アストロスケール仏、2029年1月開始の軌道離脱実証に参画
ベストカレンダー編集部
2026年9月12日 08:00
軌道離脱実証ミッション
開催期間:1月1日〜12月31日
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フランス主導の軌道離脱実証ミッションに日本発のアストロスケールフランスが参画
2026年9月11日08時03分に発表された報道内容によると、株式会社アストロスケールホールディングスの仏国子会社であるAstroscale France SAS(アストロスケールフランス)は、フランス政府の国家投資計画「France 2030」の「In-Orbit Services – Mobility(軌道上サービス-モビリティ)」プログラムに採択されました。この発表はパリで開催されたフランス大統領府主催の「International Space Summit」にて行われています。
本ミッションはフランス国立宇宙研究センター(CNES)との契約のもと実施され、2029年から2030年にかけてEutelsat OneWebの衛星を対象とした軌道離脱(デオービット)サービスの実証を行う予定です。採択により、各社は事前検討フェーズから実行フェーズへと移行します。
採択の背景と法的・国際的文脈
本件は2026年4月に東京で行われた日仏の高官立ち合いのもとで名付けられた戦略的パートナーシップの具体化です。当時はフランスのエマニュエル・マクロン大統領および高市早苗総理大臣らの立会いのもと、Exotrailとアストロスケールフランスの協力関係が示されていました。
France 2030プログラムの採択は、フランス国内における軌道上サービスの主権的な能力強化および欧州圏内でのレジリエンス確保を目的とした国家戦略の一環です。今回の採択は、技術実証だけでなく産業基盤や運用能力の国内定着も視野に入れています。
参加企業の役割と技術構成
本ミッションは複数企業の連携で構成され、各社の役割が明確に分担されています。主契約者はフランスのExotrailで、ミッション用サービス機「Spacevan」を中心とした設計・製造・試験・運用を担当します。アストロスケールフランスはRPOD(Rendezvous, Proximity, Operations, and Docking:ランデブ・近傍運用・ドッキング)に関する技術および知見を提供し、Eutelsatは対象となるOneWeb衛星の提供と運用要件の提示を行います。
さらに、本プロジェクトはCNESの契約下で実施されるため、フランス国家レベルでの監督や技術支援が付されます。各社の役割は以下の通りに整理できます。
- Exotrail:主契約者としてSpacevanの設計・開発・製造・組立・試験・運用の実施、モビリティサービス全体の設計・提供を主導。
- アストロスケールフランス:RPOD技術と運用ノウハウの提供、フライト実績を活かした技術移転とフランス国内での設備・産業連携の確立。
- Eutelsat:対象衛星(Eutelsat OneWeb)の提供、ミッション要件・インターフェース仕様の提示、共同運用計画や対象選定への協力。
- CNES:国家機関として契約の下で技術支援と監督を行う。
ミッションの運用フローと技術的狙い
本プログラムは低軌道上で事前に捕獲の準備がされた衛星への接近・ドッキング、結合した状態での再突入軌道への移送、分離・パッシベーション、そして最終的な自然再突入という一連の手順をフランス国内で実現することを目指します。これにより、繰り返し提供可能な衛星運用終了時サービスの初の実運用事例を構築する狙いです。
RPODや高機動軌道制御といった技術は、衛星点検、寿命延長、宇宙物流、重要宇宙インフラ保護などの幅広い用途に転用可能な共通基盤技術です。本ミッションの実証は、こうした技術の成熟と商業・政府ミッション双方への適用の基礎を築きます。
産業的影響とフランス内での能力構築
France 2030とCNESの支援を受ける本プログラムは、Exotrail、アストロスケールフランス、Eutelsatの三者を核とした「Team France」とも言うべき産業チームを形成します。これにより、欧州域外に依存しない主権的・競争力あるエンドツーエンドサービスの確立が目指されます。
アストロスケールフランスはトゥールーズ拠点の拡張を進めており、人員体制やクリーンルームの強化に取り組んでいます。本プロジェクトを通じて、地域の産業基盤を国際的経験に基づく持続可能なフランスおよび欧州の能力へ転換することが想定されています。
経済的・安全保障的意義
