『ロッコク・キッチン』2月14日公開 福島の食卓を描く
ベストカレンダー編集部
2025年12月19日 21:29
ロッコク・キッチン劇場公開
開催日:2月14日
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福島の食卓から見えてくる「日常」と記憶
ノンフィクション作家の川内有緒と映画監督の三好大輔による共同監督作、ドキュメンタリー映画『ロッコク・キッチン』は、国道6号線(通称「ロッコク」)沿いの町々で暮らす人々の食卓を通して、震災・原発事故後の福島の現在を軽やかに描き出す作品である。キッチンに立つ手つき、調理の音、食卓で交わされる言葉が、当事者たちの暮らしと記憶を浮かび上がらせる。
本作は、被災地の生活史が混ざり合う現場に寄り添いながら、帰還した住民、移住してきた人、復興のために訪れる人々が織りなす多様な日常を記録している。料理や食べ物という切り口を通じて、震災関連のドキュメンタリーとは一線を画す視点で「暮らしの色」としての記憶を映像化している。
登場する3人の“キッチン”
物語の中心には、次の3人の人物が登場する。各々のキッチンや食卓が、そのまま人生の断片や地域の歴史を語る。
- スワスティカ・ハルシュ・ジャジュ:原発被災地でツアーを企画するインド人女性。仕事風景やインタビュー、チャイを作る手元などが収められている。
- 中筋純:写真家で「おれたちの伝承館」を運営。展示や保存の営みとともに、食事や場の記憶が描かれる。
- 武内優:夜だけ営業する本屋「読書屋 息つぎ」を営む人物。店内のポートレートや夜ごはんの場面などが物語に深みを与える。
一人暮らしのキッチン、大勢で囲む鍋、寒い夜のスープなどが断片的に連なることで、震災という出来事の余波を受けながらも続く日常の豊かさと脆さが浮かび上がる。
さらに、本編には地元住民の協力で収集された震災以前のホームムービー映像が挿入される。かつての町の日常や家族の風景を映し出すこれらの素材は、再開発や解体によって失われつつある「暮らしの記憶」を次世代に伝える役割を担っている。
劇場公開日程と先行イベントの詳細
劇場公開は、プレスリリースでの記載により2026年2月14日(土)よりポレポレ東中野、2026年3月6日(金)よりシモキタ – エキマエ – シネマ『K2』ほか全国順次公開と発表されている。なお、リリース末尾には別表記として2026年2月1日(土)ポレポレ東中野開始とあるため、公演スケジュールやチケット発売情報は公式発表にて最終確認すると良い。
公開に先立ち、いくつかの関連イベントと先行上映が企画されている。ポスターと予告編が完成し、ビジュアルでは「読書屋 息つぎ」のポートレートや、かき氷を分け合う子どもたち、台所で野菜を切る手の動きなど、日常の断片が切り取られている。
公開記念・展示と先行上映
写真展示は恵比寿のギャラリー「山小屋」で開催される。期間は2026年1月16日(金)から18日(日)。展示では撮影スチールや現地での記録が並ぶ見込みで、映画で用いられた視点を補完する内容になるとされる。
富岡町での先行上映イベントは、以下の通り実施される。
- 日時
- 2026年1月31日(土)
- 上映回
- 午前の部 10:00-12:02(開場 9:30)、午後の部 14:00-16:02(開場 13:30)※上映時間122分
- 会場
- 富岡町文化交流センター「学びの森」大ホール(〒979-1151 福島県双葉郡富岡町大字本岡字王塚 622-1 / 電話 0240-22-2626)※駐車場あり
- 料金
- 全席自由:一般 1,500円(当日 1,700円)、学生・未就学児 無料、障がい者割引 1,000円(お付き添いの方 1名まで同料金)
- 前売り券
- Peatix 購入ページ
制作の背景と監督陣の言葉
本作は、震災から13年後の2024年に川内有緒と三好大輔が約1年間かけてロッコクを車で巡り取材した記録をもとに制作された。食を軸にした記述と映像が重なり合い、被災地の“いま”を描き出すアプローチを採用している。
作品は2025年に完成し、同年の「山形国際ドキュメンタリー映画祭2025」でワールドプレミア上映を果たした際には立ち見が出るほどの盛況を博した。書籍化されたプロジェクトは川内の連載(文芸誌「群像」講談社、2024年10月開始)を収録した書籍版『ロッコク・キッチン』(2025年11月20日発売/講談社)があり、第35回 Bunkamura ドゥマゴ文学賞を受賞している。
監督のコメント
