山梨中央銀行、K2P Film Fundへ出資 地域銀が映画ファンドに初参画

山梨中央銀行が出資

開催日:12月19日

山梨中央銀行が出資
いくら出資したの?
出資額や出資比率はリリースで明示されていません。発表は2025年12月19日で、地域金融機関として初めてK2P Film FundⅠへ参画した点が重要とされています。金額の詳細は今後公表される見込みです。
この出資で何が変わるの?
制作資金と地域連携が強化され、ロケ地誘致やプロダクトプレイスメントを通じた山梨の発信が進む見込み。2026年公開の作品制作やファンドの運用(ファイナルクローズは2026年1月末)にも影響します。

地域金融機関として初めて:山梨中央銀行がK2P Film Fund Ⅰへ出資

株式会社K2Pictures(本社:東京都目黒区、代表取締役 紀伊宗之)が運用する映画製作ファンド「K2P Film Fund Ⅰ(ケーツーピーフィルムファンドファースト)」に対し、株式会社山梨中央銀行(本店:山梨県甲府市、頭取 古屋賀章)から出資を受けたことが2025年12月19日に発表された。本ファンドに対して地域金融機関が投資するのは今回が初めてである。

K2Picturesは2023年8月に事業を開始し、2024年5月のカンヌ国際映画祭期間中に「日本映画の新しい生態系をつくる」を掲げ、本ファンドの立ち上げを発表している。今回の発表は、国内外の投資家参入、クリエイターへの利益還元、手数料率の見直しといったファンドの目標と整合した資本協力として位置づけられている。

ファンドの理念と目的

本ファンドは、投資スキームを通して国内外の新規投資家の参入障壁を下げること、従来より低い手数料率で投資家へのリターンを早めること、そしてクリエイターへの利益還元を仕組みとして明確にすることを重視している。具体的には成功報酬の設定などでクリエイター利益の配分を改善し、長期的に才能が映画産業に残りやすい環境を整備することがうたわれている。

この投資は、ファンドの方針である「国内のみならず海外での展開を見据えた映画製作」の実現に向けた資金的・地域連携の強化という観点から評価されている。ファンドのファイナルクローズ(投資期間終了)は2026年1月末を予定している。

  • ファンド名:K2P Film Fund Ⅰ(ケーツーピーフィルムファンドファースト)
  • ファイナルクローズ予定:2026年1月末
  • 運用会社:株式会社K2Pictures(事業開始:2023年8月)
  • 地域金融機関からの投資は本件が初

ファンドによる作品制作の進行状況と公開予定作品

K2P Film Fund Ⅰはすでに複数の作品の製作に着手しており、公開予定や製作発表が行われている。2025年12月3日には、映画監督・是枝裕和がメガホンをとる実写映画化作品の発表が行われたほか、2026年2月6日公開予定の作品も控えている。

具体的には以下の作品が本ファンドの製作作品として明記されている。

『ルックバック』(実写化)
原作:藤本タツキ(漫画)/監督:是枝裕和。K2P Film Fund Ⅰ製作作品として2026年公開が決定。
『禍禍女』(読み:まがまがおんな)
監督:ゆりやんレトリィバァ(芸人による初監督作品)。本ファンド初製作の作品として、公開は2026年2月6日。

これらの作品は、日本固有の自然や文化を活かした内容が想定されており、ファンドの掲げる「世界市場と戦える作品づくり」という方針と符合する。製作体制の強化と並行して、地域貢献やロケ地誘致を通じた地域側との連携も図られている。

製作スケジュールや公開日等の確定情報は、各作品の公式発表に基づく。K2Picturesは引き続きクリエイティブと地方創生の両輪で制作を推進する姿勢を示している。

山梨中央銀行の投資判断と地域活性化への期待

山梨中央銀行は、当行のパーパスを「山梨から豊かな未来をきりひらく」と定め、地域経済活性化や地方創生の支援を行っている。今回の出資決定について同行は、K2Picturesの掲げる日本の映画産業のグローバル化というビジョンに共感したことを理由として挙げている。

