韓国へ持ち込む頭痛薬は何がNG?イブA・ロキソニンS解説

韓国へ持ち込む頭痛薬は何がNG?イブA・ロキソニンS解説
日本の市販の頭痛薬って韓国に持ち込める?
一部は持ち込み禁止。アリルイソプロピルアセチル尿素やデキストロメトルファン、ジヒドロコデイン、コデイン含有は原則NG。必ず成分表示を確認し、該当する場合は申請か現地調達を。
没収や罰則のリスクはどれくらい?
無申告だと空港での没収・調査の対象になり、重大な場合は取り調べや罰則、入国記録への影響もあり得る。処方箋や英文診断書を用意し、事前申請が安全。

渡航前に知っておきたい、最近の規制強化の全体像

なぜ日本で普通の市販薬が問題になるのか

近年、韓国では海外から持ち込まれる医薬品の成分に起因するトラブルや乱用事例が増えたため、2024〜2025年にかけて取締りが強化されました。特に日本で一般的に使われている一部の鎮痛薬や咳止めに含まれる成分が、韓国側で向精神薬や麻薬類に該当すると判断されるケースが出ています。

この観点から、旅行者にとっては「いつもの常備薬」を無自覚に持ち出すことで、空港での没収や最悪の場合は調査・処罰の対象になり得るというリスクが生じています。規制は安全確保を目的としたものであるものの、外国でのルールの違いに注意が必要です。

2024〜2025年にかけての主な動き

代表的なニュースとして、韓国関税庁がアリルイソプロピルアセチル尿素を含む鎮痛剤(例:EVEの一部製品)を向精神薬として取り扱う方針を示し、2025年3月以降に取り締まりを強化しました。また、デキストロメトルファン、ジヒドロコデイン、コデインを含む総合風邪薬や咳止めも対象となる例が多く報道されています。

公式な情報やオンライン申請のページは、韓国の食品医薬品安全処(MFDS)に案内があり、英語・韓国語の申請フォームが公開されています(例:nedrug.mfds.go.kr/eng/index)。旅行前に公式ソースで最新情報を確認することを強く推奨します。

旅行者が直面する可能性のある結果

無申告で禁止成分を含む薬を持ち込んだ場合、空港税関での調査・没収・場合によっては取り調べや罰則の対象となることがあります。大規模・反復的な搬入は特に警戒され、摘発事例が増えています。

また、一度違反記録が残るとその後の入国・滞在に影響する可能性もあるため、面倒でも事前チェックと準備を行うことが重要です。

成分別に見る「持ち込み可/不可」と代表的な薬の実例

持ち込み禁止とされる主要な成分(代表4種)

韓国で特に問題視されている代表的な成分は次の4つです。これらのどれかが含まれていれば、原則として無申告での持ち込みは認められません。

  • アリルイソプロピルアセチル尿素(Allylisopropylacetylurea)— 一部の鎮痛剤に含まれ、向精神作用があると判断される場合がある。
  • デキストロメトルファン(Dextromethorphan)— 咳止めで広く使われるが、乱用や転売が懸念される。
  • ジヒドロコデイン(Dihydrocodeine)— 依存性・向精神性が強く、規制の対象になる。
  • コデイン(Codeine)— 咳止めや鎮痛に使われるが、韓国では厳格に扱われる。

表記は英語・ハングルでも確認できるように意識してください。成分名の表記ゆれ(略称や配合化合物名)にも注意が必要です。

具体的に没収・禁止になった日本の市販薬の例

報道や複数の旅行情報サイト、在日大使館の案内を総合すると、下記の製品が持ち込み禁止・注意対象として繰り返し挙げられています。ただし、製品改良やバージョン違いで成分が異なる場合があるため、最終的にはパッケージの成分表示を確認してください。

