藤本壮介設計の純木造ホテル構想、浅草に5階以上
ベストカレンダー編集部
2026年3月28日 11:49
AQホテル浅草発表
開催日:3月19日
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シンポジウムが示した「中大規模木造普及」の新たな潮流
株式会社AQ Group(本社:埼玉県さいたま市西区、代表取締役社長:加藤博昭)は、2026年3月27日付のリリースで、今月19日に開催したシンポジウム「中大規模木造は、みんなの手に届くか。」の結果と同日行われた記者発表の内容を公表した。会場参加は200名を超えて満席となり、YouTubeライブ配信の視聴者は1万人以上に達したと報告されている。これらの数値は、木造建築に対する公共・業界双方の関心が高まっていることを示している。
シンポジウムは、木造建築の技術的・制度的課題や普及に向けた実践例をめぐる議論が中心で、登壇者は木造分野で先導的な研究者・実務家が揃った。進行役を務めたのは日経アーキテクチュア元編集長で画文家の宮沢洋氏で、パネルディスカッション形式で幅広い論点が提示された。
議論の焦点と参加者構成
シンポジウムでは「中大規模木造がどのように社会実装されるか」「地域工務店や地場ゼネコンによる事業展開」「法規・防耐火・材料供給の整備」など、当面の課題と可能性が議題になった。パネルディスカッションには、建築実務と学術を横断する有識者が登壇し、具体的事例と政策の両面から意見を交わした。
登壇者は次の通りで、各氏が自身の知見から中大規模木造の普及に関する考えを述べた。
- 藤本壮介氏(建築家、昨年の大阪・関西万博で大屋根リングを手掛けた)
- 三井所清典氏(日本建築士会連合会名誉会長)
- 宮澤俊輔氏(日本住宅・木材技術センター理事長)
- 稲山正弘氏(東京大学名誉教授、木質構造の専門家)
- 安井昇氏(木造建築防耐火研究の第一人者)
- 宮沢洋氏(日経アーキテクチュア元編集長、進行役・画文家)
パネルで示された主要な見解と発言内容
登壇者の発言は木造建築の社会的意義や技術的進化に関するものであり、各氏が異なる視点から中大規模木造の可能性を語った。大阪・関西万博の主要構造物である大屋根リングの存在を踏まえ、藤本氏は木造が「未来の住環境をつくるきっかけ」になったとの認識を示した。
三井所氏は具体的な普及施策の一例として、日本建築士会連合会が実施する3階建て都市木造業務ビルの講習会を挙げ、準防火地域の基準を満たす準耐火建築の普及を説明した。宮澤俊輔氏は脱炭素への寄与という視点から国産材の積極活用を主張し、稲山氏はAQ Groupの中大規模木造がプレカット材や地元大工の技術を活用する点を「オープンなインフラ」として評価した。
登壇者の主な発言(要点整理)
- 藤本壮介氏
- 「大阪・関西万博の大屋根リングができたことで、木造が未来の住環境をつくっていくと感じるきっかけになったのではないか」と述べ、デザインと木造技術の融合による都市景観の変化に言及した。
- 三井所清典氏
- 「昨年から日本建築士会連合会では3階建ての都市木造業務ビルの講習会を始めた。これは準防火地域の基準を満たす準耐火建築であり、燃えない安全な建築物であることを広めている」と教育と基準整備の重要性を説いた。
- 宮澤俊輔氏
- 脱炭素の観点から木材利用を支持し、「国産材の積極活用」を訴えた。木材の環境面での利点を市場形成の要素として提示した。
- 稲山正弘氏
- 「AQ Groupが手掛ける中大規模木造は、住宅用のプレカット材を活用し、地元の大工が安く建てられるというオープンなインフラとなっている。これにより非住宅の分野が広がるのでは」と述べ、既存技術の転用による普及可能性に言及した。
- 安井昇氏
- 「20年後には中大規模木造の建築が“普通”になってほしい。今がそのスタートを切るタイミングなのではないか」と述べ、防耐火・安全性の確保を前提とした普及期待を示した。
- 宮沢洋氏(進行)
- 司会進行の立場から「中大規模木造建築の普及は“着火点”の手前まで来ている」との整理を示し、参加者の議論を総括した。
AQ Groupによる「AQホテル浅草(仮称)」発表の詳細
シンポジウム当日の記者発表会「狼煙を上げる会」では、AQ Group創業者で現・代表取締役会長の宮沢俊哉氏が新プロジェクト「AQホテル浅草(仮称)」を公表した。設計を担当するのはシンポジウム登壇の藤本壮介氏であることが明らかにされた。