山梨県は富士山、八ヶ岳、南アルプスなどの豊かな自然資源を有し、自治体として映像作品への補助金やロケーション誘致に力を入れている。山梨中央銀行は、映画のロケ地誘致やプロダクトプレイスメントを通じて山梨県を世界にアピールする方針を明確にしており、官民連携による地域価値創出を想定している。

山梨中央銀行の発言

山梨中央銀行のコメントでは、同行がK2Picturesのビジョンに共感した点と、山梨県の地域資源を活かした取り組みを通じて「well-beingな社会」の実現を目指す旨が示されている。具体的には、映画ロケ地誘致およびプロダクトプレイスメントによる地域の国内外への発信を挙げている。

一方で、出資の具体的な金額や出資比率については本リリースに明記されていないため、金銭面の詳細については公表情報に基づいて追って確認する必要がある。

両社の基本情報とファンドの仕組み整理

以下では、プレスリリースに記載された両社の基本情報と、本ファンドの主な目的・方針を整理して示す。

K2Picturesは比較的新しい映画会社であるが、国際市場を見据えた作品製作を目標に掲げ、ファンドを通じて制作体制を拡充している。山梨中央銀行は地域金融機関として地域資源を用いた地域活性化を重視しており、両者の連携は地域側の観光・文化発信とコンテンツ制作の双方に意義があるとされている。

項目 内容
ファンド名 K2P Film Fund Ⅰ(ケーツーピーフィルムファンドファースト)
運用会社 株式会社K2Pictures(代表取締役CEO 紀伊宗之)
K2Pictures 所在地 東京都目黒区青葉台1−11−16
K2Pictures 資本金 492,142,000円(資本準備金も含む)
K2Pictures 事業開始 2023年8月
出資者(今回発表分) 株式会社山梨中央銀行(代表取締役頭取 古屋 賀章)
山梨中央銀行 所在地 山梨県甲府市丸の内一丁目20番8号
山梨中央銀行 資本金 15,400,000,000円
ファイナルクローズ予定 2026年1月末(投資期間終了)
公式URL https://k2pic.com/(K2Pictures)、https://www.yamanashibank.co.jp/(山梨中央銀行)

ファンドの方針・特徴(整理)

本ファンドは、次の点を主要な方針としている。

  1. 国内外の新規投資家の参入を促進することで資金供給源を多様化すること。
  2. 従来より低い手数料率を設定し、投資家へのリターンを早めること。
  3. クリエイターへの利益還元を仕組みとして確立し、成功報酬などを導入すること。
  4. 日本固有の自然・文化を生かした作品を制作し、世界市場で勝負できるコンテンツを目指すこと。

出資金額や個別の契約条件に関しては本リリースでの明示はないため、詳細は今後の公表を待つ必要がある。

この記事の要点まとめ
項目 ポイント
発表日 2025年12月19日 15:00(株式会社K2Pictures 発表)
主な内容 山梨中央銀行がK2P Film Fund Ⅰへ投資。地域金融機関からの投資は初。
ファンド名 K2P Film Fund Ⅰ(ケーツーピーフィルムファンドファースト)
ファイナルクローズ 2026年1月末(予定)
公表された製作・公開予定作品 『ルックバック』(是枝裕和監督、実写化、2026年公開)、『禍禍女』(ゆりやんレトリィバァ監督、公開:2026年2月6日)
K2Pictures 代表 代表取締役CEO 紀伊宗之
山梨中央銀行 代表 代表取締役頭取 古屋 賀章
K2Pictures 所在地 / 資本金 東京都目黒区青葉台1−11−16 / 492,142,000円(資本準備金含む)
山梨中央銀行 所在地 / 資本金 山梨県甲府市丸の内一丁目20番8号 / 15,400,000,000円

以上のとおり、K2Picturesが運用するファンドに対する山梨中央銀行の出資は、地域資源と映像制作を結びつける新たなスキームの具体化を示す動きである。今後は制作進行や地域連携の具体的な取り組み、ならびに投資構成の詳細が公開されることで、ファンドの効果や地域への波及がより明確になるものと考えられる。

参考リンク: