未払いの残業代はいつまで請求できる?
- その月の分を請求できる最終日 2029年10月23日(火)あと1095日 給料日を1日目に数えて3年(3年後の給料日の前日まで)。休日でも延びない
労働基準法115条は賃金の請求権の時効を行使できる時から五年間とし、附則143条3項が当分の間、退職手当を除く賃金は三年間と読み替えています。 出典:労働基準法115条・附則143条3項・民法140条・143条・民法142条
時効の期間なので、末日が土日・祝日でも一律には延びません(民法142条は取引をしない慣習がある場合に限るため)。
3年は2020年4月1日以後に給料日が来た賃金に当てはまります。それより前の給料日の分は従前の2年で、すでに時効になっています。
今日は 2026年10月24日(土)
未払いの残業代は、本来の給料日から3年で時効になります(労働基準法115条・附則143条3項。退職金は5年)。今日(2026年10月24日(土))が給料日の月の分なら、請求できる最終日は2029年10月23日(火)です。給料日ごとに1か月分ずつ時効が来ます。
この答えが当てはまる範囲
会社に雇われて働き、残業代など賃金の一部が払われていない人(退職した人を含む)。日付の決まり方
未払いの残業代(賃金)は、本来の給料日から3年で時効になります(労働基準法115条・附則143条3項)。 出典:e-Gov法令検索「労働基準法115条」(2026-10-02 照合)給料日から3年。1か月分ずつ時効が来る
残業代も賃金なので、時効は労働基準法115条で決まります。同条は賃金の請求権を「これを行使することができる時から五年間」としていますが、附則143条3項が「当分の間」、退職手当を除く賃金は「三年間」と読み替えています。いまの残業代の時効は3年です。
3年は、2020年4月1日の法改正の後に給料日が来た賃金に当てはまります。改正法の附則は、施行日より前に支払期日が来た賃金の時効は従前の例(2年)によるとしています。2020年3月以前の給料日の分は、すでに時効になっています。
時効は、残業をした日ではなく、その残業代を払うはずだった給料日から進みます。「行使することができる時」は支払期日だからです。給料日はその日の始まりから請求できるので、給料日を1日目に数えます(民法140条ただし書)。2026年10月25日が給料日の月の分なら、3年後の給料日の前日の2029年10月24日が請求できる最終日です。
時効は1か月分ずつ来ます。毎月の給料日ごとに、その月に払われるはずだった残業代の3年が別々に進むので、請求が遅れると古い月の分から順に請求できなくなります。上の計算に給料日を入れると、その月の分の最終日が出ます。
末日が土曜日・日曜日・祝日でも、一律に翌日へは延びません。民法142条が休日の翌日に満了するとしているのは「その日に取引をしない慣習がある場合に限り」だからです。期限が近い月の分は早めに動きます。
時効が迫っているときは、会社に支払いを求める催告をすると、その時から6か月は時効が完成しません(民法150条1項)。ただし、催告で止まっている間にもう一度催告しても延びないため、その6か月の中で労働審判や訴えなどの手続きに進む必要があります。催告は、いつ届いたかを証明できる内容証明郵便で送るのが一般的です。
請求には、タイムカード、業務日報、パソコンのログ、給与明細など、働いた時間と払われた額が分かる記録が要ります。退職後は集めにくくなるので、在職中から写しを残しておきます。相談先には労働基準監督署や、弁護士・社会保険労務士があります。
給料日から数えた時効の最終日(今日の場合の日付の並び)
下の図は、給料日が今日(2026年10月24日(土))の月の分の残業代の日付の並びです。給料日を1日目として3年後の2029年10月23日(火)が請求できる最終日で、この日の終わりに時効が完成します。時効は1か月分ずつ、給料日ごとに別々に進みます。
給料日から時効までの日付
- 2026年10月24日(土)給料日(この日が1日目)
- 2029年10月23日(火)請求できる最終日(この日の終わりに時効が完成)
- 2029年10月24日(水)この日からは請求できない
自分の場合:給料日ごとの請求できる最終日(今日から前の例)
この表の見方:左が給料日の例、真ん中がその月の分を請求できる最終日、右が時効の年数です。今日から前の1年ごとの給料日を並べたので、古い月の分ほど最終日が近づいています。3年前の明日が給料日だった分は、最終日が今日です。3年前の今日までに給料日が来た分は、すでに時効です。
| 給料日 | 請求できる最終日 | 時効の年数 |
|---|---|---|
| 今日が給料日の分(2026年10月24日(土)) | 2029年10月23日(火) | 3年(2020年4月1日以後に給料日が来た分) |
| 1年前の今日が給料日だった分(2025年10月24日(金)) | 2028年10月23日(月) | 3年(2020年4月1日以後に給料日が来た分) |
| 2年前の今日が給料日だった分(2024年10月24日(木)) | 2027年10月23日(土) | 3年(2020年4月1日以後に給料日が来た分) |
| 3年前の明日が給料日だった分(2023年10月25日(水)) | 2026年10月24日(土) | 3年(2020年4月1日以後に給料日が来た分) |
