形状記憶合金の日 (記念日 8月9日)

形状記憶合金の日
発表年
1982年(昭和57年)
発表場所
ベルギー
発表機関
東北大学
代表合金名
ニチノール(ニッケル+チタン合金)
変態点温度
0〜100℃(成分比で調整可能)
主な用途
医療用ステント・歯列矯正ワイヤー・配管継手など

金属なのに、変形させても熱を加えると元の形に戻る。そんな一見不思議な性質を持つ素材が形状記憶合金です。1982年(昭和57年)のこの日、ベルギーで東北大学のグループが形状記憶合金に関する研究成果を発表したことを記念して制定されました。

形状記憶合金の原理は、マルテンサイト変態と呼ばれる金属組織の変化にあります。低温状態(マルテンサイト相)では変形しやすく、外力を加えると原子どうしの結合を保ったまま形が変わります。これを変態点以上の温度に加熱すると、原子が元の配置に戻ろうとして、変形前の形状を回復するのです。合金の成分比を調整することで、この変態点の温度をコントロールできるのが実用上のポイントです。

最も広く知られているのが、ニッケルとチタンを約1対1の原子比で混合したニチノール(Nitinol)です。1959年から1961年にかけて米国海軍研究所(Naval Ordnance Laboratory)のウィリアム・ビューラーらが発見し、1963年に公表されました。「Nitinol」という名称は、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、研究所名(NOL)の頭文字を組み合わせたものです。ニチノール系合金の変態点は成分比によって0〜100℃の範囲で自在に設定でき、この柔軟性が幅広い用途を支えています。

用途の広がりは目を見張るものがあります。産業分野では、配管の継手やセンサー、アクチュエーターとして使われています。医療分野では、血管内を通して留置するステントや歯列矯正のワイヤーにニチノールが採用されており、体温で変態点を超えると自然に所定の形状へ戻る性質を巧みに利用しています。身近なところでは、洗濯しても型崩れしにくいブラジャーのワイヤーにも使われており、加熱によって元の形に戻る特性が日常品の品質維持に役立っています。形状記憶合金の市場の95%以上をニッケルチタン系合金が占めているとされ、その存在感は圧倒的です。

1951年に金―カドミウム合金で形状記憶効果が初めて確認されてから70年以上が経ちます。素材としての可能性はまだ広がっており、より安価な合金系の開発や、繰り返し変形に耐える疲労特性の向上などが現在も研究されています。「記憶する金属」は、科学の積み重ねが生んだ精巧な発明といえます。

8月9日のカレンダー情報

六曜 友引
吉日 神吉日
月齢 25.7

8月の二十四節気・雑節

  • 立秋(りっしゅう) 8月7日(金)
  • 処暑(しょしょ) 8月23日(日)