ヤンマー、もみ殻を炭化するバイオ炭装置を9月受注開始
ベストカレンダー編集部
2026年9月16日 08:14
もみ殻バイオ炭受注開始 | 開催日:9月1日
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もみ殻処理の現状と抱える環境・現場の課題
ヤンマーホールディングス株式会社は、2026年9月15日11時30分付で、グループ会社のヤンマーエネルギーシステム株式会社が新たにもみ殻を炭化してバイオ炭を製造する装置の受注を2026年9月より開始すると発表しました。発表資料には「もみ殻バイオ炭製造装置イメージ※1」として装置の想定ビジュアルが示されています。
日本の稲作に伴って発生するもみ殻は年間約200万トン(推定)に上るとされ、野焼きが禁止されている地域が多いこと、近隣からの煙や臭気に関する苦情の問題、燃焼時に発生し得るPM2.5や結晶質シリカ(発がん性物質)の生成といった環境・健康リスクが指摘されています。これらの課題が、もみ殻の適正処理を難しくしている背景です。
装置の概要と主な技術的特徴
ヤンマーエネルギーシステムが商品化した「もみ殻バイオ炭製造装置(以下、本機)」は、2023年からの実証試験を経て製品化された装置で、カントリーエレベーターやライスセンターなど大量のもみ殻処理を必要とする施設での導入を想定しています。受注開始は2026年9月です。
本機の特長は、ヤンマーの独自の燃焼方式により有害な結晶質シリカを生成しない高温炭化を実現している点にあります。また、化石燃料を一切使用せず、省エネかつ静音性を備えた運転方式を採用しています。着火は電気ヒーター(約3.2kW×1.5時間)のみで行い、その後は投入したもみ殻の熱で自燃するため、二次燃焼用バーナーを不要としています。
主な仕様(製品データ)
発表資料に記載された仕様は下記の通りです。寸法や処理能力は導入計画の検討に重要な基礎情報となります。
- 商品名:もみ殻バイオ炭製造装置
- 寸法(L×W×H):約20m×約9m×約6m(シャッター庫を含む)
- 装置能力(定格):もみ殻投入量:100 kg/h、バイオ炭生成量:約25 kg/h(含水率0%換算)
- 連続運転可能時間:100時間
24時間平均の消費電力は約1.5kWとされ、省エネ性が重視されています。自動化と遠隔監視システムにより省力化を図り、夜間も含めた24時間運転を想定した設計です。
生成されるバイオ炭の特性と安全性
本機で製造するバイオ炭は高温炭化により多孔質で表面積が大きく、肥料や土壌中のさまざまな成分をより多く吸着できる点が強調されています。これにより、農地での保水性・排水性の改善など土壌改良材としての利用が見込まれます。
独自の燃焼方式により、煙・臭気および結晶質シリカの生成を抑制する設計であるとされ、従来の処理方法で懸念される発がん性物質の生成リスクを低減することが期待されています。
脱炭素効果と制度的対応—J-クレジットとみどりの食料システム法認定
ヤンマーは本機が脱炭素農業へ寄与するとして、J-クレジット創出に対応する点を明示しています。製造したバイオ炭を農地に施用して炭素を固定することで、国が認証する温室効果ガスの排出削減・吸収量の取引制度である「J-クレジット」を創出できるとしています。
600℃超の高温炭化により、J-クレジット制度上の炭素残存率が通常のデフォルト値の約1.37倍で認定されます。発表では、本機1台あたり年間で100 tのバイオ炭を製造し、160 t-CO2の炭素固定が可能であると記載されています(※3)。ただし、注記としてCO2換算値に関しては、実際には製造時および施肥時のCO2排出量を別途減算する必要があることが示されています。
みどりの食料システム法に基づく認定
当社の本機に関する事業計画は、2026年8月4日付で農林水産大臣・経済産業大臣より、みどりの食料システム法に基づく「基盤確立事業実施計画」の認定を取得しています(※4)。この認定により、認定を受けた基盤確立事業により生産される機械について「みどり投資促進税制」が設けられ、要件を満たす農業者などが税制上の特例措置を受けられる場合があるとされています。
ただし、対象機械や適用要件、手続きの詳細については農林水産省の案内を参照する必要があります。参考として発表資料は農林水産省の関連ページURLを示しています。
導入後の運用イメージと関連資料・注意点
