ブルームズ・デー (記念日 6月16日)
- 正式名称
- ブルームズ・デー(Bloomsday)
- 日付
- 6月16日
- 由来
- ジョイス『ユリシーズ』主人公ブルーム
- 祝祭の中心地
- アイルランド・ダブリン
- 作品の時代設定
- 1904年6月16日 朝8時〜翌午前2時過ぎ
1904年6月16日――ダブリンの街を一人の男が歩いた、ただそれだけの話が、世界文学の頂点に立つことになりました。
アイルランドの作家ジェームズ・ジョイス(1882〜1941)による長編小説『ユリシーズ(Ulysses)』は、主人公レオポルド・ブルームがダブリン市内を朝8時から翌日午前2時過ぎまでの約18時間さまよう姿を、18の挿話で描いた作品です。意識の流れの技法を駆使し、ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』を下敷きにしたこの一冊は、プルーストの『失われた時を求めて』と並び、20世紀を代表する小説とみなされています。タイトルの「ユリシーズ」は、ギリシア神話の英雄オデュッセウスのラテン語形「ウリュッセウス」を英語化したもので、壮大な冒険譚がたった一日の市井の物語に凝縮されるという構造の妙が、読者を惹きつけてやみません。
ブルームズ・デー(Bloomsday)とは、この主人公ブルームの名を冠した記念日であり、毎年6月16日に世界中のジョイスファンが祝います。なぜ6月16日なのか。それは作中の日付であると同時に、ジョイスが後に妻となるノラ・バーナクルと初めてデートした日でもあります。私的な恋の記憶を小説の舞台に選んだところに、ジョイスの繊細さがのぞきます。
祝祭の中心地はもちろんダブリンです。毎年6月中旬にはブルームズデー・フェスティバルが開催され、参加者はエドワード朝の衣装に身を包み、作中に登場するパブや通りを巡礼します。サンディマウント海岸を散歩し、デイヴィー・バーンズ・パブでゴルゴンゾーラチーズのサンドイッチとバーガンディワインを注文する――これはブルームが作中で実際にとった行動の再現です。朗読会、演劇、パネルディスカッションなど多彩なイベントが街を彩り、ダブリンは文学都市としての顔を一層輝かせます。
ダブリンだけではありません。東京、ニューヨーク、パリ、シドニーなど世界各地でも関連イベントが催され、ブルームズ・デーは国境を越えた文学の祝祭となっています。難解とされる『ユリシーズ』ですが、この日をきっかけに手に取る読者も少なくありません。一日の物語が百年以上にわたって人々を魅了し続けている事実こそ、ジョイスの天才の証といえるでしょう。
参考リンク
6月16日の他の記念日
6月16日のカレンダー情報
6月の二十四節気・雑節
- 芒種(ぼうしゅ) 6月6日(土)
- 夏至(げし) 6月21日(日)
- 入梅(にゅうばい) 6月11日(木)