ほうじ茶にカフェインはある?100mL約20mgの実情

ほうじ茶にカフェインはある?100mL約20mgの実情
ほうじ茶ってカフェインあるの?
ある。焙煎で一部が揮発・分解され量は抑えられるがゼロではない。日本食品標準成分表などでは約20mg/100mLが目安で、湯のみ一杯(約120mL)で約24mg、マグカップ(約250mL)で約50mg程度になる。
妊婦や子どもは飲んでも大丈夫?
注意が必要。妊婦は1日200〜300mgを上限目安とされ、ほうじ茶150mLで約30mgなので6〜10杯が目安だが医師と相談を。子どもは年齢別上限が低く、就寝前は避け水出しやデカフェを検討すると安全。

まずは整理:ほうじ茶ってどんなお茶でカフェインは本当にあるの?

ほうじ茶の定義と特徴

ほうじ茶は、緑茶(茶樹の葉)を焙煎(焙じる)して作られる日本の加工茶です。焙煎によって葉の色は褐色〜茶色に変わり、香ばしい香りと渋みの少ないやわらかな味わいが特徴になります。香りの要因としては、焙煎により揮発する香気成分が増えること、タンニン(渋み成分)が減少することが挙げられます。

世間一般では「焙煎しているからカフェインはないのでは」と誤解されがちですが、結論としてはほうじ茶にもカフェインは含まれます。焙煎で一部の成分は揮発・分解されるため含有量は低めになる傾向がありますが、0ではありません。

カフェインとは何か:性質と作用

カフェインはキサンチン系のアルカロイドで、脳の覚醒・集中を高める中枢神経刺激作用、末梢では利尿作用や心拍数への影響、胃酸分泌促進などの作用を持ちます。個人差が大きく、同じ量でも影響の出方は人によって違います。

カフェインの代謝は主に肝臓で行われ、半減期(血中濃度が半分になる時間)は成人でおよそ3〜7時間と言われます。ただし妊婦や慢性摂取、薬剤の影響などで長くなったり短くなったりします。眠気や不眠、動悸、胃の不快、頻尿などの症状が続く場合は摂取量を見直すべきです。

ほうじ茶に含まれるカフェイン量の目安(データを基に)

公的な成分表や茶専門店の計測に基づく一般的な目安は、ほうじ茶のカフェイン量は100mLあたり約20mgです(日本食品標準成分表などに基づく値)。これは煎茶やウーロン茶と同等、紅茶やコーヒーよりは少ない数値です。

具体例として日常でよく使う容器別に換算すると以下のようになります。

  • 湯呑み(約120mL):約24mg
  • マグカップ(約250mL):約50mg
  • ペットボトル(500mL):約100mg

出典例:文部科学省の食品成分表や複数の茶専門サイト・メーカー(例:aardvark TEA1899)でも同程度の目安が示されています。

なぜほうじ茶はカフェインが少なく感じられるのか(製法と原料の視点)

ほうじ茶が“カフェインが少ない”と表現される理由は主に三つあります。第一に、焙煎工程によって一部のカフェインが揮発または熱分解されること。第二に、ほうじ茶には比較的成熟した葉や茎(茎はカフェインが少ない)が使われることが多い点。第三に、水出しなど抽出条件によって溶出量が抑えられることです。

製茶の工程や収穫時期(新茶=一番茶はカフェイン量が相対的に高い)によっても茶葉中のカフェインは変化します。ほうじ茶は二番茶以降や茎主体の原料が使われることが多いため、生葉由来の含有量自体が低めである点も影響しています(参考:白井製茶の解説など)。


日常でどう判断するか:誰がどの程度注意すべきか

成人が知っておきたい1日の上限とほうじ茶換算

国や機関によって差はありますが、一般的な目安として健康な成人のカフェイン上限は1日あたり約400mgとされることが多いです(厚生労働省や海外保健機関の指標に基づく)。この基準で考えると、ほうじ茶(100mLあたり20mg)なら約2リットル=約400mgに相当し、理論上は大量に飲める計算になります。

とはいえ、実際には個人差や他の飲料(コーヒーや紅茶、栄養ドリンクなど)との合算、体調や睡眠状況を考慮する必要があります。朝に1杯(マグカップ約250mL)程度を習慣化している分には一般成人では問題になりにくいことが多いでしょう(出典:1899、NELL等)。

妊婦・授乳中の方の注意点と換算例

妊婦や授乳中の方はカフェインの胎児・乳児への影響を懸念して摂取上限を低めに設定することが推奨されます。国や機関の推奨値には差がありますが、妊婦の目安としては1日約200〜300mg程度を上限とすることが多いです。

この値をほうじ茶に換算すると、150mLのカップで約30mgですから、1日あたり6〜10杯程度が上限目安になります。ただし個人差や他の食品からのカフェイン摂取もあるため、妊婦さんは医師や助産師と相談のうえ控えめにするのが無難です(参考:aardvark TEAの記述、NELLの記事)。