発表資料には、もみ殻の回収からバイオ炭化、そして活用に至る流れが示されています。カントリーエレベーターやライスセンターなどにおいて、もみ殻の保管・搬送・装置投入・バイオ炭の回収・農地施用までを一連の工程として想定した運用計画を立てることが可能です。
運転面では着火に電気ヒーター(約3.2kWを1.5時間稼働)を用いる以外は化石燃料を用いず、自燃する熱を利用する方式のため、運転にかかる動力を小さくして静音性を確保している点が挙げられます。省力化のための自動化と遠隔監視が組み込まれており、夜間を含めた24時間連続運転に対応します。
参考資料と注記
発表資料中の注記は以下の通りです。情報の出典や留意点を明示しており、導入検討時には参照すべき情報です。
- ※1
- 実際の装置の写真をもとに、一部画像加工を施しています。
- ※2
- NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)グリーンイノベーション基金事業「農業副産物を活用した高機能バイオ炭の製造・施用体系の確立」当社ビジョン資料。
- ※3
- CO2換算値。実際には製造時および施肥時のCO2排出量を別途減算する必要があります。参考資料:J-クレジット方法論AG-004(バイオ炭の農地施用)。
- ※4
- 農林水産省 基盤確立事業実施計画の認定状況及びみどり投資促進税制の対象機械について。関連URL:
- https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/midorihou_kibann.html
- https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/attach/pdf/midorihou_kibann-260.pdf
なお、発表中の記載内容は発表時点のものであり、最新情報と異なる場合がある旨の注記も付されています。導入や制度対応の検討を進める際には、最新の公的資料やメーカーに直接確認することが重要です。
要点の整理(表)と締めのまとめ
以下に本記事で示した主要な情報を表形式で整理します。導入検討や関係者間の共有に際して、仕様と制度対応の概要を俯瞰できる構成にしています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表者 | ヤンマーホールディングス株式会社(発表日:2026年9月15日 11時30分) |
| 製品名 | もみ殻バイオ炭製造装置(ヤンマーエネルギーシステム株式会社) |
| 受注開始 | 2026年9月(発表に基づく) |
| 想定導入先 | カントリーエレベーター、ライスセンター等の大量もみ殻処理施設 |
| 寸法(L×W×H) | 約20m×約9m×約6m(シャッター庫含む) |
| 装置能力(定格) | もみ殻投入量:100 kg/h、バイオ炭生成量:約25 kg/h(含水率0%換算) |
| 連続運転可能時間 | 100時間 |
| 年間バイオ炭量(目安) | 本機1台あたり年間100 t(発表値) |
| 炭素固定量(目安) | 本機1台あたり160 t-CO2(CO2換算値。製造・施用時の排出は別途減算が必要) |
| 主な特長 | 化石燃料不使用、着火は電気ヒーター約3.2kW×1.5時間、その後自燃、高温炭化で結晶質シリカ抑制、多孔質で吸着性に優れる、省エネ(24h平均消費電力約1.5kW)、静音、自動化・遠隔監視により24時間運転可能 |
| 制度対応・認定 | J-クレジット創出に対応(J-クレジット方法論AG-004参照)、みどりの食料システム法に基づく基盤確立事業実施計画の認定(2026年8月4日付) |
| 参考・注意事項 | 画像加工の注記、NEDOの資料参照、CO2換算値は別途の排出差引が必要、最新情報は公的資料やメーカー確認が必要 |
発表内容は以上の通りで、もみ殻の適正処理と資源循環、農地での長期的な炭素固定を組み合わせる試みとして、実証試験を経て事業化が進められています。制度的な認定やJ-クレジットによる評価が示されている一方で、導入・運用に際しては製造時や施用時の実際の排出量計算、適用される税制措置の詳細等を確認する必要があります。
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