| 2020年3月31日が給料日だった分(2020年3月31日(火)) | 2022年3月30日(水) | 2年(2020年3月以前の給料日の分。すでに時効) |
なぜ3年なのか・休日でも延ばさずに数える理由(時効の数え方)
労働基準法115条は、賃金の請求権を「これを行使することができる時から五年間」としていますが、附則143条3項が「当分の間」、退職手当を除く賃金は三年間と読み替えています。2020年改正法(令和2年法律第13号)の附則2条2項により、3年は施行日(2020年4月1日)以後に支払期日が来た賃金に当てはまり、それより前は従前の2年です。
「行使することができる時」は、その残業代を払うはずだった給料日(支払期日)です。給料日はその日の始まりから請求できるので、民法140条ただし書により給料日を1日目に数え、3年後の給料日の前日が最終日です。厚生労働省の案内も、2020年4月1日に発生した賃金の請求権は2023年3月31日に時効が完成するとしています。
民法142条が、末日が休日のときに翌日に満了するとしているのは「その日に取引をしない慣習がある場合に限り」です。一律には延びないため、この表と図は休日でも延ばさずに数えています。
注意(時効を止めたいとき・集めておく記録)
迷いやすい点だけを短くまとめます。くわしくは上の説明にあります。
- 時効が迫っているときに会社へ支払いを求める催告をすると、その時から6か月は時効が完成しません(民法150条1項)。催告で止まっている間にもう一度催告しても延びないため、その6か月の中で労働審判や訴えなどの手続きに進む必要があります。
- 催告は、いつ届いたかを証明できる内容証明郵便で送るのが一般的です。
- 時効は1か月分ずつ来るので、請求が遅れると古い月の分から順に請求できなくなります。退職金は5年で、残業代などの賃金とは年数が違います。
- 請求には、タイムカード、業務日報、パソコンのログ、給与明細など、働いた時間と払われた額が分かる記録が要ります。退職後は集めにくくなるので、在職中から写しを残しておきます。
- 相談先には労働基準監督署や、弁護士・社会保険労務士があります。
この記事の根拠
- 法令:e-Gov法令検索「労働基準法115条」
「この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間」 - 法令:e-Gov法令検索「労働基準法附則143条3項」
「第百十五条の規定の適用については、当分の間、同条中「賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間」とあるのは、「退職手当の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)の請求権はこれを行使することができる時から三年間」とする。」 - 法令:e-Gov法令検索「労働基準法 附則(令和2年法律第13号)2条2項」
「施行日前に支払期日が到来した同法の規定による賃金の請求権の時効については、なお従前の例による。」 - 法令:e-Gov法令検索「民法140条」
「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。」 - 法令:e-Gov法令検索「民法142条」
「その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。」 - 官公庁:兵庫労働局「未払賃金が請求できる期間」(p.24)
「2020年4月1日に発生した賃金請求権の場合 … 2023年3月31日 ここで消滅時効が完成!」 - 法令:e-Gov法令検索「民法150条」
「催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。」
2026年10月14日に出典と照合しました。
残業代の時効のよくある質問
残業代の時効は2年ですか、3年ですか?
残業代などの賃金は3年(2020年4月1日以後に給料日が来た分)です。2年が残るのは賃金以外の請求権で、労働基準法115条は、災害補償その他の請求権(賃金を除く)の時効を2年としています。賃金に関わる期間はほかにもあります。時間外・休日・深夜の割増賃金(同法37条)が払われなかったとき、裁判所が未払金と同じ額の付加金の支払を命じることがあり、その請求は違反のあった時から当分の間3年以内にします(同法114条・附則143条2項)。会社が賃金台帳などを保存する期間も、当分の間3年です(同法109条・附則143条1項)。
3年はいつから数えますか?
給料日が月末の会社では、月によって最終日の出方が変わります。2024年2月の末日払い(給料日2024年2月29日(木))の分は、3年後の応当日の2027年2月29日が無いので、その月の末日の2027年2月28日(日)が最終日です。給料日が2025年2月28日(金)の分は、応当日の前日の2028年2月27日(日)が最終日です。どちらも日曜日ですが、このページでは休日でも延ばさずに数えます(民法142条が翌日に延ばすのは、その日に取引をしない慣習がある場合に限るためです)。また、3年が過ぎても権利が自動で消えるわけではなく、時効は会社が主張(援用)して初めて裁判で認められます(民法145条)。
時効を止める方法はありますか?
会社に催告すると6か月は時効が完成しません(民法150条)。その間に労働審判や訴えなどに進む必要があります。