9/28刊行|磯野真穂が甦らせるメアリ・ダグラス論
ベストカレンダー編集部
2026年6月22日 14:52
磯野真穂の新刊刊行
開催日:9月28日
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メアリ・ダグラスを現代に甦らせる意図 — 新刊の位置づけと刊行情報
株式会社新潮社は、2026年9月28日(月)に磯野真穂氏の新刊『社会が壊れるその前に メアリ・ダグラスの人類学』(新潮選書)を刊行すると、2026年6月22日 11時45分付のプレスリリースで発表しました。
本書は、イギリスの人類学者メアリ・ダグラス(1921–2007)の代表的著作であるNatural Symbols(ナチュラル・シンボル)を、現代社会の文脈に即して再読・再解釈しつつ、現代の社会的課題に対する示唆を提示する試みです。刊行は新潮選書の形で、四六判変型ソフトカバー、定価1,980円(税込)での発売が予定されています。
古典『ナチュラル・シンボル』と本書が扱うテーマ
メアリ・ダグラスによる『ナチュラル・シンボル』は、約半世紀前に書かれたにもかかわらず、現代の社会状況を予見するかのような論述が含まれていると、磯野氏は指摘します。同書は象徴(シンボル)の観点から、人間が〈構造(構造化)〉と〈非構造(非構造化)〉を往還しつつ社会を維持してきたプロセスを、狩猟採集民から産業社会までの具体例を通じて示してきました。
磯野氏は、本書を通じて、近い将来に訪れるであろう苛烈な競争社会、増大する孤独と不安、人々が個の価値を求める動きと、国家や民族など大きなまとまりに救いを求める動きとの分断といった問題に焦点を当てます。また、現代的な現象として「セカイ系」や推し活、身体改変への傾斜などがどのように象徴的構造と結びつくのかも検討されています。
磯野真穂の視点と経歴 — なぜ今この読み直しが必要か
磯野真穂氏は東京科学大学リベラルアーツ研究教育院教授であり、専門は医療人類学です。2019年刊行の宮野真生子氏との共著『急に具合が悪くなる』は濱口竜介監督により映画化され、同作の主演女優はカンヌ国際映画祭で最優秀女優賞を受賞するなど、磯野氏の関与した研究・著作は広く注目を集めています。
研究者としての歩みは多彩で、早稲田大学の人間科学部から始まり、オレゴン州立大学での学びを経て文化人類学へ転じ、同大学院で応用人類学修士号を取得しています。その後、IT企業での勤務や早稲田大学・国際医療福祉大学での教育・研究を経て、2020年より在野の研究者として活動し、2024年に現職に就任しました。
著者のコメント — 境界、分類、構造の価値を問い直す
磯野氏は新刊にあたって、近年出版界や各種の依頼で「偶然性」「境界をなくすこと」「複雑さを称揚すること」への期待が高まっている点に違和感を抱いたと述べています。そうした潮流の中には、「分類や境界をつくること自体を否定し、既存の制度を壊せばより良い社会が実現する」という単純な確信が含まれている場合があると指摘します。
磯野氏は、分類や境界があるからこそ、そこに「はまり込まない存在」が価値を持ちうること、構造の必然があるからこそ偶然が意味を帯びることを強調します。ダグラスは約半世紀前にこの点を警告しており、磯野氏はその示唆を現代的に刷新することで、社会をより善くするための「塩梅」を探る意図を明確にしています。
本書の構成・特徴と読者に伝えること
本書は、ダグラスの理論的枠組みをベースにしつつ、それを現代社会の事例に照らして再構成することを目指しています。人類学がビジネス分野でも注目される今日、同分野の古典を正確に理解し、適切に応用するためのテキストとしての機能を持ちます。
具体的には、ダグラスの象徴論や構造と非構造の往還の分析を踏まえ、個人主義と集合体志向(国家・民族等)がどのような象徴のもとに動き、各々が抱える苦悩をどのように説明しうるかを解き明かします。こうした分析は、社会的分断や孤立、身体への志向など現代的な問題を理解するための道具立てを提供します。
本書の位置づけと対象読者
本書は、人類学の既存の読者だけでなく、社会学、政治学、ビジネス実務、医療・福祉など多様な分野の読者に向けた示唆を含みます。古典を単に紹介するだけでなく、現代社会に即したアップデートを試みる点が特徴です。
そのため、歴史的な理論の読み解きに興味がある読者、現代社会の象徴構造を理解したい研究者・実務家、あるいは『急に具合が悪くなる』の読者や同書に関心を持つ映画の観客にも有用な内容が含まれています。
著者略歴と主要著作
以下は磯野真穂氏の経歴と主要著作の一覧です。研究者としての経歴は学術的背景と実践的経験を併せ持ち、多方面での執筆・研究活動につながっています。
- 氏名
- 磯野真穂(いその・まほ)
- 現職
- 東京科学大学リベラルアーツ研究教育院教授(2024年より現職)
- 専門
- 医療人類学
- 学歴・経歴(要旨)
- 長野県安曇野市出身。早稲田大学人間科学部スポーツ科学科卒。オレゴン州立大学スポーツ科学部へ学士編入、その後文化人類学へ専攻変更、同大学大学院で応用人類学修士号取得。IT企業での勤務、早稲田大学文化構想学部助教、国際医療福祉大学大学院准教授等を経て在野研究者に。博士(文学、2010年)
- 主要著作
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- 『なぜふつうに食べられないのか:拒食と過食の文化人類学』(春秋社)
- 『医療者が語る答えなき世界:「いのちの守り人」の人類学』(ちくま新書)
- 『ダイエット幻想:やせること、愛されること』(ちくまプリマー新書)
- 『他者と生きる:リスク・病い・死をめぐる人類学』(集英社新書)
- 『コロナ禍と出会い直す:不要不急の人類学ノート』(柏書房、第33回山本七平賞受賞)
- 共著『急に具合が悪くなる』(宮野真生子、晶文社)──同書は濱口竜介監督により映画化され、カンヌ国際映画祭主演女優賞受賞
刊行データの整理と記事のまとめ
以下の表は、本記事で紹介した重要事項を整理したものです。書誌情報、刊行日、価格、ISBN、購入先のURLなど、読者が必要とする基本的なデータを網羅しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 社会が壊れるその前に メアリ・ダグラスの人類学 |
| 著者 | 磯野真穂 |
| 出版社 | 新潮社(新潮選書) |
| 発売日 | 2026年9月28日(月) |
| 造本 | 四六判変型ソフトカバー(新潮選書) |
| 定価 | 本体1,980円(税込) |
| ISBN | 978-4-10-603953-9 |
| 関連URL | https://www.shinchosha.co.jp/book/603953/ |
| 発表元 | 株式会社新潮社(プレスリリース日:2026年6月22日 11時45分) |
以上の通り、本書はメアリ・ダグラスの古典的理論を現代的に再解釈し、個人主義と集合体志向、境界と偶然といったテーマを再照射することを目的としています。磯野真穂氏の研究的背景や過去の著作群と併せて読むことで、社会の分断や不安の構造に対する理解が深まる一冊です。