3月公開予定『Returnees』元こども兵の再起に迫る
ベストカレンダー編集部
2025年12月16日 06:02
リターニーズ公開決定
開催日:3月1日
ウガンダの再起を映すドキュメンタリー、その核心
ドキュメンタリー映画『Returnees(リターニーズ)元こども兵 それぞれの再起』の日本公開が、2026年初春に渋谷・ユーロスペースほかで行われることが決定した。本作はアフリカ東部ウガンダを主舞台に、紛争で人生を奪われた元子ども兵たちと、日本のNPOが長年にわたり寄り添う姿を2年にわたって追った作品である。
制作は株式会社日本電波ニュース社。作品情報としては、2026年/日本/102分/DCP/5.1chでの上映が予定されている。プレスリリースは株式会社日本電波ニュース社より2025年12月15日21時34分に配信され、著作表示は©日本電波ニュース社 2026年となっている。
描かれるテーマと取材の深さ
本作は単なる被害の証言にとどまらず、「人生を取り戻そうとする人々の変化」に焦点を当てる。紛争のトラウマ、教育機会の欠如、社会復帰に向けた実務的な訓練──そうした複合的な課題を、支援現場の長期的な取り組みを通して描く。
監督の菊地啓は、取材を通じてテラ・ルネッサンスの活動に接し、被災地域のなかで注目されにくい人々に向き合う姿勢が作品の根幹になったと述べている。彼が撮影・編集も担い、9回の渡航(2025年12月現在)を経て記録した映像は、被支援者一人ひとりの変容を長期的に追うことによって得られたものである。
登場人物と現場のエピソード
映画に登場する中心人物のひとりがパスカリーナ(元こども兵)25歳である。10歳で誘拐され強制結婚させられ、娘を戦乱で失い、息子とは生き別れになった経緯を持つ。武装勢力の活動地域から逃れてウガンダへ避難したが、人生に希望を見いだせない状況にあった。
パスカリーナはテラ・ルネッサンスの支援を受け、息子との再会を夢見て訓練に励み、家具職人を目指すなど新たな決意を胸に生き直す過程が描かれる。訓練や生活の変化のなかで見せる表情や葛藤が、スクリーンを通して伝わる構成になっている。
- 小川真吾(NPO理事)50歳
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ウガンダ北部で20年間にわたり元子ども兵の社会復帰を支援してきた人物。10歳前後から戦場に駆り出された元兵士たちは教育機会が乏しく、深いトラウマを抱えているため一般的な支援では十分に社会復帰が進まない。
小川とそのチームは3年に及ぶ訓練プログラムを作成し、元子ども兵たちが自尊心を取り戻し、生きる場を見つけるまで寄り添い続けている。映画はその実践と成果、そして直面する困難を丁寧に追う。
作品はまた、20年以上にわたり潜伏を続けてきた反政府武装勢力LRA(神の抵抗軍)の解体に向けた流れや、小川のもとで訓練を終えた元子ども兵たちが巣立ち、新たな挑戦に向かう場面も描く。保護されたばかりの元子ども兵とともに歩む瞬間も記録されている。
登場人物の詳細と訓練の現場
映画には、家具職人を目指す若者や、訓練を終えて前を向く人々など複数の人物像が登場する。それぞれが抱える過去と、日々の訓練や支援活動を通じて得る小さな変化が丁寧に積み重なる。
訓練は単なる技能教育にとどまらず、心理的ケアやコミュニティとの関係修復、職業的自立に向けた包括的な取り組みとして設計されている点が特徴である。
監督の視点、制作クレジットと賛同の声
監督・撮影・編集は菊地啓。応義塾大学卒業後、日本電波ニュース社に入社し、パレスチナ西岸やウクライナなど紛争地の取材経験を持つ。2023年3月にはNHK BS1『ザ・ヒューマン』で「NPO理事長 小川真吾 危機の世界で 誰も取り残さない」を制作・放送した経歴がある。