子どもや感受性の高い人の扱い方

子どもは成人より体重当たりの影響が大きく、カフェイン感受性も高いため注意が必要です。カナダ保健省の参考値を用いると、年齢別の上限が示されています(4〜6歳:45mg/日、7〜9歳:62.5mg/日、10〜12歳:85mg/日など)。

これをほうじ茶換算すると、4〜6歳の子が飲めるほうじ茶は150mLで約1杯分(約30mg)程度に相当するため、1日1杯を目安にし、就寝前は避けるなどの配慮が望ましいです。ノンカフェインやデカフェのほうじ茶、麦茶やルイボスティーなどの代替も検討しましょう(参考:NELL)。

就寝前や運転前の摂取についての実践的な助言

カフェインの覚醒作用を避けたい場合、就寝の6時間前から摂取を控えるのが一つの目安です。カフェインの半減期が人によって異なるため、夜眠れなくなる自覚がある方はさらに早めにやめるとよいでしょう。

運転や精密作業が必要な場面では、利尿作用や動揺感を避けたい場合もあるため過剰摂取は避け、必要ならカフェインレスのほうじ茶やノンカフェイン飲料を選ぶのが安全です。


摂取量を減らす・安心して飲むための具体的方法と選び方

茶葉選びのポイント:番茶・茎・深煎りを活かす

ほうじ茶の原料には「番茶」「茎(棒ほうじ)」など、カフェイン含有量が比較的少ない原料を使うことが多いです。収穫の時期が早い一番茶はカフェインが高めで、二番茶以降や番茶はカフェインが減る傾向があります。

また、茎を主体にした「茎ほうじ(棒茶)」は葉よりカフェインが少なめです。買う際は商品表示で原料の種類(茎主体か否か)や焙煎度合いを確認するとよいでしょう(参考:白井製茶、NELL)。

淹れ方でカフェインを抑えるテクニック(温度・時間・水出し)

カフェインの抽出は温度と浸出時間に強く依存します。高温で長時間淹れるほどカフェインは多く抽出されます。従って、短時間で湯を切る「一煎目短め」や湯温を下げる方法である程度抑えられます。

また水出し(常温または冷水で長時間抽出)はカフェイン抽出量を減らすのに有効です。農林水産省などの資料でも水出しはカフェインが半分程度に低減されるという報告があり、就寝前や子供に与える際には良い選択肢です(参考:1899やNELLの解説)。

デカフェ(カフェインレス)とノンカフェインの違い

ノンカフェイン

もともとカフェインを含まない飲料(例:麦茶、ルイボスティー、黒豆茶など)。

デカフェ(カフェインレス)

元々カフェインを含む原料から化学的もしくは物理的な方法でカフェインを除去したもの。100%除去されるわけではなく、微量残留する場合がある。

カフェインレス(表記差)

メーカーにより定義が異なりますが、カフェイン含有量が少ないことを示す場合があります。表示をよく確認してください。

ほうじ茶でカフェインを極力避けたい場合はノンカフェインの飲料に替えるのが確実ですが、ほうじ茶の風味を楽しみたい場合はカフェインレス(デカフェ)ほうじ茶が市販されています。

家庭でできる具体的なレシピと商品選びのコツ(例を複数提示)

水出しほうじ茶の作り方(家庭向け簡易レシピ):

  1. 水1Lに対してほうじ茶ティーバッグ1〜2個、あるいは茶葉15〜20gを入れる。
  2. 冷蔵庫で6〜8時間置く(夏は4〜6時間でも抽出可能)。
  3. ティーバッグを取り出して完成。穏やかな香ばしさでカフェイン少なめ。

ほうじ茶ラテを低カフェインで作る工夫:デカフェのほうじ茶を使用、または水出しで濃いめ抽出したものと温めたミルクを合わせる。甘さは蜂蜜やメープルを少量使うと香りが引き立ちます。

商品選びのコツ:ラベルに「茎(棒)ほうじ」「深煎り」「デカフェ」等の記載があるものを選ぶと、一般的にカフェイン量が少なめです。メーカーの成分表や品質表示を確認しましょう(例:メーカーサイトや食品成分表のリンクを参考にしてください)。


注意したい副次的な話題と関連知識:健康面・抽出化学・保存など

カフェイン以外に注目したい成分:テアニン・カテキン・ピラジン

ほうじ茶にはカフェイン以外にも健康に関わる成分が含まれています。代表的なものにテアニン(リラックス効果)カテキン(抗酸化)、そして焙煎で生成されるピラジン類(香ばしさのもと)があります。

これらの成分は味わいや健康効果に寄与しており、ほうじ茶のリラックス感はテアニンやピラジンの複合的な作用によるとも考えられます。就寝前に軽く飲む程度であれば、カフェインの刺激を上回る穏やかな効用を感じる人もいますが、個人差に注意してください(参考:NELLの記事)。

