推薦・総合型が主流に 令和の受験攻略の必携書
ベストカレンダー編集部
2025年12月17日 16:47
受験新常識の書籍発売
開催日:12月17日
推薦・総合型が「王道」へ──令和の入試制度は何が変わったのか
2025年12月17日(水)、株式会社KADOKAWAは新刊『知らないと合格できない 令和の受験のフツウ』(著:西岡壱誠、監修協力:じゅそうけん)を刊行した。発表は同日10時00分に行われ、発行元は東京都千代田区に本社を置く株式会社KADOKAWA、代表執行役社長 CEOは夏野剛である。
本書は、大学入学者の構成が大きく変わった現状を前提に、従来の「学力試験一本」の受験観が通用しなくなった理由と、その具体的な対応を示す。特に注目すべきは、2024年度のデータで大学入学者の51%が推薦・総合型選抜での進学を果たした点であり、これに伴って名門大学も入試制度の抜本的な見直しを公言する例が出ている。たとえば東北大学は、公式に「2050年までに一般選抜を完全撤廃し、入学者全員を総合型選抜に切り替える」方針を示した。
なぜ従来の「ちゃんとした受験勉強」だけでは不十分なのか
保護者世代にとっての常識――「塾での演習・模試・偏差値で勝負する」――は、現在の入試制度においては必ずしも合格を保証しない。総合型選抜や学校推薦型選抜は、学力試験以外の要素(志望理由書、面接、課外活動、英語資格、プレゼンテーション能力など)を総合評価するため、準備の幅やタイミングが変わる。
本書は、この変化を「情報戦」と位置づけ、どの大学・どの学部がどの方式を採用しているか、いつどの準備を始めるべきかを具体的に示す。入試の合否に直結するのは、学力だけでなく「情報を持ち、戦略を立て、実行できるか」であると断じている。
具体的な準備と評価軸:何を、いつ、どのように用意するか
本書はデータと現場取材を併用し、総合型選抜や学校推薦型選抜に求められる実技・活動の準備、志望理由書の書き方、面接やプレゼンにおける評価ポイントを丁寧に解説している。英語資格や課外活動の扱われ方、評価の深度についても言及があり、単なるノウハウ集以上の「思考の軸」を提供する。
学部ごとに評価軸が異なることを強調し、同じ偏差値帯でも学部によって合否が分かれる実態を示す。重要なのは偏差値だけではなく「その学部・大学に合った経験や表現力」を持っているかどうかであるため、日常的な部活動や探究学習が評価に直結するケースが増えている。
入試ごとの準備タイムラインとチェックリスト
本書は、受験方式別に必要な準備と適切な開始時期の目安を提示している。総合型選抜では早い段階から志望理由の骨子作りや活動の記録が必要であり、学校推薦型では高校での成績や内申、推薦書の準備が重要である。
以下は本書で提示されている代表的な準備項目である。書籍内では各項目について、具体的なやり方・評価されるポイント・避けるべき陥穽が詳細に解説されている。
- 志望理由書の構成と説得力の作り方(具体例と添削例あり)
- 面接・プレゼンの構成、頻出質問と回答の組み立て方
- 課外活動や部活動の記録化(成果の見せ方、ポートフォリオ作成)
- 英語資格の取得レベルと評価される場面の整理
- 模試や成績の適切な管理・活用法(タイミング別の戦略)
SNSと家庭の役割──受験は家族単位のプロジェクトへ
本書が繰り返し取り上げるテーマの一つがSNSの活用である。令和の受験生はSNS上で勉強用アカウントを作成し、模試成績や勉強時間を公開・共有することで、同じ目的を持つ仲間と切磋琢磨している。成功事例として、地方公立高校から東京大学理科三類に合格した生徒の例が紹介され、本人は仲間と成績を見せ合えることが精神的支えになったと語っている。
また、受験情報の最前線にいるのは保護者であると本書は指摘する。保護者側の実践例としては、成績をエクセルで管理する「エクセルパパ」、SNSで塾や教材の口コミを発信する「受験親インフルエンサー」、塾や教材の評判を分析して家庭戦略を立案する家庭などが挙げられている。
家庭でできる情報整理と役割分担
家族単位で受験を考える際に必要な情報整理法や役割分担についても本書は触れている。親は情報収集と環境整備、子どもは学習と表現力の強化、学校や塾は外部評価を担うという形で、それぞれの役割を明確にすることが重要だと説く。
