ベストカレンダーのロゴ ベストカレンダー

鴻池組が示す建設現場の酷暑対策ロードマップ

包括的酷暑対策ロードマップ

開催日:3月6日

📅 カレンダーに追加:GoogleiPhone/Outlook

包括的酷暑対策ロードマップ
ロードマップって具体的に何をするの?
夏季連続休暇や週休3日、サマータイム導入、WBGT基準での作業中止、ウォータータイムや冷却設備導入など、制度・環境・科学的検証を組み合わせ段階的に実施する計画だよ。
いつから施策は始まるの?
発表自体は2026年3月6日だが、施策は段階的に運用・効果検証を経て導入する方式で、現時点で個別施策の具体的な開始日は公表されていない。

酷暑が直撃する建設現場――被害の現状と生産性への影響

株式会社鴻池組は2026年3月6日13時03分に、建設業界初となる包括的な酷暑対策ロードマップを策定したと発表しました。社長は渡津 弘己氏で、本リリースは熱中症対策を中心に、現場の安全性と働き方の抜本的な見直しを目的としています。

背景にあるのは近年の気候変動による暑熱化と、それに伴う建設現場での熱中症被害の増加です。鴻池組が示したデータでは、2020年から2024年の建設業における熱中症による死傷者数は961人、うち死亡者は54人に達し、全産業に対する占有率はそれぞれ20.4%、40.3%と極めて高い水準です。これらは労働安全面のみならず、経済面でも重大な影響を及ぼしています。

  • 東京都の猛暑日数は2020年以降増加傾向にある。
  • 気温が24℃を超えると労働生産性は低下し、33℃を超えると生産性は約50%にまで落ち込む。
  • 屋外就労が中心の建設技能労働者数は約26万人。

これらを踏まえ、鴻池組は労働生産性低下を「消えた労働力」として算出しています。具体的には、屋外就労建設労働者26万人×猛暑日20日間(6月~8月の平均猛暑日数を想定)×生産性▲50%=消えた労働力260万人という試算を示しています。政府のガイドライン(厚生労働省)では作業時間調整や休憩・水分補給の徹底が推奨されていますが、鴻池組はこれを踏まえた恒常的な対策の必要性を強調しています。

鴻池組、建設業界初の包括的酷暑対策ロードマップを策定 画像 2

業界初の包括的酷暑対策ロードマップの中身

鴻池組が掲げるロードマップは「建設現場を一番幸せな職場にする」という目標のもと、熱中症対策を中核に据えた複合的な施策群で構成されています。短期的な対処ではなく、制度設計・労働条件・現場環境の三方向から段階的に導入する点が特徴です。

以下に示すのは、リリースで明示された核となる施策とその概要です。具体的な運用方法や導入時期は段階的に実施するとしています。

鴻池組、建設業界初の包括的酷暑対策ロードマップを策定 画像 3

核となる施策(労働や勤務日数の観点)

勤務形態や休暇制度の見直しによって酷暑期の就労負荷を低減することが狙いです。鴻池組は複数の選択肢を提示しています。

  • 夏季連続休暇:8月に3週間連続閉所するか、7月~9月の間で分割して閉所する制度の導入。
  • 週休3日制:水土日、金土日、土日月のようなシフト例を想定して週休3日を導入し、酷暑期の稼働日数を削減。
  • サマータイム:労働時間の短縮や朝夕シフト化により高温時間帯の就業を避ける。
鴻池組、建設業界初の包括的酷暑対策ロードマップを策定 画像 4

核となる施策(安全や労働環境の観点)

現場環境の整備と作業判断基準の明確化により、熱中症リスクを低減します。技術的な設備導入や運用ルールの徹底も含まれます。

  • ウォータータイム:水分補給とこまめな休憩をルール化する実施時間帯の設定。
  • WBGT基準による作業中止:WBGTが一定値(現時点で33℃超過を検討)を超えた場合は作業を中止する措置。
  • 環境整備:休憩スペースの充実、冷却機器の導入、現場でのミストシャワー設置事例の展開等。

加えて、ミストシャワーの設置など具体的な冷却設備導入事例も示されており、現場での運用検証を重ねながら設備導入を進める予定です。

段階的導入のロードマップ

リリースでは施策を段階的に導入するロードマップが想定されているとされています。図示はされていませんが、方針としては優先度の高い安全対策から順次実装し、制度改定や就業条件の変更は運用・効果検証を経て拡大していく方法です。

段階的導入に際しては科学的データの蓄積や効果検証を重視し、DX・ICTの活用、適切な設備機器の積極導入を組み合わせるとしています。

関係機関との協議内容と期待される社会的意義

鴻池組は国土交通省と厚生労働省の合同意見交換に参加しており、当該会合には鴻池組と(一社)日本型枠工事業協会の後町専務理事が出席しました。会議では変形労働時間制の運用、建設技能者の給与体制の変革、専門工事業者の資金繰りなど多面的な課題について活発な議論が行われたと報告されています。

意見交換のポイントは以下の通りです。

  1. 変形労働時間制を含む就業制度の柔軟化とその運用ルール。
  2. 技能労働者の給与体制見直しによる処遇改善。
  3. 専門工事業者の資金繰り支援や契約条件の調整。
  4. 科学的根拠に基づく施策の効果検証とデータ整備。

これらの議論を受け、鴻池組は自社だけでなく業界全体への波及効果を見据えた施策実装を目指しています。想定される効果には、労働安全性の向上、建設業のイメージ改善による新規入職者獲得、技能労働者の定着率向上、効率的な施工による品質向上・工期短縮などが挙げられます。

また、制度面だけでなくDX・ICTの活用や適切な設備導入を通じて、厳しい気象条件下でも労働生産性を確保する取り組みが促進される点が強調されています。

要点整理と今後の対応(表形式でのまとめ)

以下の表は本リリースで示された主要事項を整理したものです。実施方針、想定基準、関係者、今後の取り組み内容を一目で確認できるようにまとめています。

項目 内容
発表日 2026年3月6日 13時03分
発表者 株式会社鴻池組(社長:渡津 弘己)
対象課題 建設現場における熱中症対策および酷暑期の就業環境改善
主な背景データ
  • 2020–2024年:熱中症による死傷者961人、死亡54人
  • 占有率:死傷者20.4%、死亡40.3%
  • 屋外就労者:約26万人、想定猛暑日数20日で消えた労働力260万人
核となる施策(勤務面) 夏季連続休暇(8月3週間または7–9月分割)、週休3日制、サマータイム導入
核となる施策(安全・環境面) ウォータータイム、WBGT基準(検討値:33℃超)での作業中止、休憩スペース・冷却機器・ミストシャワー導入
関係機関との連携 国土交通省・厚生労働省との意見交換、(一社)日本型枠工事業協会後町専務理事らと協議
今後の対応 関係機関や協力会社との協議強化、発注者との対話、契約条件への反映検討、科学的データ蓄積とDX活用
参照リンク https://www.konoike.co.jp/news/2026/202603063525.html

表で整理した通り、鴻池組のロードマップは労働制度の見直し、現場環境の整備、科学的検証の三点を柱に、段階的かつ継続的に施策を実行していく設計です。今後は関係機関や協力会社との連携のもと、制度や設備の実装・検証を重ねることで、現場で働く人々の安全性と働きやすさの向上を図ることが示されています。