ベストカレンダーのロゴ ベストカレンダー

全国放置空き家率増減MAPで見る地域格差と対策

放置空き家率増減MAP公開

開催日:5月4日

📅 カレンダーに追加:GoogleiPhone/Outlook

放置空き家率増減MAP公開
このMAPで自分の市の放置空き家の増減って分かるの?
はい。2008年→2023年の市区町村別の放置空き家率の変化を色分けした地図で確認できます。変化値や地域別傾向、該当市の増減をMAPと関連資料で詳しく見ることが可能です。
これに対して国や自治体は具体的に何をするの?
国は地域類型に応じて支援配分を変え、利活用可能地域には利活用・移住促進、両引力の外側では除却・集約支援を強化。自治体は受け皿整備や居住エリアの集約計画を進めます。

調査の背景と対象・定義の整理

産官学連携で空き家問題に取り組む非営利団体「全国空き家対策コンソーシアム」は、総務省が実施する「住宅・土地統計調査」のデータをもとに、2008年から2023年までの放置空き家率の変化を市区町村別に可視化する「全国放置空き家率増減MAP」を公開しました。プレスリリースは2026年5月4日16時00分付で発表されています。

本調査では放置空き家率=放置空き家数 ÷ 住宅総数という指標を用いており、2008年調査における「その他の住宅」と、2023年調査における「1_賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」を「放置空き家」として定義して算出しています。対象年次は2008年と2023年です。

全国の市区町村別で放置空き家率の推移がわかる「全国放置空き家率増減MAP」を公開 画像 2

分析対象の範囲と注意点

プレスリリース内では、解析対象の市区町村数についてやや異なる表記が見られます。冒頭では全国1,047市区町村と記載されている一方、分析の詳細では1,048市区町村としています。本稿では、リリースに記載された両数値をそのまま記録し、原資料の表記の差異がある点を明記します。

なお、放置空き家率の変化は「2023年値 − 2008年値」で算出し、地図上では変化率に従って色分け(−20%(青)〜 +20%(赤))されています。赤に近いほど上昇が大きく、青に近いほど低下が大きいという表現です。

全国の市区町村別で放置空き家率の推移がわかる「全国放置空き家率増減MAP」を公開 画像 3

解析結果の要点:二つの事象と地域差

全国1,047〜1,048市区町村の分析から、リリースは主に二つの事象を指摘しています。第一は三大都市圏(南関東・近畿・東海)で放置空き家率の上昇が相対的に小さいこと、第二は47都道府県中42県(89%)で県庁所在地の上昇率が都道府県全体を下回る傾向が見られることです。

これらの結果は、人口や経済活動が重心へ集中する「二重の引力」構造が働き、双方から取り残された地域で放置空き家率が急速に上昇している可能性を示します。特に四国・中国地方では、三大都市圏から遠く、かつ県内での中心からも外れる地域が深刻な上昇を示しました。

全国の市区町村別で放置空き家率の推移がわかる「全国放置空き家率増減MAP」を公開 画像 4

地域別の差異(数値の抜粋)

リリースで提示された代表的な地域別の変化値は以下の通りです(上昇値=2008→2023の変化)。

  • 南関東(首都圏):+0.59ポイント(最低水準)
  • 近畿:+1.90ポイント
  • 東海:+2.31ポイント(北海道は+2.13ポイントで僅差)
  • 四国:+6.49ポイント(最大)
  • 沖縄:+0.46ポイント(最小、観光需要や移住増・新規住宅供給の影響の可能性)

これらの数値は、三大都市圏周辺が白〜薄ピンク(低上昇)で、地方部・山間部ほど赤が濃い地図上の特徴と整合します。とくに四国は2008年にも高い空き家率を抱えており、「もともと多い地域がさらに悪化する」構造が示唆されます。

都道府県別の傾向と例外事例

47都道府県すべてについて、都道府県全体の放置空き家率の変化と県庁所在地の変化を比較した結果、42県で「県庁所在地の上昇値 < 都道府県全体の上昇値」という傾向が確認されました。これは県庁所在地へ人口・経済活動が集積することで、周辺市町村で放置空き家が増える現象を示しています。

一方で5件の例外(県庁所在地の上昇値が都道府県全体を上回ったケース)があり、該当は水戸、甲府、長野、津、奈良の5市です。リリースはこれらを「県内に自分より大きな経済圏が存在する」点に共通性があると分析しています。

例外事例の具体的な背景(リリース記載より)

奈良市
大阪・神戸への通勤圏内で市内居住需要が弱く、県庁所在地での上昇が県全体を上回る。差は+1.29ポイント。
津市
名古屋経済圏の影響が強く、県内では四日市・鈴鹿が実質的な経済中心となる。差は+0.86ポイント。
長野市
松本市との分散が生じており、県庁所在地の一極集中が弱い。差は+0.36ポイント。
水戸・甲府
リリースにおける5例の中に含まれるが、共通要因として周辺の経済圏や居住需要の分散が指摘されている。

これらの事例から、県庁所在地での上昇が必ずしも全国的傾向に一致しないこと、地域ごとの経済的位置づけや近接大都市圏の影響が結果に反映されていることが読み取れます。

政策的含意と主体別の役割

リリースは、得られた二重の引力構造の認識に基づき、国・自治体・民間企業それぞれに求められる対応の方向性を整理しています。地域の類型化を行い、需要や担い手の状況に応じて施策の重点を変えることが重要だとしています。

2026年3月27日に閣議決定された最新の住生活基本計画とも関連づけ、住宅ストックの価値最大化や循環型市場の形成など、国の方針を地域実態に即して実効性あるものにするとしています。

国(国レベル)の提案

  • 地域類型に応じて支援に濃淡をつける。人口流入が見込める地域には利活用・移住促進を重点投下。
  • 三大都市圏や県庁所在地周辺のような内側では利活用を、双方の引力から外れた地域では除却と集約を中心に、住民生活を支えつつ財政面で支援する方針を示す。

自治体の取組み

  • 県庁所在地は受け皿としての機能を強化し、周辺市町村から流入する人口に対応する住環境整備を進める。
  • 周辺部の市町村は個別対処に留まらず、居住エリアの戦略的集約を視野に入れた長期計画を策定する必要がある。

民間企業の役割

  • 利活用が現実的な地域(県庁所在地周辺など)を事業対象とし、引力の外側では解体・跡地活用のモデルを検討する。
  • 地方拠点整備やリモートワーク環境の整備を通じ、人口移動に抗する選択肢を広げる取り組みも重要視される。

全国空き家対策コンソーシアムの活動・資料とまとめ表

全国空き家対策コンソーシアムは2025年11月に「自治体向け空き家対策の手引き」を公開済みで、自治体が進捗を把握し、何をどの順番で行うべきかを示す実践的なステップをまとめています。今回の地域類型化の結果を踏まえ、手引きの活用方法を地域別に提示するなど、情報発信と支援を継続して行う計画です。

コンソーシアムの概要は以下のとおりです。

名称
全国空き家対策コンソーシアム
代表理事
株式会社クラッソーネ 代表取締役CEO 川口 哲平
事務局
株式会社クラッソーネ
URL
https://www.j-akiya.jp
関連リンク(別サービス)
https://apl.j-akiya.jp/
設立目的
全国共通の課題である空き家の増加抑制、ESG経営の体現、CSR活動の推進

以下の表は、本稿で記載した調査の主要項目と結論を整理したものです。表で要点を確認いただけます。

項目 内容
発表日 2026年5月4日 16:00
調査主体 全国空き家対策コンソーシアム(代表理事:川口 哲平、株式会社クラッソーネ)
データソース 住宅・土地統計調査(総務省統計局)
対象年次 2008年、2023年
対象自治体数 リリース本文では1,047市区町村、分析詳細では1,048市区町村と表記(原資料と表記差異あり)
指標 放置空き家率(放置空き家数 ÷ 住宅総数) ※2008年の「その他の住宅」および2023年の「1_賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」を放置空き家として定義
主要な発見(要旨) 1) 三大都市圏(南関東・近畿・東海)では放置空き家率の上昇が相対的に小さい。2) 47都道府県中42県で県庁所在地の上昇値が県全体を下回る傾向。
代表的変化値 南関東:+0.59pt、近畿:+1.90pt、東海:+2.31pt、北海道:+2.13pt、四国:+6.49pt、沖縄:+0.46pt
例外的な県庁所在地 水戸、甲府、長野、津、奈良(県庁所在地の上昇が都道府県全体を上回る)
関連資料・地図 全国放置空き家率増減MAP:https://www.crassone.jp/special/map-chart/index.html

本調査は地域ごとの放置空き家率の変化を可視化し、「三大都市圏への集中」と「県庁所在地への集積」という二重の引力が空き家問題を構造的に進行させていることを示しています。国・自治体・民間の連携により、地域類型に応じた政策配分や事業設計が求められる点が本分析の主要な政策的示唆です。