さらに、SNS利用における注意点(プライバシー管理、誤情報の見分け方、時間管理など)についても実例とともに解説しており、安全かつ有効な情報活用法を示している。
本書の構成、漫画と対象読者、書誌情報
本書はデータ分析と現場取材に基づいた解説に加え、章の冒頭にオリジナル漫画を配置している。漫画は受験生と保護者の孤独や不安を視覚的に表現し、読者の共感を得る工夫が施されている。ハウツーだけでなく物語性を持たせることで、実践につながる理解を促す構成だ。
想定される読者層は初めて受験を迎える家庭、推薦・総合型選抜を検討している中高生、進路指導に当たる教育関係者、受験観をアップデートしたい保護者、SNSや情報戦の使い方を学びたい人々であると明記されている。
著者と監修協力、書誌情報
著者:西岡壱誠(にしおか いっせい)。中高時代は学力が芳しくなく、2浪の末に学習法を徹底的に見直し、偏差値35から偏差値70へ成績を上げて東京大学に合格した経験を持つ。勉強法や思考法の研究・実践に基づく著作はベストセラーとなっている。
監修協力:じゅそうけん。発行は株式会社KADOKAWA。オフィシャル詳細はKADOKAWAのサイトで確認できる(https://www.kadokawa.co.jp/)。著者のX(旧Twitter)アカウントも書誌情報に掲載されている(https://x.com/nishiokaissey)。
| 書名 | 知らないと合格できない 令和の受験のフツウ |
|---|---|
| 著者 | 西岡壱誠 |
| 監修協力 | じゅそうけん |
| 発売日 | 2025年12月17日(水) |
| 定価 | 1,650円(本体1,500円+税) |
| 判型/ページ数 | 四六判/224ページ |
| ISBN | 978-4-04-607906-0 |
| 発行 | 株式会社KADOKAWA |
| 発表日時(プレスリリース) | 2025年12月17日 10時00分 |
| 出版社所在地 | 東京都千代田区 |
| 代表 | 取締役 代表執行役社長 CEO:夏野剛 |
まとめ:本書が示すポイントを表で整理する
以下の表は、本記事で取り上げた核心的な情報と、本書が読者に提供する実務的なポイントを整理したものである。受験制度の変化、必要な準備項目、家庭とSNSの役割、書誌情報など、記事内で触れた内容を一目で確認できるようにまとめた。
| テーマ | 要点 | 具体的な示唆 |
|---|---|---|
| 入試制度の変化 | 2024年度で大学入学者の51%が推薦・総合型選抜 | 偏差値中心の戦略だけでは不十分。総合的評価に対応する必要あり。 |
| 名門大学の動き | 東北大学は2050年までに一般選抜を撤廃する方針を公表 | 他大学も類似の動きが出る可能性があるため、早めの情報収集が重要。 |
| 必要な準備項目 | 志望理由書、面接・プレゼン、課外活動、英語資格 | 各項目の具体的対策(記録化・ポートフォリオ作成・模擬面接等)を実施。 |
| 情報戦としての受験 | 情報格差が合否を左右する時代 | 親子で情報を整理し、戦略を立てる。SNSは有効だが注意も必要。 |
| 本書の構成 | データ分析+現場取材+オリジナル漫画 | 実践的な手順と共感を伴う解説で、家庭と生徒の行動変容を促す。 |
| 対象読者 | 初めての受験家庭、推薦を考える中高生、教育関係者等 | 幅広い読者を想定した具体的なアドバイスとチェックリストを収録。 |
| 書誌情報 | 発売日:2025/12/17、定価:1,650円、ISBN:978-4-04-607906-0 | KADOKAWA発行。詳細は出版社サイトを参照。 |
本書は、受験を取り巻く環境が急速に変化する中で、単にテクニックを伝えるだけではなく、なぜそれが必要かを示す「思考の枠組み」を示している。家族や学校、塾がそれぞれの役割を明確にし、早めに情報を整理して戦略を立てることが、令和時代の受験を乗り切るための実践的な指針としてまとめられている。書籍の詳細はKADOKAWAの公式ページで確認できる。
参考リンク: