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南海トラフ対策、企業は認識するも実行止まる

BCP虎の巻公開

開催日:5月12日

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BCP虎の巻公開
うちの会社も南海トラフ対策って本当に必要?
調査では約7割が大きなリスクと認識する一方、BCP策定は約31%にとどまります。業種や拠点で差はあるが、事業継続性を考えるなら優先的に検討すべきです。
何から手をつければ対策が進むの?
まず被害想定を明確化し、重要なサプライチェーン品の特定と在庫・代替先の確保を。コスト配分は経営判断、外部の情報サービスや本レポートで実務を学ぶのが有効です。

企業に浮かび上がった「認識」と「実行」の大きな隔たり

株式会社JX通信社が実施した、事業継続計画(BCP)関連業務に携わる国内企業関係者を対象とした独自調査は、南海トラフ地震に対する企業の意識と実際の対策実施状況に明確なギャップがあることを示しました。調査期間は2026年3月25日〜26日、有効回答数は550件です。

調査では、回答者の81.1%(446人)が「南海トラフ地震を想定したBCPの策定は重要」あるいは「とても重要」と回答しましたが、実際に策定済みとしたのは31%(171人)にとどまりました。つまり、多くの企業がリスクを認識しているにもかかわらず、具体的なBCP策定・実行に至っていない現状が浮かび上がっています。

南海トラフ地震「広域被災リスク」への備え進まず 拠点移転・二重化 7割が必要性を認識も、実施は22%に留まる=BCP担当者調査 画像 2

主な数値と項目別の隔たり

本節では、調査で示された代表的な数値を整理します。認識と実行の間に大きな差がある点が繰り返し確認されています。

  • 「南海トラフ地震は大きなリスク」と認識した企業割合:約7割(調査文中表現)
  • BCPを既に策定している企業:31%(171/550)
  • 拠点の移転・二重化の必要性を認識:67.6%
  • 拠点の移転・二重化を検討・実施できている企業:21.8%
  • 仕入先の二重化を重要と認識:66.4%(365人)/実施済み:24.4%(89人)

上記の数値は、認識が高いにもかかわらず対策が進んでいない点を端的に示しています。特に生産・事業拠点の冗長化(移転・二重化)や仕入先の分散に関しては、認識と実行の差が顕著です。

項目 認識(%) 実施・検討済み(%)
BCP策定の重要性 81.1 31.0(策定済み)
拠点の二重化・移転 67.6 21.8
仕入先の二重化・分散 66.4 24.4
南海トラフ地震「広域被災リスク」への備え進まず 拠点移転・二重化 7割が必要性を認識も、実施は22%に留まる=BCP担当者調査 画像 3

対策が進まない理由と企業が求める支援

調査では、BCPや拠点二重化などの対策が進まない主な理由について、複数の回答を集計しています。上位の要因は、コストや社内リソース、被害想定の不明確さ、具体的な手法の不明確さです。

以下に、挙げられた主な阻害要因とその割合を整理します。これらの要因が相互に影響し合い、対策の停滞を招いていると読み取れます。

  1. コストやリソースの制約:49.7%
  2. 被害想定の不明確さ:44.9%
  3. 具体的な対策方法が分からない:44.3%
地域差に伴う認識の差
太平洋側に拠点を持つ企業の61.1%(165人/270人)が「南海トラフ地震」を大きなリスクと回答した一方、その他地域は40.0%(112人/280人)であり、21.1ポイントの差が確認されました。しかし、対策の実施状況は両地域でほぼ同水準であり、リスク認識の差が行動の差には直接結び付いていない実態が示されました。
外部支援への期待
企業が最も求める外部支援は「リアルタイムで災害や被害状況を把握できる情報サービス」で55.8%(307人)、次いで「政府・自治体からの分かりやすい被害想定の発信」が53.1%(292人)でした。

被害想定の不明確さを理由に対策を進められないと回答した層においては、被害想定情報へのニーズが特に高く、63.9%が明確な被害想定情報を求めています。この点から、平時・有事問わず利用可能な情報提供が、実効性ある対策の前提となることが示唆されます。

南海トラフ地震「広域被災リスク」への備え進まず 拠点移転・二重化 7割が必要性を認識も、実施は22%に留まる=BCP担当者調査 画像 4

専門家が提示する現実的な対策案と経営の役割

本調査に対し、ニュートン・コンサルティングのCSO 兼 エグゼクティブコンサルタント 久野陽一郎氏から寄せられたコメントでは、南海トラフ地震がもたらす被害は東日本大震災を上回る広域かつ深刻な影響が想定されるため、経営判断とリーダーシップが不可欠であると指摘されています。

