成層圏発見の日 (記念日 6月8日)

成層圏発見の日
記念日の日付
6月8日
発見年
1902年(明治35年)
発見者
レオン・テスラン・ド・ボール(フランス)
成層圏の高度範囲
地表から約11〜50km
観測気球の打ち上げ数
236個以上(高度11km超達成)
発表の場
パリ科学アカデミー(1902年4月28日)

1898年6月8日の早朝、フランスの気象学者レオン・テスラン・ド・ボールは、無人気球による観測データを解析しながら、ある異常に気づきます。高度11.8kmを超えたあたりから、気温が下がるのをやめたのです。それまで常識とされていた「上空ほど寒くなる」という法則が、ある高度を境に成り立たなくなっていました。彼はこれを観測ミスとは考えず、地道に気球を飛ばし続けることで確認を重ねました。

テスラン・ド・ボールが使った気球は紙製で、ゴム製に比べて安価だったため、観測の頻度を大幅に稼ぐことができました。1902年までにパリで打ち上げた気球のうち236個が高度11km以上に到達し、そのうち74個は14km以上まで上昇しています。こうした膨大な観測データの蓄積があったからこそ、彼は自らの発見に確信を持てました。1902年4月28日、パリの科学アカデミーの会合でこの「等温層」の存在を2ページの文書にまとめて報告したのが、成層圏発見の記念日の由来です。

ほぼ同時期に、ドイツの気象学者リヒャルト・アスマンも同様の観測結果を得ており、1902年5月1日に発表しています。ただしアスマン自身がテスラン・ド・ボールの観測結果を自分の発見の補強に用いたこともあり、成層圏の発見者としてはテスラン・ド・ボールが挙げられることが多くなっています。科学の発見としては珍しくない「ほぼ同時発見」のケースです。

テスラン・ド・ボールが発見したこの層は後に「成層圏(stratosphere)」と名付けられました。地表から高度約11kmまでは対流圏と呼ばれ、空気が活発に上下に混合して雲や嵐が生まれます。一方、成層圏は高度約11〜50kmの範囲で、気温がほぼ一定に保たれているため空気の対流が起きにくく、雲も発生しません。現代の旅客機やジェット機の多くは、この成層圏の下層部付近(高度10〜13km前後)を飛行しています。乱気流が少なく安定した飛行環境が得られるためです。

成層圏には地球上の生命にとって欠かせないオゾン層が存在しています。高度約15〜35kmに集中するオゾン層は、太陽から降り注ぐ有害な紫外線の大部分を吸収し、地表の生物を守っています。かつてフロンガスによるオゾン層の破壊が深刻な問題となり、1987年のモントリオール議定書でフロンガスの規制が国際的に合意されました。その後の観測ではオゾン層の回復傾向が報告されており、成層圏の研究が国際的な環境政策を動かした好例といえます。

テスラン・ド・ボールが地道な気球観測から見つけた等温層の発見から100年以上が経ち、成層圏は今や航空工学から気候変動研究まで、様々な分野の基礎となっています。

6月8日のカレンダー情報

六曜 友引
吉日 天恩日
月齢 22.3(下弦の月)

6月の二十四節気・雑節

  • 芒種(ぼうしゅ) 6月6日(土)
  • 夏至(げし) 6月21日(日)
  • 入梅(にゅうばい) 6月11日(木)