天の元后聖マリアの記念日 (年中行事 8月22日)
- 制定年
- 1954年(教皇ピオ12世)
- 典拠文書
- 回勅「Ad Caeli Reginam」
- 日付変更
- 5月31日→8月22日(1969年典礼改革)
- 典礼区分
- 義務的記念日
- 関連祭日
- 聖母被昇天(8月15日)の8日後
- 称号の原語
- Regina Caeli(ラテン語)
「天の女王(Regina Caeli)」という称号は、カトリックの神学において長い歴史を持ちます。古代から聖母マリアへの崇敬の中で語られてきたこの称号が、正式に典礼暦に記念日として刻まれたのは20世紀のことです。1954年10月11日、教皇ピオ12世は回勅「Ad Caeli Reginam(天の元后について)」を公布し、マリアの「元后」としての位格を神学的に整理しました。
回勅の核心は、マリアがなぜ「天の女王」と呼ばれるにふさわしいのかという問いへの答えにあります。教皇は聖書・教父・典礼の伝統を丁寧にたどり、マリアが「神の母(Theotokos)」であること、そしてキリストの贖いの業に「新しいエバ」として参与したことを根拠として挙げました。キリストが王であれば、その御母は女王である——この論理は単純に見えますが、回勅はそれを軽率な比喩としてではなく、信仰の遺産の中に根ざした神学的命題として提示しています。
制定当初、この記念日は5月31日に置かれていました。しかし1969年、第二バチカン公会議後の典礼改革において、パウロ6世のもとで典礼暦が大幅に再編されます。この改革の中で記念日は8月22日に移されました。聖母被昇天の祭日(8月15日)から数えて8日目にあたるこの日付は、いわゆる「オクターヴ」の伝統に基づいており、被昇天によって天に迎え入れられたマリアがその場で「元后」として栄光を受けるという流れを典礼的に表現しています。
現行のカトリック典礼暦において、この8月22日は「義務的記念日」に分類されます。「義務的記念日」とは、世界中のカトリック教会で必ず典礼的に記念しなければならない日を指し、任意の「随意記念日」とは区別されます。日本のカトリック教会でも8月22日はミサで特別な祈りとともに祝われ、聖母マリア崇敬の暦において重要な位置を占めています。
「天の元后」への信心は、典礼の外にも広がっています。復活節に唱えられる「レジナ・チェリ(Regina Caeli)」と呼ばれる賛歌は、8世紀ごろから存在が確認されており、現在も四旬節後の典礼で用いられます。また、ロザリオの「栄えの神秘」の最後にはマリアの「天の元后」としての栄光が黙想の対象として置かれており、この称号は信者の日常的な信心とも深く結びついています。
1954年はマリア年でもあり、この回勅はカトリック教会がマリア崇敬を信仰の核として確認した文書として、今日も参照されています。
8月22日の他の記念日
8月22日のカレンダー情報
8月の二十四節気・雑節
- 立秋(りっしゅう) 8月7日(金)
- 処暑(しょしょ) 8月23日(日)