重陽の節句・菊の節句 (年中行事 9月9日)
- 日付
- 9月9日
- 別名
- 菊の節句・栗の節句
- 起源
- 古代中国の陰陽思想。奇数(陽数)の最大値「9」が重なる日
- 主な風習
- 菊酒を飲む・着せ綿・栗ごはんを食べる
- 衰退の背景
- 明治6年の太陽暦採用後、9月9日と菊の開花時期がずれるように
- 関連する伝説
- 菊の霊力で700年生きた「菊慈童(きくじどう)」(能の演目)
9が2つ重なる9月9日は、古代中国の陰陽思想では「陽の極が二重に重なる日」として捉えられ、非常にめでたいと同時に大きな転換点とも考えられていました。この思想が日本に伝わり、「重陽の節句」として根付いたのは平安時代のことです。宮中では菊花を愛でる宴が盛んに催され、やがて武家・町人へと広まっていきました。
重陽の節句の主役は、菊の花です。古代中国では菊は仙薬とされ、「菊慈童(きくじどう)」という伝説が伝わっています。王の枕をまたいだ罪で山中に流された少年が、菊の葉に記された霊句の力により700年を生き続けたという物語で、能の演目にもなりました。菊の露には長寿の霊力が宿ると信じられていたため、節句前夜には菊の花に色とりどりの綿をかぶせ、翌朝その綿に染みこんだ露で身体をぬぐう「着せ綿(きせわた)」の風習が生まれました。赤い菊には白い綿、白い菊には黄の綿というように色の組み合わせにも風雅なこだわりがありました。
お酒の席では「菊酒(きくざけ)」が振る舞われました。菊の花びらを蒸して冷酒に浸した菊酒は、邪気を払い長寿を授けるとされ、平安の宮中から江戸の庶民まで広く親しまれました。菊の清涼な香りが移ったその酒は、単なる飲み物を超えた儀式的な意味合いを持っていました。
食の面では、江戸時代から栗ごはんを食べる習慣が定着し、「栗の節句」という別名も生まれました。旧暦の9月9日は新暦に換算すると10月上旬ごろにあたり、ちょうど栗の収穫時期と重なることから自然に結びついたものです。同じ理由で、秋なすを食べる風習も各地に見られました。
五節句は明治6年(1873年)の太陽暦採用に伴い政府の公式行事から外されました。他の節句は季節感と一致する形で現代に生き続けましたが、重陽の節句は旧暦と新暦のずれが大きく、9月9日の時点では菊もまだ咲いていないことが多いため、次第に存在感が薄れていきました。それでも現在、この時季には菊をモチーフにした和菓子や栗餡を使った菓子が店頭に並び、茶道の世界では重陽の節句に合わせた茶会も催されます。五節句の中で最も忘れられた節句とも言われる重陽ですが、その底流には菊と長寿を結びつけた悠久の思想が静かに息づいています。
参考リンク
9月9日の他の記念日
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9月9日のカレンダー情報
9月の二十四節気・雑節
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