配当控除はいくら?
配当控除の計算のしかた
配当控除は、株の配当などを確定申告で総合課税にしたときに、税額から引ける控除です。配当は、上場株式なら源泉徴収だけで済ませる(申告不要)、申告分離課税にする(どちらも20.315%)、総合課税にして配当控除を受ける、の3つから選びます(国税庁 No.1331)。
- 所得税の配当控除: 課税総所得金額等が1,000万円以下の部分は、株の配当所得×10%、証券投資信託の分配×5%。1,000万円を超える部分は5%と2.5%です(国税庁 No.1250)。控除の額は算出税額が限度で、復興特別所得税は控除を引いた後の税額にかかります。
- 住民税の配当控除: 市町村民税1.6%+道府県民税1.2%=2.8%(1,000万円超の部分は1.4%)。証券投資信託は1.4%(超える部分は0.7%)です(地方税法附則第5条。指定都市は市2.24%・府県0.56%で合計は同じ)。
- 比べ方: 総合課税は、配当以外の所得に配当を足して、所得税(速算表+復興特別所得税2.1%)と住民税10%を計算し、配当控除を引きます。このページは、配当がないときとの差を「配当で増える税金」とし、分離・申告不要の20.315%(所得税・復興15.315%+住民税5%)と並べます。
住民税の方式は、令和6年度から所得税と同じになりました。総合課税を選ぶと住民税も総合課税、申告分離なら住民税も申告分離で、「所得税は総合・住民税は申告不要」のような組み合わせはできません(国税庁の確定申告の手引き)。
配当控除の早見表
| 株の配当所得 | 配当控除 | 総合課税の税金 | 分離・不要の税金 |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 12,800円 | 7,200円 | 20,300円 |
| 30万円 | 38,400円 | 21,600円 | 60,900円 |
| 50万円 | 64,000円 | 56,400円 | 101,600円 |
| 100万円 | 128,000円 | 143,500円 | 203,200円 |
| 200万円 | 256,000円 | 317,600円 | 406,300円 |
| 500万円 | 640,000円 | 872,000円 | 1,015,800円 |
配当以外の課税所得が300万円の人の令和8年分の目安(配当控除は所得税+住民税。税金は所得税+復興特別所得税+住民税)。
配当以外の課税所得でどう変わるか(株の配当所得30万円)
| 配当以外の課税所得 | 配当控除 | 総合課税の税金 | 分離・不要の税金 | 有利なほう |
|---|---|---|---|---|
| 0万円 | 23,400円 | 21,600円 | 60,900円 | 総合課税 |
| 195万円 | 38,400円 | 21,600円 | 60,900円 | 総合課税 |
| 330万円 | 38,400円 | 52,300円 | 61,000円 | 総合課税 |
| 695万円 | 38,400円 | 61,400円 | 60,900円 | ほぼ同じ |
| 900万円 | 38,400円 | 92,000円 | 60,900円 | 申告分離 |
| 1,800万円 | 19,200円 | 133,000円 | 61,000円 | 申告分離 |
課税所得が上がるほど所得税の税率が上がり、配当控除(10%)を引いても分離課税の20.315%を上回る境があります。差が5,000円未満は「ほぼ同じ」(住民税を課税所得×10%で概算しているため、人的控除の差で逆転し得ます)。
総合課税にする前の落とし穴
- 全額が総合課税になる: 確定申告する上場株式等の配当は、全額について総合課税か申告分離のどちらかです。一部だけ総合課税にはできません(No.1331)。
- 合計所得金額が増える: 申告不要にした配当は合計所得金額に入りませんが、総合課税・申告分離にすると入ります。扶養控除等の判定(No.1331)や、国民健康保険料などが変わることがあります。
- 対象外の配当: 外国法人の配当、J-REIT(投資法人)の分配、特定目的会社・信託の配当、基金利息などは配当控除を受けられません(No.1250)。
