幽霊の日 (記念日 7月26日)
- 初演日
- 1825年(文政8年)7月26日
- 上演劇場
- 江戸・中村座
- 作者
- 四代目・鶴屋南北(1755〜1829年)
- 構成
- 全5幕/生世話狂言・夏狂言
- ゆかりの社寺
- 於岩稲荷田宮神社・陽運寺(新宿区)、於岩稲荷田宮神社(中央区)
1825年(文政8年)7月26日、江戸の中村座で上演された四代目・鶴屋南北作の歌舞伎狂言「東海道四谷怪談」。その初演日にちなみ、7月26日は「幽霊の日」とされています。
四谷怪談の筋は、左門の娘・お岩が夫の田宮伊右衛門に毒殺され、幽霊となって復讐を果たすというもの。江戸の町で実際に起きた事件をもとにしており、当時の観客にとってはリアリティのある物語でした。鶴屋南北が得意とした「生世話狂言」——町人の生態をありありと描く現代劇——の手法で書かれており、怪奇色と世話物の写実性を兼ね備えた全5幕の大作です。夏季興行(夏狂言)として初演されたことも、怪談と夏の結びつきを語るうえで象徴的な事実といえます。
舞台の見どころは、毒の効果で顔半分が醜く腫れ上がったお岩が髪をすきながら悶えて死ぬ場面、お岩と小平の死体を戸板1枚の表裏に釘付けにして川に流し、伊右衛門が両面を反転して見るという壮絶な場面、蛇山の庵室で夥しい数の鼠と怨霊に追い詰められる場面など。視覚的な衝撃を計算した演出が、初演から約200年を経た現在もなお語り継がれています。
舞台の土地柄も興味深いところです。物語の舞台は江戸の雑司ヶ谷四谷町、現在の豊島区雑司が谷にあたります。一方、現在の新宿区左門町には「於岩稲荷田宮神社」と「於岩稲荷陽運寺」が道を挟んで向かい合わせに建っており、中央区新川にも「於岩稲荷田宮神社」があります。お岩さんを祀るこれらの社寺は、今も「お岩稲荷」として参拝を受け続けています。
四谷怪談はその後、三遊亭円朝(1839〜1900年)が落語として語り継いだほか、映画・テレビドラマへと形を変えながら繰り返し上演されてきました。歌舞伎の舞台で生まれた物語が、時代も媒体も超えて現代まで届いている背景には、鶴屋南北が仕組んだ視覚と感情への精密な働きかけがあります。
参考リンク
7月26日のカレンダー情報
7月の二十四節気・雑節
- 小暑(しょうしょ) 7月7日(火)
- 大暑(たいしょ) 7月23日(木)
- 夏の土用(どよう) 7月20日(月)
- 半夏生(はんげしょう) 7月2日(木)