大阪・関西万博のシグネチャーパビリオンが描く未来社会のビジョンとは
ベストカレンダー編集部
2025年05月26日 16時35分
未来社会を見据えた新たな試み
2025年に開催される大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げ、様々なプロジェクトが展開されます。その中でも特に注目されるのが「シグネチャーパビリオン」です。このパビリオンは、各分野のトップランナーたちが集まり、未来社会のビジョンを具現化するための展示空間として設計されています。シグネチャーパビリオンは、単なる展示施設ではなく、訪れる人々が未来の社会について考えるきっかけを提供する場でもあります。
シグネチャーパビリオンは、8つの異なるテーマを持つパビリオンから構成されており、それぞれが独自の視点で「いのち輝く未来」を描いています。これらのパビリオンは、建築、展示、体験の三位一体で構成されており、訪れる人々に深い感動と新たな発見をもたらすことを目指しています。
シグネチャーパビリオンの概要
シグネチャーパビリオンは、万博会場の中心に位置し、各テーマに基づいて8人のプロデューサーがそれぞれのビジョンを展開しています。これにより、訪れる人々は多様な視点から未来社会を体感することができます。各パビリオンは、建築デザインや展示内容が異なりながらも、共通のテーマである「いのち輝く未来社会」に向かって有機的に結びついています。
このような構造は、建築と思想、テクノロジーと感性が融合する万博ならではのコラボレーションを実現しています。シグネチャーパビリオンは、未来の社会像を提示するだけでなく、来場者が自らの価値観や未来への希望を再確認する場ともなります。
8つのパビリオンの特徴
シグネチャーパビリオンには、以下の8つのテーマが設定されています。それぞれのパビリオンは、プロデューサーと建築家のコラボレーションによって独自の空間が創出されています。
- Better Co-Being – プロデューサー:宮田裕章
- いのちの未来 – プロデューサー:石黒浩
- いのちの遊び場 クラゲ館 – プロデューサー:中島さち子
- null² – プロデューサー:落合陽一
- いのち動的平衡館 – プロデューサー:福岡伸一
- いのちめぐる冒険 – プロデューサー:河森正治
- EARTH MART – プロデューサー:小山薫堂
- Dialogue Theater –いのちのあかし– – プロデューサー:河瀬直美
これらのパビリオンは、各プロデューサーの専門性を活かしながら、未来社会における「いのち」の意味や価値を探求しています。特に、各パビリオンの設計や展示内容には、未来の社会に対する問いかけが込められています。
各パビリオンの詳細な紹介
それぞれのパビリオンは、独自のテーマとコンセプトを持ち、訪れる人々に新たな体験を提供します。以下では、各パビリオンの特徴とその意義について詳しく見ていきます。
1. Better Co-Being
プロデューサーの宮田裕章が手がける「Better Co-Being」は、万博会場中央に位置する「静けさの森」と一体化したパビリオンです。このパビリオンは、来場者同士がつながり、響き合う中で共に未来を描く体験を提供します。屋根も壁もない開放的な空間は、自然との調和を重視し、訪れる人々が新たな共鳴を感じることを目指しています。
このパビリオンでは、来場者が自らの体験を通じて未来社会について考える機会が提供されます。また、バーチャル万博としての展開もあり、Web3技術を活用した「Journal」作成など、デジタルとリアルが融合した新しい体験が期待されています。
2. いのちの未来
石黒浩がプロデューサーを務める「いのちの未来」は、多様な企業やクリエイターが考える未来の社会や製品、日本文化の在り方を提示するパビリオンです。特に、いのちの象徴である「水」と「渚」をモチーフにした建築は、未来への旅を提供します。
このパビリオンでは、来場者がロボットやアンドロイドと出会い、自分自身の「いのちの未来」を拡げることができる体験が用意されています。未来の技術と文化が交差する場として、訪れる人々に新たな視点を提供します。
3. いのちの遊び場 クラゲ館
中島さち子がプロデューサーを務める「いのちの遊び場 クラゲ館」は、創造性やいのちの象徴として「クラゲ」をテーマにしたパビリオンです。このパビリオンでは、五感を刺激する体験が提供され、特に聴覚や触覚、嗅覚を重視した展示が行われます。
来場者は、クラゲのように「揺らぎのある遊び」を体験することで、創造性を高めることができます。また、会期後には移築・リユースされる予定であり、持続可能な社会への貢献も意識されています。
4. null²
メディアアーティストの落合陽一がプロデューサーを務める「null²」は、特殊な鏡面膜で構成された立方体が特徴のパビリオンです。このパビリオンでは、内部のロボットアームによって立方体が変形し、訪れる人々に自己の溶解体験を提供します。
この体験を通じて、主体性の解体や新たな視点の獲得が促されます。鏡面反射を多用した空間は、訪れる人々に無限の可能性を感じさせ、未来の社会に対する新たな問いを投げかけます。
5. いのち動的平衡館
福岡伸一がプロデューサーを務める「いのち動的平衡館」は、生命哲学に基づいたパビリオンです。このパビリオンでは、「動的平衡」というキーワードを通じて、より良い社会と地球の未来に向けた哲学が展開されます。