主に問題視される鎮痛剤(アリルイソプロピルアセチル尿素含有の恐れ)
  • イブA錠、イブA錠EX、イブクイック頭痛薬/DX
  • ロキソニンSプレミアム
  • バファリンプレミアム
  • セデスV、セデス・ハイ系列
  • ノーシンピュア、IB鎮痛薬F、アダムA錠 等
総合風邪薬・咳止め(デキストロメトルファン/ジヒドロコデイン/コデイン含有)
  • 新ルルAゴールドDX、新コンタックかぜ総合DX、パブロンシリーズの一部
  • メジコンせき止め錠Pro、アネトンせき止め錠 等

上記はあくまで代表例です。たとえば「同じブランド名でも成分が異なるバージョン」が存在するケースもあり、必ずパッケージの成分表示を見て判断してください。

持ち込み可能・比較的安全な薬の例

禁止成分を含まないとして案内されている製品もあります。たとえば鎮痛剤では、次のような製品が参考になります(ただし最終確認は成分表で)。

  • イブスリーショットプレミアム(アリルイソプロピル…非含有の製品)
  • ロキソニンS、ロキソニンSクイック、ロキソニンSプラス(製品により成分構成が異なるので確認が必要)
  • バファリンA、バファリンプレミアムDX、バファリンルナi 等
  • 解熱鎮痛のアセトアミノフェン単体(タイレノールなど)は比較的安全とされることが多い

総合風邪薬や咳止めに関しては、禁止成分を含まない市販薬が非常に少ないため、現地調達(韓国の薬局で代替を購入する)を含めた準備が現実的です。

出発前のチェック&空港での対応方法(実務編)

持ち込み前の必須チェックリスト

以下の点を出発前に必ず確認してください。単純ですが、これを怠ると税関でのトラブルにつながります。

  1. パッケージの成分表を写真で保存し、英語か韓国語に翻訳できるようにする。
  2. 処方薬なら英語または韓国語の診断書/処方箋を用意する。
  3. 自己使用量の範囲におさめる(旅行日数相当+予備程度)。
  4. 薬はできるだけ元箱・添付文書をつけて持参する。小袋に詰め替えない。
  5. 事前にオンラインで申請が必要な薬はMFDS等の申請サイトで手続きする。

特に成分の翻訳は重要です。成分名で止められるケースが多いため、翻訳アプリや医療用の英語表現を準備しておくと説明がスムーズです。

税関で質問されたらどうするか

税関で止められた場合は冷静に対応してください。以下が実務的な手順です。

  • 写真や成分表を提示する(英語・韓国語訳があると有利)。
  • 処方箋や医師の診断書を提示できる場合は提示する。
  • 個人使用である旨(旅行日数分であること)を説明する。大量に見える場合は分量が疑われやすい。
  • 必要なら、係員の指示に従い検査や追加説明を行う。

もし没収や調査になった場合、感情的にならず記録(係員名、日時、押収物のリスト)を取ると後々の対応がしやすくなります。

事前申請が必要なケースと申請方法

持病で向精神薬や麻薬類成分を常用している場合は、入国前に許可申請を行う必要があります。申請は通常オンラインで受け付けられ、必要書類は以下が基本です。

必要書類
  • 医師の英文または韓国語の診断書(使用目的、用量、処方期間を明記)
  • 処方箋のコピー
  • 薬の写真(パッケージ・成分表示)および旅行日程(パスポート、航空券)

申請先は韓国の薬務当局(MFDS)や、駐日大韓民国大使館が案内する申請サイトです。申請は入国日の少なくとも7〜10日前に行うのが安全です。申請が却下された場合は、その薬は持ち込めないため代替手段を準備してください。

現地での対処法と代替薬の選び方(具体的事例中心)

韓国で買える代表的な代替薬と入手方法

渡航先の韓国で簡単に買えるOTC(一般用医薬品)を知っておくと安心です。コンビニや薬局で買える代表例を挙げます(店員に薬名とハングルを見せるとスムーズ)。

  • 鎮痛剤:Tylenol Tab. 500mg(타이레놀정500mg)、アセトアミノフェン系が中心。
  • 総合風邪薬:Pancol A Sol.(판콜에이내복액)、Tylenol Cold-S(타이레놀콜드에스정)など。
  • 咳止め:Whituben Q Plus cough Soft Cap.(화이투벤큐플러스코프연질캡슐)、Coughstop Plus(코푸스탑플러스)等。