発表によれば、建築予定地は東京都台東区の浅草で、浅草花やしきや浅草寺の近隣に用地を取得している。階層は5階以上を想定しており、構造はAQ Group独自の「AQ木のみ構法」を採用する純木造の宿泊施設で、柱や壁など主要構造体に鉄やコンクリートを一切用いない点が特徴である。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| プロジェクト名(仮称) | AQホテル浅草(仮称) |
| 設計 | 藤本壮介氏(建築家) |
| 所在地(想定) | 東京都台東区(浅草花やしき、浅草寺付近) |
| 階層 | 5階以上を想定 |
| 構造 | 純木造(AQ木のみ構法)、柱・壁に鉄・コンクリート不使用 |
| コンセプト | スモールラグジュアリー、インバウンド需要・富裕層を想定 |
発表では、AQ木のみ構法により高耐震性と大空間を両立できること、同技術を普及させることで地域工務店や地場ゼネコンが中大規模木造に参入しやすくなる点が強調された。また、記者発表の場で宮沢氏は「地域工務店は3階建ての中大規模木造が建てられると確信している」など、普及に向けた強い意志を表明した。
市場規模とAQ Groupの戦略的取り組み
国土交通省「建築着工統計調査2024」によれば、建築物に占める木造比率は全国で47%に上る。ただし「1階から3階の低層非住宅」における木造比率は約7%に留まり、ここに大きな市場機会が存在するとの分析が示された。
リリースでは「1階から3階の低層非住宅・非木造」が合計約14,112,000㎡であり、㎡単価48万円を仮定すると約7兆円規模の市場になると試算している。この数値は地域工務店にとって潜在的なブルーオーシャンであり、AQ Groupは自社技術のライセンス提供を通じて地場事業者の参入を促す方針を打ち出している。
- AQ木のみ構法の実績:純木造8階建て本社ビル、500㎡超の無柱大空間純木造倉庫の建築実績を提示。
- 組織的取り組み:2024年に結成したフォレストビルダーズを「AQフォレスト次代ビルダー」へ改称し、普及活動を展開。
- スローガン:「木造は地球を救う」。地域工務店、地場ゼネコン、不動産投資家、行政、学術関係者と連携して普及を目指す。
普及のための期待される効果と課題
期待される効果には、地域経済の活性化、国産材の需要拡大、脱炭素効果の寄与、設計・施工ノウハウの共有による建設コストの抑制などが含まれる。AQ Groupはこれらを見据えた技術移転とライセンス提供を通じて、中大規模木造建築の裾野を広げる考えを示している。
一方で課題としては、防耐火性能の確保、法規制の適用範囲、材料供給体制の整備、人材育成の必要性が残る。シンポジウム参加者からは、教育・講習・規格整備など制度設計面での対応強化が繰り返し指摘された。
この記事の要点整理
以下の表は、本記事で触れた主要事項を整理したものである。シンポジウム開催の事実、登壇者、AQホテル浅草(仮称)の概要、市場規模の試算、AQ Groupの組織的取り組みなどを網羅している。
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| プレスリリース発行者 | 株式会社AQ Group(代表取締役社長:加藤博昭) |
| リリース日時 | 2026年3月27日 15時00分 |
| シンポジウム開催日 | 2026年3月19日(リリースでは「今月19日」と表記) |
| 会場参加者数 | 会場参加は200人超(満席) |
| 配信視聴者数 | YouTubeライブ配信で1万人以上の視聴 |
| 主要登壇者 | 藤本壮介氏、三井所清典氏、宮澤俊輔氏、稲山正弘氏、安井昇氏、進行:宮沢洋氏 |
| 記者発表(同日) | AQホテル浅草(仮称)プロジェクト発表、設計:藤本壮介氏 |
| AQホテル浅草の構造 | 純木造(AQ木のみ構法)、柱や壁などの構造体に鉄・コンクリート不使用、5階以上を想定 |
| コンセプト | スモールラグジュアリー、インバウンド需要・富裕層を想定 |
| 建築市場の指標 | 木造比率:全国47%(建築着工統計調査2024)。低層非住宅の木造率:約7%。対象面積:約14,112,000㎡、㎡単価48万円で約7兆円規模の市場想定 |
| 組織的取り組み | フォレストビルダーズを「AQフォレスト次代ビルダー」へ改称、技術普及と連携を推進 |
| 参考リンク | https://www.aqura.co.jp/event/symposium/ |
本稿では、AQ Groupが2026年3月に公表したシンポジウムと記者発表の内容を整理して伝えた。シンポジウムは中大規模木造の普及に向けた技術的・制度的な議論を提示し、同日発表された「AQホテル浅草(仮称)」はその実践例として注目される。市場規模の試算やAQ Groupの組織的取り組みは、地域工務店や地場ゼネコンが新たな事業領域に参入する可能性を示している。