- 源泉徴収された税金は引ける: 総合課税にすると、配当から源泉徴収された所得税は、納める税金の計算で引かれます(No.1250)。このページの「配当で増える税金」は、源泉徴収を引く前の、最終的な負担の比較です。
- 借入金利子: 株を買うための借入金の利子は、総合課税か申告分離のとき配当収入から引けます(No.1330)。
- 大口株主等の配当: 発行済株式の3%以上を持つ人などの配当は、総合課税だけで、申告分離や申告不要は選べません(No.1330)。
この計算に入れていないもの
- 外貨建等証券投資信託: 配当控除の率がさらに低い外貨建等の投資信託(2.5%・1.25%)は入れていません。
- 所得控除が余る場合: 配当以外の所得より所得控除が大きいときは、余りを配当所得から引けます。「配当以外の課税所得」が0円の入力は、余りを引く前の配当所得で計算します。
- 住民税の細かい差: 住民税は所得割10%の目安です。調整控除や、所得税と住民税の所得控除の差は入れていません。
- 令和9年分以後: 復興特別所得税が1.1%に下がり、防衛特別所得税1%が加わります。合計の2.1%は変わりません(No.2260)。年分で選べます。
- 申告分離のその他の効果: 申告分離課税では、上場株式等の譲渡損失との損益通算ができます(No.1331)。このページは配当だけを比べています。
配当控除のよくある質問
配当控除とは?
株式の配当などを確定申告で総合課税にしたときに、所得税から引ける税額控除です。配当所得に、課税総所得金額等が1,000万円以下の部分は10%、超える部分は5%をかけた額です(証券投資信託の分配は半分)。控除の額は算出税額が限度です(国税庁 No.1250)。住民税にも同じ仕組みの配当控除があります(市町村民税1.6%+道府県民税1.2%の合計2.8%。地方税法附則第5条)。
上場株式の配当は総合課税と申告分離のどちらがいい?
目安は、配当以外の課税所得が低いほど総合課税が有利、高いほど申告分離(20.315%)が有利です。所得税の税率が10%以下の人は配当控除で所得税がほぼゼロになり、総合課税が有利になりやすい一方、税率が23%以上になると、配当控除を引いても分離課税の20.315%より重くなりがちです。税率20%の段(課税所得330万〜695万円)は、配当控除10%を引いた後の所得税が約10.2%、住民税が約7.2%で合わせて17%台となり、総合課税のほうが少なくなりますが、695万円付近では差が小さくなります。このページの早見表(配当30万円)で境目を確かめられます。ただし総合課税は合計所得金額が増えるため、扶養や国民健康保険料などに影響することがあります。
配当控除の対象にならない配当は?
外国法人から受ける配当(外国株)、投資法人(J-REIT)の分配、特定目的会社・特定目的信託の配当、基金利息、確定申告不要制度や申告分離課税を選んだ配当などは対象外です(国税庁 No.1250)。
住民税だけ申告不要にして所得税は総合課税にできる?
できません。令和6年度の個人住民税から、上場株式等の配当所得は所得税の確定申告で選んだ方式(総合課税・申告分離課税・確定申告不要)と住民税も同じ方式になりました(国税庁の確定申告の手引き)。このページの計算も、総合課税なら所得税・住民税ともに総合課税としています。
上場株式の配当は一部だけ総合課税にできる?
できません。確定申告する上場株式等の配当等は、全額について総合課税か申告分離課税のどちらかを選びます(国税庁 No.1331)。申告不要は口座(源泉徴収口座)ごとに選べます(No.1330)。
2026年10月6日現在の情報です(データ最終更新: 2026年10月4日)。出典: 国税庁 No.1250 配当所得があるとき(配当控除) / 国税庁 No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得) / 国税庁 No.1331 上場株式等の配当等に係る申告分離課税制度 / 国税庁 No.2260 所得税の税率 / e-Gov 法令検索 所得税法(第92条 配当控除) / e-Gov 法令検索 地方税法(附則 第5条 個人の道府県民税及び市町村民税の配当控除) / 国税庁 確定申告の手引き(市区町村からのお知らせ・上場株式等の課税方式を住民税も所得税に一致)