久野氏は、拠点の冗長化や調達の複線化を進める際の具体例や留意点を挙げています。これらは単なる準備に留まらず、長期的に事業を維持するための構造的な対応になります。

  • 拠点冗長化の具体例:自社で複数拠点を持つ、OEM活用、地域の異なる競合他社との協定締結
  • 施設・設備対策:耐震補強、津波対策、代替電力の確保
  • 調達複線化:シングルソース品目の特定と、原料・完成品双方でのBCP在庫の確保
  • 研究開発:次世代製品を複数の調達先で確保できる設計を目指す

久野氏はこれらの対策について、単体の施策だけでなく「投資対効果を踏まえた経営判断」が重要であると述べています。どこまで投資し、どの程度のリスクを受容するかは経営層の意思決定事項であり、BCPの実効性を左右します。

南海トラフ地震「広域被災リスク」への備え進まず 拠点移転・二重化 7割が必要性を認識も、実施は22%に留まる=BCP担当者調査 画像 5

調査概要、関連資料と支援サービスの利用方法

本節では、調査の基本情報、提供資料や関連サービスについて整理します。調査名称、対象、方法、期間、問い合わせ先などの基本情報は以下の通りです。

調査名称 南海トラフ地震に対する企業の防災意識と対策に関する調査
調査対象 国内の企業でBCP関連業務に関係している方
調査方法 インターネット調査
調査期間 2026年03月25日〜2026年03月26日
有効回答数 550件

今回の調査結果を踏まえ、JX通信社は南海トラフ地震に特化した特別レポート「BCP虎の巻 南海トラフ地震編」を作成し、2026年5月12日より無料で公開しています。本レポートには、タイムラインに沿った対応、従業員の安全確保と事業継続を両立させるアクションプラン、ニュートン・コンサルティングの寄稿などが含まれます。

また、ニュートン・コンサルティングとの共催による解説ウェビナーを下記の要領で開催します。

開催日
2026年6月10日 12:00〜13:00
参加費
無料
実施方法
Zoomによる実施(申込後に案内メール送付)

特別レポートのダウンロードURL(無料)やお申し込み・詳細はJX通信社の案内に基づき入手してください。引用・転載の際は、事前に広報(info@jxpress.net)へ連絡のうえ、出典を「JX通信社調べ」と明記することが求められています。

問い合わせ先(広報担当):和泉(いずみ)/電話 03-6380-9820/メール info@jxpress.net

また、JX通信社が提供する「FASTALERT」は、AIによりインターネット上の多様な情報源を収集・分析し、信頼性の高いリスク情報をリアルタイムで配信するサービスです。報道機関や民間企業、自治体の防災業務などで採用されています。詳細は https://fastalert.jp/ を参照してください。

要点の整理と本文で触れた主要データ

以下の表は、本稿で取り上げた主要な調査結果と関連情報を簡潔にまとめたものです。表は数値を中心に整理しており、本文で示した詳細な説明と合わせてご覧ください。

項目 数値・内容 備考
調査期間 2026年03月25日〜03月26日 インターネット調査
有効回答数 550件 BCP関連業務従事者が対象
BCP策定の重要性認識 81.1%(446人) 重要・とても重要の合算
BCP策定済み 31%(171人) 策定済みの割合
拠点二重化の必要性認識 67.6% 必要性を認識する割合
拠点二重化の検討・実施 21.8% 検討・実施できている割合
仕入先二重化 認識 / 実施 66.4% / 24.4% 認識と実施のギャップ
対策が進まない主因(上位) コスト・リソース制約 49.7% / 被害想定不明確 44.9% / 方法不明 44.3% 複数回答
外部支援のニーズ(上位) リアルタイム情報 55.8%(307人) / 政府の被害想定情報 53.1%(292人) 被害想定情報のニーズは特に高い層で63.9%
ウェビナー開催 2026年6月10日 12:00〜13:00(Zoom) 参加費無料・事前申込制
報告書 「BCP虎の巻 南海トラフ地震編」無料公開 ダウンロード可(JX通信社案内)

本稿では、JX通信社の調査結果とそれに基づく支援情報、専門家の指摘を整理して紹介しました。南海トラフ地震のような広域被災リスクに対し、企業側の認識と実行の間に存在するギャップ、そしてその背景にあるコスト・情報・手法の課題が明確になっています。実務的な対策を検討する上で、被害想定情報の整備やリアルタイムの情報サービス、経営層の意思決定と投資判断が重要な要素であることが示されています。