一時所得の税金はいくら?
一時所得の税金の計算のしかた
一時所得は、懸賞や福引きの賞金、競馬・競輪の払戻金、生命保険の満期保険金や一時金、損害保険の満期返戻金など、仕事や資産の売却の対価ではない一時の所得です。税金は次の順に計算します(所得税法第34条・第22条、国税庁 No.1490)。
- 一時所得の金額=受け取った額(総収入金額)−収入を得るために支出した額−特別控除(最高50万円)
- 課税される額=一時所得の金額×1/2。これを給与所得などほかの所得と合計して、所得税と住民税を計算します
- 所得税は課税所得に速算表の税率をかけて控除額を引き、復興特別所得税(2.1%)を足します。このページは、ほかの所得だけのときとの差を「増える税金」として出します
収入を得るために支出した額は、その収入を生じた行為をするため、または原因の発生に伴い直接要した金額だけです。特別控除の50万円は、その年の一時所得の合計に対して1回です。同じ年に複数の一時所得があるときは、受け取った額と支出した額をそれぞれ合計して入れてください(国税庁の質疑応答事例では、解約返戻金100万円〔掛金200万円〕と満期保険金2,000万円〔掛金1,200万円〕の一時所得は650万円です)。
一時所得で増える税金(早見表)
| 受け取った額−支出した額 | 一時所得 | 課税される額 | 増える税金 |
|---|---|---|---|
| 50万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 60万円 | 100,000円 | 50,000円 | 10,100円 |
| 80万円 | 300,000円 | 150,000円 | 30,300円 |
| 100万円 | 500,000円 | 250,000円 | 50,500円 |
| 150万円 | 1,000,000円 | 500,000円 | 121,500円 |
| 200万円 | 1,500,000円 | 750,000円 | 197,500円 |
| 300万円 | 2,500,000円 | 1,250,000円 | 349,600円 |
| 500万円 | 4,500,000円 | 2,250,000円 | 653,800円 |
| 1,000万円 | 9,500,000円 | 4,750,000円 | 1,438,800円 |
ほかの所得の課税所得が300万円の人の令和8年分の目安(所得税+復興特別所得税+住民税10%)。ほかの所得が多いほど税率が上がり、増える税金も多くなります。
一時所得の落とし穴
- 保険料を払った人と受取人が違う: 満期保険金は、保険料を負担した人と受け取る人が同じときだけ一時所得(所得税)です。違うときは贈与税の対象です(国税庁 No.1755)。死亡保険金は、被保険者が保険料を負担していたときは相続税、負担者・被保険者・受取人がすべて違うときは贈与税です(No.1750)。
- 一時払養老保険などを5年以内に受け取る: 一時払養老保険・一時払損害保険などで一定の要件を満たすもの(保険期間が5年以下、または5年超で5年以内に解約したものなど)の差益は、20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)の源泉分離課税です。源泉徴収だけで終わり、一時所得には入れず、確定申告もできません(No.1520)。懸賞金付預貯金等の懸賞金等も同じ源泉分離課税です(No.1490)。
- 競馬の外れ馬券: 収入から引けるのは原則として当たり馬券の購入額で、外れ馬券は経費になりません。ただし、外れ馬券も経費に入るとされた最高裁の判例があり、それを受けた所得税基本通達34-1の(注)は、年間を通じてほぼ全てのレースで買い続けるなど営利を目的とする継続的行為と客観的に明らかな場合を雑所得としています。当てはまるかは事情によります。
- 特別控除は年に合計50万円: 一時所得が何回あっても、特別控除はその年の合計に対して最高50万円です。1回ごとに50万円引けるわけではありません。
- 損失はほかの所得から引けない: 支出が収入より多くて一時所得が赤字でも、給与所得などほかの所得とは損益通算できません(損益通算できるのは不動産・事業・山林・譲渡所得の損失だけ。所得税法第69条)。
- 確定申告の20万円: 給与を1か所から受けて年末調整を受ける人は、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円以下なら所得税の確定申告は不要です。一時所得は1/2にした後の額で数えます(No.1900・所得税基本通達121-6)。その場合も住民税の申告は必要です(横浜市の案内など)。公的年金等の収入が400万円以下で全部が源泉徴収の対象の人も、公的年金等以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告は不要です(所得税法第121条第3項・No.1600)。
- 20万円以下でも申告に含める場合: 医療費控除・ふるさと納税・住宅ローン控除(1年目)などで確定申告(還付申告を含む)をするときは、20万円以下の一時所得も含めて申告します(国税庁 No.1900 のQ&A)。
- 合計所得金額が増える: 一時所得の1/2は合計所得金額に入ります。そのため、所得税の基礎控除の段(令和8年分、No.1199)、配偶者控除・扶養控除の判定(No.1191 など。家族の扶養に入っている人は家族の側の控除)、国民健康保険・後期高齢者医療の保険料が変わることがあります。
この計算に入れていないもの
- 住民税の細かい差: 住民税は上乗せ分に所得割10%をかけた目安です。調整控除や、所得税と住民税の所得控除の差(住民税の基礎控除43万円など)は入れていません。
- 令和9年分以後: 令和9年1月1日以後に生ずる所得は、復興特別所得税が1.1%に下がり、防衛特別所得税が加わります(国税庁 No.2260)。このページは令和8年分で計算しています。
- ほかの所得との通算: 支出した額が受け取った額より多いときは、一時所得を0円として計算します(一時所得の損失はほかの所得と損益通算できません。所得税法第69条)。
- 合計所得金額で変わる控除・保険料: 1/2が合計所得金額に入ることで変わる基礎控除の段・配偶者控除・扶養控除・国民健康保険などの保険料は入れていません。「ほかの所得の課税所得」は控除が変わらない前提で計算しています。
値は e-Gov の所得税法・地方税法(第313条)と、国税庁のタックスアンサー・所得税基本通達・質疑応答事例で確かめています。
一時所得のよくある質問
一時所得が50万円以下なら税金はかからない?