本実証は単一ミッションの達成にとどまらず、推進剤枯渇やシステム不具合で自力での運用終了が困難になった衛星に対する自立的かつ競争力のあるデオービット(軌道離脱)サービスの実現に向けた道筋を示します。Eutelsatは責任ある運用とデブリ低減を中核に据える戦略のもと、OneWebコンステレーションに適した運用終了時サービスの確立を支援します。
RPOD技術の成熟は商業分野のみならず、防衛やセキュリティ、レジリエンス向上にもつながる要素技術を提供します。従ってこのプロジェクトは広範な社会的意義を持ちます。
関係者のコメントとアストロスケールの背景
ExotrailのCEO、ジャン=リュック・マリア氏は、本採択を受けて次世代のspacevan™を中心にサービス全体を推進する意向を示し、フランスおよび欧州がRPOやドッキング技術を成熟させることに寄与すると述べています。
アストロスケールフランス マネージングディレクター、フィリップ・ブラット氏は、能力開発フェーズから実ミッション提供フェーズへの移行を強調し、フランス国内での人材・設備・パートナーシップ強化を継続すると述べています。Eutelsat Chief Engineering Officerのフレデリック・ピロ氏は、OneWeb衛星の提供と運用知見により欧州独自のデオービットサービス実現に貢献する旨をコメントしています。
アストロスケールについての説明も発表資料に含まれています。アストロスケールは軌道上サービスの世界的リーダーとして、故障機の観測・点検、寿命延長、修理・アップグレード、運用終了時の除去など多様なソリューションを提供してきました。2021年3月以降のELSA-dやADRAS-Jなどの実績によりRPO技術の実証を行い、JAXA、米国宇宙軍、ESA、UKSA、Eutelsat OneWeb等との先駆的ミッションにも参加しています。
アストロスケールのグローバル拠点は本社・R&Dの日本をはじめ、英国、米国、フランス、イスラエルなどで展開されています。公式サイトはhttps://astroscale.com/ja/です。
用語と技術の整理
- RPOD
- Rendezvous, Proximity, Operations, and Dockingの略。ランデブ・近傍運用・ドッキングを指し、衛星接近・捕獲・結合に関する一連の技術。
- RPO
- Rendezvous and Proximity Operationsの略。近接運用技術の総称で、衛星の点検・補修・ドッキングなどに応用される。
- デオービット(軌道離脱)
- 運用終了時に衛星を大気圏再突入させるための軌道変更操作。
プロジェクト要点の一覧と最終まとめ
ここまでに述べた情報を整理すると、本ミッションはフランス国内でのエンドツーエンドの軌道上サービス能力を確立するための実証プロジェクトであり、Exotrail、アストロスケールフランス、Eutelsat、CNES、France 2030が連携して進められるものです。期間は主に2029〜2030年に実証が行われる予定です。
以下の表は本発表の主要項目をまとめたものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年9月11日 08時03分 |
| 発表場所 | パリ(International Space Summit) |
| 採択プログラム | France 2030 – In-Orbit Services – Mobility |
| 契約機関 | フランス国立宇宙研究センター(CNES)との契約のもと実施 |
| 実施期間(予定) | 2029年〜2030年(Eutelsat OneWeb衛星の軌道離脱実証) |
| 主契約者 | Exotrail(Spacevanの設計・開発・製造・運用担当) |
| 主要パートナー | アストロスケールフランス(RPOD技術提供)、Eutelsat(OneWeb衛星の提供・運用知見) |
| 技術的目標 | 接近・ドッキング(RPOD)、大気圏再突入軌道への移送、分離・パッシベーション、自然再突入 |
| 地域的意義 | フランス国内での軌道上サービス能力構築、欧州の主権的運用終了時サービスの実現 |
| 関連インフラ | トゥールーズ拠点の拡張(人員・クリーンルーム強化)等 |
表に示したとおり、本プロジェクトは複数の企業・国家機関による役割分担で進められ、技術的実証とともに産業基盤の強化をもたらすことが期待されます。発表されたコメントや背景情報は、日仏間で示された戦略的パートナーシップの具現化であり、フランスおよび欧州の軌道上サービス能力の拡大を示す具体的事例と位置づけられます。