金額ランキングでは書籍単価や店舗施策(イベント、特典付き販売など)の影響が色濃く反映される傾向が見られました。

年間ランキングの中で注目されるポイントは、3店共通でランクインした作品や、各店ごとに独自性を示した作品が明確に分かれていることです。以下に集計結果の要点を整理します。

2025年の総決算!本の街 神保町3書店のベストセラー発表‼1年通しても、やっぱり全く違う本が売れていました⁉ 画像 3

売上冊数ベスト10の傾向

売上冊数ランキングでは、ジャンルを問わず「読みやすさ」や「話題性」が反映される結果になりました。上半期では全店共通のランクインがなかったのに対し、年間ランキングでは『本なら売るほど 1巻』が全店で共通ランクインしています。

また、映画化や受賞歴に伴う話題作が複数ランクインしており、具体的には以下のような作品が各店で上位に入っています。

  • 『本なら売るほど 1巻』(全店共通でランクイン)
  • 『国宝 上・下』(興行収入が邦画実写作品の歴代最高記録を22年ぶりに更新した影響でランクイン)
  • 『ババヤガの夜』(イギリスのダガー賞受賞作品で2店舗ランクイン)
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売上金額トップ10の傾向

売上金額ランキングは単価の高い専門書やアート系の書籍、また発売時のキャンペーンやイベント連動による影響が大きく出る結果になりました。店舗ごとの色が最も現れるランキングでもあり、ほとんどの上位が店舗間で重複していないのが特徴です。

主な注目点は次の通りです。

  1. 三省堂書店 神保町本店:金額ランキング1位に専門職向けの必携書『今日の治療薬』がランクインし、専門書ニーズの高さが示された。
  2. 東京堂書店:金額ランキング1位は『TOKYO JAZZ JOINTS』で、芸術・音楽関連の単価が高い書籍が強い。
  3. 書泉グランデ:上半期では2店舗ランクインしていた『物語要素事典』が年間では書泉グランデのみで高い金額を記録している。
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店長が語る集計結果の読み解き方と各店の具体的施策

各店の店長はそれぞれのランキングについてコメントと分析を示しています。コメントには売れ筋の理由や催事、販売施策、特典設定など、売上に影響を与えた具体的な取り組みが含まれています。以下に店長ごとの要旨を整理します。

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三省堂書店 神保町本店 店長:杉浦さんの分析

杉浦店長は冊数ランキングで文庫・コミック作品の強さを指摘しています。ベスト10のほとんどが文庫またはコミックで占められており、手軽に読める物語作品が広い読者層に支持された点を挙げています。

金額ランキングに関しては、『今日の治療薬』のような医師・薬剤師向けの専門書が上位に入り、専門書需要も堅調に推移していることを示しました。文庫では『国宝(上・下)』や本屋大賞受賞作の『成瀬は天下を取りにいく』が支持され、また「往来堂書店さん企画 おすすめ文庫」のような中身が見えない販売形態でもお客様が楽しんで受け入れてくれたことを紹介しています。

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東京堂書店 神保町店 店長:星野さんの分析

星野店長は冊数ベスト10中8点が文庫とコミックで占められている点を強調しました。文庫部門では『ババヤガの夜』『すべての、白いものたちの』『国宝』といった話題作が入っている一方、当店ではコミックが上位に入るのは珍しいことと説明しています。

その一例として、台湾出身の漫画家・高妍さんによる『隙間』は刊行記念フェア、パネル展、サイン会を実施したことが功を奏し、年間ランクインに至ったと述べています。金額ランキングでは『TOKYO JAZZ JOINTS』や『校正・校閲11の現場』『空想店構え』など、文芸や編集・校正、芸術寄りの書籍が並ぶ点が東京堂らしさとして挙げられています。

書泉グランデ 店長:高松さんの分析

高松店長は、書泉グランデらしい独自性の出たランキングを紹介しています。冊数ランキングトップには意外性のある『物語要素事典』がランクインし、入荷時に思わぬ売り切れを経験するほどの支持を得たことを明かしています。

また、長年求められていた復刊書である『ゲームフリーク 遊びの世界標準を塗り替えるクリエイティブ集団』が根強く売れ続け、通年での支持を受けたことも報告されています。歴史系の書籍では『中世のパン』が2025年の中世本第1位となり、有償特典の「特製パン袋」付きで販売されたことも販売を後押ししました。鉄道関連の定番商品である『貨物時刻表』『鉄道時刻表』も上位に入るなど、書泉の専門性が反映された結果となりました。

神保町という文脈と今後の見通し、そして年間の要点整理

リリースでは、2026年3月19日に三省堂書店 神田神保町本店が神保町に帰ってくることが強調されており、これにより徒歩3分圏内に大型書店が3店並ぶ形になります。近接する複数の大型書店がそれぞれ異なる品揃えや売り場提案を行うことで、同じ街の中に多様な読書体験が提供されるという見立てが示されています。

発表文では「似て非なる本屋」という表現が用いられており、近接していても売れている書籍がほとんど重複しない実態が指摘されています。来訪者は複数店舗を回ることで、同じ話題書でも異なる切り口や関連書を発見できることが期待されます。

発表と主要ポイントのまとめ
項目 内容
発表元・日時 株式会社アニメイトホールディングス、2025年12月12日 12:00
対象店舗 三省堂書店 神保町本店/東京堂書店 神田神保町店/書泉グランデ
ランキング軸 売上冊数ランキング(トップ10)/売上金額ランキング(トップ10)、オールジャンルで集計
全店共通でランクインした主な書籍 『本なら売るほど 1巻』
冊数ランキングで注目された作品 『国宝 上・下』『ババヤガの夜』など、映画化・受賞作の話題作が複数ランクイン
金額ランキングで注目された作品(店別) 三省堂:『今日の治療薬』(1位)/東京堂:『TOKYO JAZZ JOINTS』(1位)/書泉:『物語要素事典』(年間で高い売上)
各店の特徴 三省堂:文庫・コミックの強さと専門書の堅調さ。往来堂企画の取り組みが奏功。
東京堂:文芸・編集・芸術系に強み。刊行記念イベントやパネル展が効果を発揮。
書泉:専門ジャンル(鉄道、ゲーム史料、歴史考証)での強さと独自の特典販売が高評価。
店長名(コメントの要旨) 三省堂 店長 杉浦:文庫・コミックが中心、専門書も堅調。
東京堂 店長 星野:話題作とイベントが売上を牽引。芸術系の金額需要が高い。
書泉グランデ 店長 高松:意外性のある書籍の長期的な売行き、専門性が強み。
三省堂の今後 2026年3月19日、新本店開業予定(工事期間中は小川町で仮店舗営業中)。
関連URL 三省堂書店:https://www.books-sanseido.co.jp/
東京堂:https://www.tokyodo-web.co.jp/
書泉:https://www.shosen.co.jp/
書泉(関連リンク):https://shosen.tokyo/

以上が発表資料に基づく2025年の神保町3書店の年間ランキングに関する要約と整理です。各店のランキングは、書籍のジャンル特性、単価、販売施策、イベント実施状況、さらには復刊や特典の有無といった複数要因が複合して結果に結びついていることが読み取れます。

年明け以降、三省堂書店 神田神保町本店の新本店開業を控え、神保町の書店群はますます注目されることが予想されます。今回のランキングは、それぞれの書店がどのように読者に価値を届けてきたかを示す一つの指標と言えるでしょう。

参考リンク: