6月の製作プラン:2歳児向け梅雨の遊びと月案(おかずカップ・カスタネット・シャボン玉)

6月の製作プラン:2歳児向け梅雨の遊びと月案(おかずカップ・カスタネット・シャボン玉)
6月の製作って何をねらってるの?
指先の巧緻性の促進、季節語彙の習得、自己効力感の育成が主なねらい。数日に分けて導入→制作→鑑賞と展開し、短時間の工程で達成感を積ませることで過程を重視する保育にする。
安全面や誤飲対策はどうすればいい?
小さな部品は事前に保育者が接着・固定して渡し、カッター等の鋭利工具は大人が扱う。換気・手洗い・道具の消毒や床清掃を徹底し、個々の発達差に合わせて道具を調整する。

梅雨でものびのび遊べる:2歳児の製作を月案に組み込む考え方

6月という季節性を保育にどう生かすか

6月は梅雨に入る地域が多く、外遊びが制限される日が増えます。一方で、傘やあじさい、カエル、かたつむり、てるてる坊主といった季節のモチーフが豊富で、感性や語彙を育てる絶好の題材になります。2歳児は指先の発達が目覚ましく「自分でやりたい」という欲求が高まる時期ですから、製作は発達に沿った活動として取り入れる価値があります。

保育計画に組み込む際は、単に作品を作るだけでなく、指先の巧緻性の促進・自己効力感の育成・季節理解の促進というねらいを明確にしておくと実践がぶれません。製作は一回で完結する活動にせず、数日間を通じた展開(準備→制作→鑑賞・発表→保管・展示)にすることで、集中力や持続性も育ちます。

2歳児の発達段階を踏まえたねらい設定

2歳児の特徴として、歩行が安定し、指先の操作(ちぎる、貼る、つまむ、描く)が可能になってきます。言語面でも簡単な説明を理解し始めるため、製作中に短い言葉かけや手順説明を組み合わせると学びが深まります。

具体的なねらいの例を挙げると、「紙をちぎって貼ることで指先の力加減を学ぶ」「色を認識し語彙を増やす」「友だちの作品を見ることで模倣や多様性に気づく」などです。これらを月案の評価観点に反映させると保育の質も高まります。

実施スケジュールの組み方と時間配分

2歳児の集中時間は短めです。製作は一回20〜30分を目安に、活動の最初に導入(お話や見本の提示)を5分ほど、実制作に10〜20分、最後に鑑賞や片づけで数分という流れが取り組みやすいでしょう。

また、梅雨の合間には戸外で簡単な観察(園庭の水たまり観察、あじさい探し)を取り入れ、製作の題材と結びつけることで興味が継続します。天候に応じた柔軟なスケジューリングが大切です。

ねらいの例
・指先の動きを育てる(ちぎる・貼る・塗る)
・季節語彙を増やす(あじさい・雨・かたつむり)
・自己表現と自尊感情の育成(できた!を大切に)

実践アイデア:2歳児が楽しめる6月の製作(ベーシック5+拡張案)

1)おかずカップで作る簡単な傘

材料が少なく準備も容易なため、初めての製作や短時間で済ませたい時に向きます。おかずカップを傘の屋根にして、モールや画用紙で柄を付けるだけで完成します。

安全面では、カッターや鋭利な道具は保育者が扱い、子どもにはつまむ・貼る・シールを貼る工程を任せます。雨模様をクレヨンや丸シールで表現すれば、色や模様の学習にもなります。

  • 用意するもの:おかずカップ、モール、画用紙、のり、クレヨン、丸シール
  • ポイント:貼る工程で手元が不安な子には両面テープを用意しておくと成功体験を得やすいです。

2)紙皿とキャップで作るカエルのカスタネット

音が出るおもちゃとして製作後の遊びが広がるため、音楽活動や集団あそびとつなげやすい製作です。紙皿2枚を重ね、間にペットボトルキャップや王冠を挟んで輪ゴムで固定すると簡単なカスタネットができます。

目や口は丸シールや折り紙で用意しておき、子どもが貼る工程を行うと自主性を育てられます。完成後は「かえるの合唱」に合わせて鳴らすなど、活動の発展を計画しましょう。

  1. 紙皿2枚を用意して重ねる
  2. 中心から少し外側にペットボトルキャップを置く
  3. 輪ゴムやヒモで固定して音を確かめる
  4. 顔パーツを貼って仕上げる

3)シャボン玉アートであじさいを作る(バブルアート)

シャボン玉に絵の具を混ぜて吹き付け、偶然できる模様を活かす表現活動です。視覚的に変化が大きく、子どもは出来上がるプロセスに強い興味を示します。

安全上、子どもにストローで直接吹かせる場合は誤飲防止に注意し、保育者が見本を示すか、吹く工程は大人が行い、子どもは色選びや紙の持ち方で参加させるとよいでしょう。

材料 ポイント
シャボン玉液・水彩絵の具・紙コップ・ストロー・画用紙 発泡的な模様を活かすために紙の色を変える(薄いピンクや水色がおすすめ)

4)ペットボトルで作るてるてる坊主

廃材を活かしたリサイクル製作で、家庭環境との接続がしやすいアイデアです。ペットボトルにスズランテープやシールを貼り、目や口を作れば可愛いてるてる坊主ができます。

小さな部品(王冠やキャップなど)は誤飲のリスクがあるため、2歳児が扱う際は監視と固定作業を保育者が担当します。テープ貼りやシール貼りは指先の訓練になります。

5)簡単折り紙で作るかたつむり

折り紙の折り方を簡単にアレンジして、子どもの運動感覚と手首の回転運動(ぐるぐる描き)を促す活動にします。殻を描く際にクレヨンや指先でスタンプするなど、表現の幅を持たせられます。

葉っぱや背景を付けて壁面作品にするとクラスの展示物としても映えます。糊で貼る作業は子どもの指先の力加減を学ぶ良い機会です。

拡張アイデア:感触・運動・科学に結びつける発展活動

製作を発展させて、次のような活動につなげると学びが深まります。例えば、雨音を録音してモビールと組み合わせたり、制作したカスタネットでリズム遊びを行ったり、シャボン玉アートで色の混ざり合いを観察するなどです。

これらは製作の「終わり」ではなく、遊びや環境表現、その後の生活行動(片付け・展示・保管)まで含めた一連の学習となります。

現場での配慮・安全管理・評価と保護者連携

安全管理と衛生面の配慮

2歳児を対象とする製作では、誤飲・怪我・感染予防に気を配る必要があります。小さなパーツは接着済みのものを用意するか、保育者が固定してから子どもに渡すなどリスク管理を徹底してください。

絵具やのりを使用する場合、換気や手洗いを徹底し、使用後は道具の消毒(アルコールやぬるま湯での洗浄)を行います。シールや紙片などの誤飲を避けるため、床面の清掃もこまめに行いましょう。

個々の発達差への配慮(適応例)

同じ活動でも、子どもによって興味や技能に差があります。のりが苦手な子には両面テープを使う、はさみが使えない子にはパンチで穴を開けた材料を用意するなど、達成感を得られる配慮を行いましょう。

言語面でのサポートも重要です。工程を短い言葉で繰り返したり、手順を示す絵カードを置いて視覚支援をすることで安心して参加できます。

評価の方法と保護者への伝え方

評価は作品の丁寧さだけでなく、過程で見られた行動(集中時間、他者との関わり、挑戦する姿勢)を観察記録に残すと良いでしょう。2歳児では「できた」「やってみたい」という意欲が最も重要な観点です。

保護者には完成作品の写真と一言コメント(例:「○○ちゃんはシール貼りが得意で、最後まで集中して取り組めました」)を伝えると家庭での会話も弾みます。父の日製作など、家庭とつながるテーマを取り入れると保護者参加も促せます。

環境整備と教材準備の実際的なコツ

作業スペースは、1人当たりの作業域を確保するために余裕を持たせ、汚れてもよいカバーや新聞紙を敷きます。材料は事前に小分けし、手に取りやすい箱やトレーに入れて管理すると活動がスムーズです。

保育者は準備・片付け・観察・補助の役割を明確に分担しましょう。可能なら製作前に見本を一つ作り、写真や実物を提示して活動の流れを子どもに示すと安心して参加できます。

具体的な場面の想定とトラブル対応、発展アイデア

よくある現場の課題と対応例

課題1:すぐに飽きてしまう子がいる。対応:活動を「短時間の工程」に分けて、工程ごとに成功体験を積ませる。具体的には、最初はシール貼り→次に色塗りといった分割。

課題2:道具の貸し借りでトラブル。対応:道具を個別セットにして配布し、共有するタイミングを決めて順番を守る練習をする。遊びのルールづくりも教育の一部です。

発展活動:遊びと科学・音楽・言語をつなぐ例

・科学:シャボン玉アートで「色が混ざる様子」を観察して、色の名前を増やす。保育者が色の変化を写真で記録して見せると学びが定着します。

・音楽:カエルのカスタネットを使って簡単なリズム遊びを行い、合奏や歌遊びに発展させる。拍子を取る体験はリズム感の基礎を育てます。

・言語:製作の工程を言葉で表現する練習(「ちぎる」「ぺたっと貼る」「ぐるぐる描く」)を取り入れ、語彙を増やす活動にします。

保護者向けワークショップや家庭での延長遊び案

保護者向けに短時間の製作ワークショップを開催すると、園でのねらいや家庭での関わり方を共有できます。例えば、親子で作るてるてる坊主や父の日のプレゼント工作は好評です。

家庭でできる延長遊びとしては、雨の日に窓ガラスに絵の具で描く(洗い流せるタイプを使用)や、雨音を録音して一緒に聞く活動、身近な廃材で簡単なパペットを作るなどがあります。安全に配慮しながら親子で楽しめる案を提案しましょう。

参考資料と外部リンク(実践のヒント)

詳細な作り方やアイデアは、実践サイトに多く掲載されています。以下は本記事で参照した資料の一部です。

「梅雨にぴったりの2歳児向け製作アイデア」などの事例は、ほいくisの記事にて具体的な材料とポイントが紹介されています:
ほいくis:6月の製作(2歳児向け)

また、アイデアのバリエーションや素材別の活用法はHoiClueや個人の保育ブログにも多く掲載されています。

まとめ:6月の製作(2歳児)を実践するための要点と一覧

ここまで紹介した内容を、実際の保育で使いやすく整理しました。下の表は、製作テーマごとの材料、ねらい、配慮点、発展案をまとめたものです。保育案作成や連絡帳、保護者への説明文作りにお使いください。

製作名 主な材料 教育的ねらい 安全・配慮点 発展・遊び方
おかずカップの傘 おかずカップ、モール、画用紙、のり、シール 指先の巧緻性、季節語彙 小さな飾りは接着して渡す、のりの扱いに注意 傘を吊るして壁面展示、雨の歌と結びつける
紙皿カエルのカスタネット 紙皿、キャップ、輪ゴム、折り紙、シール 音遊び、集団遊びへの導入 小さな部品は固定、保育者が音の調整 音楽遊び(合奏)、かえるの劇遊び
シャボン玉アート(あじさい) シャボン玉液、絵の具、ストロー、紙 偶然の美の体験、色彩感覚 誤飲防止、吸わないように指導または保育者が実演 色の混ざりを観察→写真に残して鑑賞会
ペットボトルてるてる坊主 ペットボトル、スズランテープ、シール、テープ リサイクル教育、指先の操作 カッターは保育者、キャップ等は誤飲管理 てるてる坊主ガーランドを作り、飾る
簡単折り紙のかたつむり 折り紙、画用紙、クレヨン、のり 手首の回転運動、色の表現 のりの量を少なくして扱いやすくする 散歩で見つけた虫や葉っぱと一緒に展示

最後に一言。6月の製作は、梅雨という制約の中で子どもたちの想像力や感性を豊かにするチャンスです。準備と配慮を丁寧に行えば、短時間の活動でも子どもは多くのことを学び、表現します。保育者は完成度よりも過程と子どもの主体性を重視し、家庭との連携を通じて保育の成果を共有していきましょう。

参考リンク:ほいくis(製作アイデア集)https://hoiku-is.jp/article/detail/2832/、HoiClue(6月の製作まとめ)https://hoiclue.jp/search/6%E6%9C%88/2、ほいくのおまもり(6月のアイデア)https://ponpococco.com/june-seisaku/