抽出の化学:どの成分がどの条件で溶け出すか

成分の溶出は温度依存性が高く、ポーラリティ(極性)や分子の大きさによって抽出されやすさが変わります。カフェインは比較的溶出しやすく熱水で短時間でも抽出されます。逆に香り成分やピラジン類は焙煎により生成されるため、低温抽出でも香ばしさは維持されやすい場合があります。

実務的には、熱湯で長時間抽出するとカフェインと渋みが増えやすいので、嗜好と目的(覚醒効果を得たいのか、リラックスしたいのか)によって抽出条件を変えると良いでしょう。

薬剤との相互作用・健康上の注意(実務的なチェックポイント)

カフェインは一部の薬剤と相互作用することがあります。例えば、一部の抗生物質、抗うつ薬、心臓薬、カフェイン代謝を抑える薬剤(CYP1A2阻害薬)との併用は注意が必要です。常用薬がある場合は医師や薬剤師に相談してください。

また、不安症や不眠の既往がある方、妊婦・授乳中の方、子どもはカフェイン感受性が高いため個別に配慮する必要があります。症状や体調に不安がある場合は専門家に相談することを推奨します。

保存・鮮度・香りの維持方法

ほうじ茶は焙煎によって香りが立つ一方、時間とともに香りが揮発しやすくなります。保存の基本は遮光、低温、密閉です。特に湿気と酸化を避けるために密閉容器や茶缶を使い、長期保存する場合は冷蔵(急激な温度変化は避ける)するのが望ましいです。

開封後1〜2ヶ月を目安に風味が落ちるため、日常消費は早めに使い切ることをおすすめします。香りが飛んでしまった場合は焙煎の強い深煎り商品を選ぶと最後まで香ばしさを感じやすいです。


まとめ:要点の早見表と最後のアドバイス

記事の要点を整理して短くまとめる

長く説明しましたが、重要なのは以下のポイントです。ほうじ茶にはカフェインが含まれる(100mLあたり約20mgが目安)。焙煎や原料の選定、淹れ方でカフェイン量は変えられる。妊婦、子ども、就寝前は注意が必要で、ノンカフェインやデカフェを選ぶ方法がある、という点です。

補足として、ほうじ茶の魅力はカフェイン以外の成分や香ばしさにもあり、それらの恩恵を上手に享受するために飲み方を工夫することが肝要です。

信頼できる情報源へのリンク

参考にした主な情報源の一部を以下に示します。生のデータや成分表に当たる際は元データ(食品成分表やメーカーの成分表示)を確認してください。

早わかり表(この記事の要点を表形式で整理)

以下の表は本記事で述べた主要点を一目で分かるように整理したものです。家庭での判断や他飲料との比較にご活用ください。

項目 目安/説明 備考
ほうじ茶のカフェイン量(目安) 約20mg/100mL 湯呑み120mL ≒ 24mg、マグ250mL ≒ 50mg
成人の1日上限(目安) 約400mg/日 ほうじ茶換算で理論上は約2L。ただし他飲料と合算
妊婦の上限(目安) 約200〜300mg/日 ほうじ茶150mL換算で約30mg→6〜10杯が目安(ただし個別相談推奨)
子どもの目安 年齢により45〜85mg程度(カナダ基準例) 4〜6歳は約45mgが目安 → ほうじ茶1杯程度が上限目安
カフェインを減らす方法 水出し、茎主体(棒茶)、深煎り、デカフェに変更 水出しは抽出カフェインを大幅に減らす実例あり
代替飲料 麦茶、ルイボス、黒豆茶、デカフェほうじ茶 ノンカフェインかデカフェを用途で選択

この記事では複数の公的データや茶専門店、メーカーの情報を基に、「ほうじ茶にカフェインはあるのか」「どれくらい気をつけるべきか」「実践的にどう減らすか」を網羅的に解説しました。最後に簡単な実践チェックリストを示します。

  1. 朝1杯のほうじ茶で覚醒したいなら、そのままOK。マグ1杯で約50mg。
  2. 就寝前や子どもには水出し・茎ほうじ・デカフェ・ノンカフェインを検討。
  3. 妊婦・授乳中はカフェインの合算を意識し、医師に相談。
  4. 常用薬がある場合は薬剤師と相互作用を確認。

参考:本文中で引用した各種解説記事や成分表は、記事内のリンクからご覧ください。より詳しい数値や製品固有のデータはメーカーの成分表示や公的な食品成分表(日本食品標準成分表)を確認することをおすすめします。

出典例:日本食品標準成分表(各版)や各種茶専門店のコラム(aardvark TEA、1899、白井製茶、NELLなど)。

以上を踏まえ、ほうじ茶は「カフェインが少なめな選択肢」ではありますが、完全にゼロではないこと、個々の体質やシーンに合わせた飲み方の工夫が重要である点を覚えておいてください。よいお茶の時間をお過ごしください。