菊地はディレクターズ・ステートメントで、テラ・ルネッサンスと出会ったのが2022年4月ウクライナでの支援取材であったこと、支援対象が注目されにくい地域(コンゴ、ウガンダ、ウクライナ西部など)であること、自身が取材を続ける中で感じた〈一人一人に役割がある。人は無力じゃない。〉という信念が作品の核になったことを明かしている。
- 制作クレジット
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監督・撮影・編集:菊地啓
プロデューサー:上田未生
製作:日本電波ニュース社
本作には多くの賛同コメントが寄せられている。以下はプレスリリースに掲載された一部のコメントである(抜粋、順不同の表記)。
- 高野秀行(ノンフィクション作家):「もしこの1年でたった1作しか映画が観られないとしたらこの映画を観てほしい!と言いたくなるほど素晴らしい内容の作品だ。」
- 石原さとみ(俳優):「命を救うだけじゃない。小川さんは、奪われた心と未来を救い続けています。」
- 堀 潤(ジャーナリスト):「涙も、怒りも、希望も、この映画はすべてを隠さず映す。」
- 一青窈(歌手):「何になりたいか どう生きたいか それを子供達が希望を持って漕ぎ出せる世界にしたい。『人は変われる』し『許されない罪はない』と信じたい。」
- 榎本玉良(明治学院大学 準教授):「この紛争がもたらした国境を超えた複雑な被害状況にあらためて焦点が当たることを期待しています。」
- 原寛太(フリーランス国際協力師):「この映画を観れば気づく。そこにいるのは、私たちと同じように笑い、泣き、悩みながら生きる’人’だということに。」
- 広瀬俊朗(元ラグビー日本代表):「とてつもない経験をしている元こども兵や女性たちが前を向いて生きる姿を見ると、その逞しさから涙が出てきました。」
取材経緯と監督の言葉
菊地は取材を通じて、自身が抱えていた無力感が徐々に変化した経緯を記している。テラ・ルネッサンスの支援が注目されにくい地域で粘り強く行われていることを目の当たりにし、その姿勢に惹かれたという。
取材回数は2025年12月時点で9回に及ぶ。映画は、取材対象者たちに突き動かされる形で作られ、観客の心に“力”が湧くことを目指した作品であると述べている。
公開情報、関連リンクと要点の整理
公開は2026年初春、渋谷のユーロスペースをはじめ全国での上映が予定されている旨が発表されている。上映フォーマットはDCP、5.1chの音響で、上映時間は102分である。
作品に関する詳細や配給・上映情報は制作元の告知・関連ページで随時更新されると考えられる。プレスリリースには関連リンクとして「https://ndn-news.co.jp/dvd/5182/」が挙げられている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | Returnees(リターニーズ) 元こども兵 それぞれの再起 |
| 公開時期 | 2026年初春(渋谷・ユーロスペースほか) |
| 制作 | 株式会社日本電波ニュース社 |
| 監督・撮影・編集 | 菊地啓 |
| プロデューサー | 上田未生 |
| 上映時間・形式 | 102分 / DCP / 5.1ch |
| 主な登場人物 | パスカリーナ(元子ども兵・25歳)、小川真吾(NPO理事・50歳)ほか |
| テーマ | 元子ども兵の社会復帰支援、長期的な寄り添い、紛争被害の複雑性 |
| プレス配信 | 株式会社日本電波ニュース社 2025年12月15日 21:34 |
| 関連リンク | https://ndn-news.co.jp/dvd/5182/ |
| 著作表記 | ©日本電波ニュース社 2026年 |
以上はプレスリリースに基づく記載の整理である。本作は個々の人生の再建に寄り添う支援の過程を長期取材で示し、登場人物の変化と現場の理念を映し出すドキュメンタリーとして紹介されている。公開情報や追加の上映詳細は公式の告知を確認のうえ参照されたい。
参考リンク: