翻訳の日 (記念日 9月30日)
- 日付の由来
- 聖書をラテン語に訳した神学者ヒエロニムスの命日(420年9月30日)
- ウルガタ
- ヒエロニムスが約20年かけて完成させたラテン語訳聖書
- 国際的な記念日
- 国際翻訳家連盟・国連がInternational Translation Dayとして制定
- JTF設立
- 1981年(昭和56年)4月創立。産業翻訳の業界団体
- 日本での認定年
- 2019年(令和元年)
- JTF翻訳祭
- 翻訳者・翻訳会社・発注企業が集う国内最大規模の翻訳イベント
4世紀のキリスト教神学者ヒエロニムスは、347年頃に現在のクロアチア付近で生まれ、ローマ・アンティオキア・コンスタンティノープルで学んだ後、382年頃にローマ教皇ダマスス1世の依頼を受け、聖書のラテン語翻訳という大事業に着手した。当時、ラテン語訳聖書は地域によって内容がバラバラで、礼拝や神学論争に混乱をきたしていた。ヒエロニムスはギリシア語の新約聖書から始め、さらに旧約聖書についてもヘブライ語の原典に直接向き合い、約20年をかけて翻訳を完成させた。
この訳業の成果が「ウルガタ(Vulgata)」と呼ばれるラテン語訳聖書です。「ウルガタ」とはラテン語で「広く普及した(訳)」を意味し、5世紀以降に西方世界で徐々に権威を持ち始め、中世ヨーロッパでは事実上、唯一の聖書テキストとして流通しました。1545年に始まったトリエント公会議では、ウルガタがカトリック教会の公式ラテン語聖書として正式に承認されており、その影響は現代にまで及んでいます。なお「ウルガタ」の名は後世に定着したもので、ヒエロニムス自身がこう呼んだわけではありません。
ヒエロニムスが没したのは420年9月30日とされています。この命日にちなみ、国際翻訳家連盟(FIT)は9月30日を「世界翻訳の日(International Translation Day)」に定め、国連も同日を「国際翻訳デー」として制定しています。翻訳という営みを象徴するに足る人物の命日が、言語の壁を越えようとする人々の記念日に選ばれたことは、ごく自然な流れです。
日本では、東京都中央区京橋に事務局を置く一般社団法人・日本翻訳連盟(JTF)がこの日を「翻訳の日」として制定し、2019年(令和元年)に日本記念日協会により認定・登録されました。JTFは1981年(昭和56年)4月の創立以来、産業翻訳の振興を担う業界団体として調査・研修・人材育成などを手がけてきました。毎年開催される「JTF翻訳祭」は、翻訳者・翻訳会社・発注企業・ツールメーカーが一堂に会する国内最大規模の翻訳イベントとして知られ、講演・パネルディスカッション・展示会などが行われます。
一言で「翻訳」といっても、その作業は単なる語句の置き換えではありません。原典の時代背景・文化・語感を深く理解した上で、受け手の言語に再構築する知的創造の営みといえます。ヒエロニムスがヘブライ語の原典と格闘しながら磨き上げた姿勢は、千数百年後の今日も翻訳に携わる人々に受け継がれています。
参考リンク
9月30日の他の記念日
9月30日のカレンダー情報
9月の二十四節気・雑節
- 白露(はくろ) 9月7日(月)
- 秋分(しゅうぶん) 9月23日(水)
- 秋の彼岸(ひがん)入り 9月20日(日)
- 二百十日(にひゃくとおか) 9月1日(火)
- 二百二十日(にひゃくはつか) 9月11日(金)
- 秋の社日(しゃにち) 9月23日(水)