韓国語が不安な場合は薬の名前とハングルをメモにして薬局に見せると、薬剤師が適切な製品を案内してくれることが多いです。

家族連れ、子ども、慢性疾患がある人の注意点

小児用薬や慢性疾患のための処方薬を持参する場合、次の点に注意してください。

  1. 小児用は成分が異なる場合があるため、必ず成分表示を確認する。
  2. 慢性疾患の処方薬は英語または韓国語の処方箋・診断書を携行する。
  3. 旅行期間が長い場合は、必要量を確保するために医師と相談し『分割処方』や『英文処方箋』を準備してもらう。

特に子ども用の薬は成分・濃度が異なることがあり、現地で同一の製品が手に入らないこともあるため、出発前の確認が重要です。

よくある質問(FAQ)と具体的なトラブル回避法

ここでは実際に旅行者からよく寄せられる疑問に対し、実務的な答えを示します。

Q:小量なら黙って持ち込めますか?

A:少量でも成分が該当すれば没収や調査対象となり得ます。成分の有無がポイントなので、黙って持ち込むのはおすすめできません。

Q:成分表が全部ハングルで分からない場合は?

A:スマホの翻訳アプリで写真翻訳する、もしくは製薬会社の公式サイトやPLAMEDplus等の医薬品データベースで成分を確認しましょう。製薬会社問い合わせ窓口に英語で確認しておくと安心です。

Q:現地で病院にかかる場合の流れは?

A:旅行者保険に医療費の補償が含まれているかを事前に確認し、病院ではパスポートを提示する必要があります。英語の通じる病院を探すか、宿泊先のフロントや日本語対応の案内サービスに相談するとスムーズです。

まとめ:要点の一覧表と最終チェック

この記事で扱った要点を分かりやすくまとめ、渡航直前に確認すべきチェックポイントを表にしました。これを印刷するかスマホに保存して出発前に確認してください。

項目 内容/例 対応アクション
禁止成分 アリルイソプロピルアセチル尿素、デキストロメトルファン、ジヒドロコデイン、コデイン パッケージの成分表を確認。該当する場合は持ち込み不可か申請
代表的に禁止報告のある薬 イブA錠系、ロキソニンSプレミアム、バファリンプレミアム、総合風邪薬の一部 出発前に代替薬購入、もしくは成分確認。必要なら申請
申請が必要なケース 持病で向精神薬や麻薬類に該当する薬を常用する場合 MFDS等にオンライン申請。医師の英文診断書、処方箋を準備
空港での注意点 元箱・添付文書を携帯、成分表の翻訳、自己使用量であることを示す 説明用の資料(翻訳、診断書)を提示。冷静に対応
現地での代替薬 Tylenol(타이레놀)、Pancol(판콜)、Whituben等のOTC 薬局で薬剤師に相談。ハングル名をメモして提示
その他注意事項 モバイルバッテリーの機内保管ルール強化等、薬以外の規制にも注意 航空会社・空港の最新案内を参照

最後に、信頼できる外部情報も併せて確認しておくと安心です。たとえば旅行情報サイトや現地のニュース記事、そして公式な申請ページを参照してください。参考情報として、下記の情報源を紹介します。

  • 韓国の渡航・税関関連の動向をまとめた記事例:KONEST: 韓国に持ち込み禁止の日本の薬
  • 旅行者向けの注意喚起を掲載するメディア記事:Funliday の渡航注意まとめ(モバイルバッテリー等との関連情報を含む)
  • 公式の申請サイト:韓国食品医薬品安全処(MFDS)の携帯医薬品申請ページ(英語あり) https://nedrug.mfds.go.kr/eng/index

規制は状況により更新されます。渡航直前に必ず公式の最新情報を確認し、疑問が残る場合はかかりつけ医や薬剤師、あるいは韓国大使館に問い合わせてください。用心深く準備すれば、現地での医療トラブルや税関トラブルのリスクは大幅に下げられます。

安全で快適な渡韓を心よりお祈りします。