大きな屋根を持つ建築は、生命が流れの中で自律的な秩序を保つ姿を具体化しています。来場者は、いのちの本質について考える機会が提供され、社会の分断を乗り越えるためのヒントを得ることができます。
6. いのちめぐる冒険
河森正治がプロデューサーを務める「いのちめぐる冒険」は、宇宙・海洋・大地に宿るいのちのつながりを表現するパビリオンです。このパビリオンでは、人間中心からいのち中心へのパラダイムシフトがテーマとなっており、いのちを守り育てることの重要性が訴求されます。
建築には海水を使用したコンクリートが採用され、持続可能な資源利用が意識されています。また、4m超の巨大ビジョンによって、いのちの輝きを映し出す展示が行われ、来場者は新たな視点を得ることができます。
7. EARTH MART
小山薫堂がプロデューサーを務める「EARTH MART」は、地球環境や飢餓問題に向き合いながら、日本の食文化の可能性を提示するパビリオンです。このパビリオンでは、食を通じていのちを考える体験が提供されます。
建築の特徴として、茅葺き屋根があり、万博会期終了後にはアップサイクルが予定されています。食文化と環境問題を結びつけることで、持続可能な未来への道筋を示します。
8. Dialogue Theater –いのちのあかし–
河瀬直美がプロデューサーを務める「Dialogue Theater –いのちのあかし–」は、対話を通じて分断を明らかにし、解決を試みるパビリオンです。廃校となった木造校舎を移築・活用したこのパビリオンでは、訪れる人々が対話を通じて新たな理解を得ることができます。
シンボルツリーのイチョウの木を囲むように構成された空間は、訪れる人々に心のつながりを感じさせ、分断を乗り越えるための実験場となります。
シグネチャーパビリオンの意義と未来への展望
シグネチャーパビリオンは、単なる展示施設ではなく、未来社会に対する問いかけや新たな価値観を提供する場です。各パビリオンは、異なるテーマを持ちながらも、共通のテーマである「いのち輝く未来社会」に向かって有機的に結びついています。このような構造は、未来の社会像を提示するだけでなく、来場者が自らの価値観や未来への希望を再確認する機会を提供します。
また、シグネチャーパビリオンは、建築と思想、テクノロジーと感性が融合する万博ならではのコラボレーションを実現しています。これにより、訪れる人々は新たな視点を得ることができ、未来社会に対する理解を深めることができます。
まとめ
シグネチャーパビリオンは、未来社会のビジョンを具現化するための重要なプロジェクトです。各パビリオンは、プロデューサーと建築家のコラボレーションによって独自の空間が創出され、訪れる人々に深い感動と新たな発見をもたらします。これらのパビリオンは、未来の社会に対する問いかけや新たな価値観を提供する場として、万博の重要な要素となっています。
今後、シグネチャーパビリオンは、未来社会の実験場としての役割を果たし、訪れる人々に新たな視点を提供し続けることでしょう。これにより、私たちの社会がより良い方向へと進むための一助となることが期待されています。
| パビリオン名 | プロデューサー | テーマ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Better Co-Being | 宮田裕章 | いのちを響き合わせる | 自然との調和を重視した開放的な空間 |
| いのちの未来 | 石黒浩 | いのちを拡げる | 未来の社会や製品を提示する体験 |
| いのちの遊び場 クラゲ館 | 中島さち子 | いのちを高める | 五感を刺激する創造的な体験 |
| null² | 落合陽一 | いのちを磨く | 自己の溶解体験を提供する空間 |
| いのち動的平衡館 | 福岡伸一 | いのちを知る | 生命哲学に基づく未来への問いかけ |
| いのちめぐる冒険 | 河森正治 | いのちを育む | 宇宙・海洋・大地のつながりを表現 |
| EARTH MART | 小山薫堂 | いのちをつむぐ | 食文化と環境問題を結びつける体験 |
| Dialogue Theater –いのちのあかし– | 河瀬直美 | いのちを守る | 対話を通じて分断を明らかにする空間 |
シグネチャーパビリオンは、未来社会に向けた重要なメッセージを発信する場として、訪れる人々に深い感動と新たな発見を提供します。これにより、私たちの社会がより良い方向へと進むための一助となることが期待されています。
参考リンク:
- テーマ事業「シグネチャープロジェクト(いのちの輝きプロジェクト)」 | EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト
- シグネチャーパビリオン - 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)協賛│TOPPAN
- 大阪・関西万博シグネチャーパビリオンを一挙紹介!各分野のトップランナーが見据える未来を映す、個性豊かな8つのパビリオンExpo 2025: Summary of Signature Pavilions |特集・インタビュー|TECTURE MAG(テクチャーマガジン) | 空間デザイン・建築メディア
- 大阪・関西万博 | 宮田裕章 シグネチャーパビリオン Better Co-Being
- 石黒浩・シグネチャーパビリオン「いのちの未来」