川内有緒(共同監督)のコメントは次の通りである。「震災から時を経たある日、避難指示が解除されたばかりの暗い町に、たった一軒だけ灯りがもれる家がありました。あの家の人はいま夜ご飯を食べているのだろうか――。それから、『みんな、なに食べて、どう生きてるんだろ?』という問いと共に、ロッコクを駆け抜けてきました。人と人が出会い、一緒に温かいスープを飲む。それは、当たり前に見えて当たり前ではありません。一度全ての光を失ったこの地に来るたびに、人とのつながりの儚さを思い、それでも人生の中で出会えた喜びで胸がいっぱいになります。ぜひ本作を見ていただけたら嬉しいです。」
三好大輔(共同監督)は次のように語っている。「東日本大震災が起こり世界も自分も変わった。放射能から逃げるように東京から長野に移住したけれど、これでいいのか?という思いがずっと燻っていた。そんな原発事故でさえ、時間が経てば記憶が薄れていく。忘れることは簡単だ。でも忘れたくない。訪れるたびに変化する町で、そこに暮らしている人たちと出会い話をし、ご飯を食べながらカメラをまわし続けた。想像を遥かに超える生き方に心が震えた。あぁ、この人たちのあるがままを伝えたい。共に過ごした時間を忘れないために。」
スタッフ・クレジット(主な担当)
- 監督
- 川内有緒 + 三好大輔(共同監督)
- 音楽
- 坂口恭平
- 撮影・録音
- 三好大輔
- 編集
- 川内有緒、三好大輔
- スチール
- 一之瀬ちひろ
- アニメーション制作
- 森下征治、森下豊子
- サウンドデザイン
- 滝野ますみ
- ドローン撮影
- 森下征治
- ナレーション
- 武内優
- 宣伝
- 平井万里子
- プロデューサー
- 渡辺陽一、宮本英実
- 配給
- ロッコク・キッチン・プロジェクト事務局(株式会社植田印刷所内)
- 制作年 / 制作国 / 上映時間
- 2025年 / 日本 / 122分
- 著作表記
- ©ロッコク・キッチン・プロジェクト
ポスター・予告編と視覚表現、受容のあらまし
完成したポスタービジュアルは「読書屋 息つぎ」のポートレートを中心に配置され、かき氷を分け合う子どもたち、台所で野菜をざく切りする手元など、暮らしの複数の断片がレイヤー状に重ねられている。こうしたビジュアルは映画本編が切り取る日常のトーンをそのまま伝える意図がある。
予告編は、今なお震災や原発事故の痕跡が残る地域風景から始まり、登場人物たちの仕事場やインタビュー、調理シーン(チャイ、ポトフ、クラムチャウダーなど)のカットが連なっていく構成になっている。食卓の映像を通じて「福島のいま」と登場人物それぞれの故郷への思いが描かれる編集で、山形国際ドキュメンタリー映画祭2025でのワールドプレミアは満員で立ち見が出るほどの反応を得た。
要点の整理
以下の表は、本記事で紹介した『ロッコク・キッチン』の主要情報を整理したものだ。公開日程、イベント情報、作品仕様、主要スタッフ、書籍化や受賞歴などを網羅している。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | ロッコク・キッチン |
| ジャンル | ドキュメンタリー映画 |
| 劇場公開日(リリース内表記) | 2026年2月14日(土)よりポレポレ東中野、2026年3月6日(金)よりシモキタ – エキマエ – シネマ『K2』ほか全国順次公開(リリース末尾に2026年2月1日(土)開始の別表記あり) |
| 先行上映(福島) | 2026年1月31日(土) 富岡町文化交流センター「学びの森」大ホール 午前の部 10:00-12:02(開場9:30)、午後の部 14:00-16:02(開場13:30) |
| 先行上映 料金 | 一般 前売 1,500円(当日 1,700円)/学生・未就学児 無料/障がい者割引 1,000円(お付き添い1名まで同料金) Peatix: https://rokkokukitchen-20260131movie.peatix.com |
| 写真展示 | 2026年1月16日(金)〜18日(日) 恵比寿 ギャラリー「山小屋」 |
| ワールドプレミア | 山形国際ドキュメンタリー映画祭2025(満員・立ち見あり) |
| 書籍 | 書籍版『ロッコク・キッチン』 2025年11月20日発売(講談社)/「群像」連載 2024年10月開始/第35回 Bunkamura ドゥマゴ文学賞受賞 |
| 監督 | 川内有緒 + 三好大輔(共同監督) |
| 主なスタッフ | 音楽: 坂口恭平/撮影・録音: 三好大輔/編集: 川内有緒・三好大輔/ナレーション: 武内優 |
| 制作・上映時間 | 制作: 2025年/日本/上映時間: 122分 |
| 配給 | ロッコク・キッチン・プロジェクト事務局(株式会社植田印刷所内) |
本作は、食を切り口に福島の今を見つめ直す試みであり、ホームムービーの映像挿入や地域の声を丁寧に編むことで、個々人の暮らしと地域の記憶をアーカイブとして刻む作品となっている。公開や先行イベントの詳細は今後の公式発表により更新される可能性があるため、関心のある方は公式情報を参照されたい。