受け取った額から、その収入を得るために支出した額を引いた残りが50万円以下なら、特別控除(最高50万円)で一時所得の金額は0円になり、所得税はかかりません(所得税法第34条第3項)。特別控除は1回ごとではなく、その年の一時所得の合計に対して50万円です。同じ年に満期保険金と懸賞金を受け取ったときなどは、合計してから50万円を引きます。
競馬の外れ馬券は経費になる?
原則としてなりません。収入から引けるのは、その収入を生じた行為をするため、または原因の発生に伴い直接要した金額だけで(所得税法第34条第2項)、競馬の払戻金なら当たり馬券の購入代金です。ただし、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を買い続けるなど、営利を目的とする継続的行為と認められる場合は雑所得になり、外れ馬券も経費に入るとされた最高裁の判例があり、それを受けて通達が改められています(所得税基本通達34-1(注))。当てはまるかは事情によるので、税務署で確かめてください。
満期保険金を受け取ったら必ず一時所得?
一時所得(所得税)になるのは、保険料を負担した人と保険金を受け取る人が同じ場合です。保険料を負担した人と受取人が違うときは、満期保険金は贈与税の対象です(国税庁 No.1755)。死亡保険金は、被保険者が保険料を負担していたときは相続税、負担者・被保険者・受取人がすべて違うときは贈与税です(国税庁 No.1750)。
一時払養老保険を5年以内に解約したときは?
一時払養老保険・一時払損害保険などで、保険期間が5年以下のもの、または保険期間が5年超で5年以内に解約したものの差益は、20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)の源泉分離課税で、源泉徴収だけで課税が終わります。一時所得にはならず、確定申告もできません(国税庁 No.1490・No.1755・No.1520)。このページの計算は当てはまりません。
会社員でも確定申告が要る?
給与を1か所から受けて年末調整を受ける人は、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です(国税庁 No.1900)。一時所得はその金額の1/2を数えます(所得税法第22条第2項・所得税基本通達121-6)。20万円以下で確定申告をしないときも、住民税の申告は必要です(横浜市などの案内)。ただし、医療費控除・ふるさと納税・住宅ローン控除(1年目)などで確定申告(還付申告を含む)をするときは、20万円以下でもこの一時所得を含めて申告します(国税庁 No.1900 Q&A)。公的年金を受け取る人は、公的年金等の収入が400万円以下で、それ以外の所得が20万円以下なら所得税の確定申告は不要です(所得税法第121条第3項・国税庁 No.1600)。
2026年10月6日現在の情報です(データ最終更新: 2026年10月2日)。出典: 国税庁 No.1490 一時所得 / 国税庁 No.2260 所得税の税率 / 国税庁 No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき / 国税庁 No.1750 死亡保険金を受け取ったとき / 国税庁 No.1520 金融類似商品と税金 / 国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人 / 国税庁 No.1900 Q&A 確定申告を要しない場合の意義(還付申告では20万円以下の所得も申告) / 国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係(確定申告不要制度) / 国税庁 No.1199 基礎控除(合計所得金額に応じた控除額) / 国税庁 No.1191 配偶者控除 / 国税庁 所得税基本通達 法第34条《一時所得》関係(34-1 競馬の馬券の払戻金) / 国税庁 所得税基本通達 法第121条《確定所得申告を要しない場合》関係(121-6) / 国税庁 質疑応答事例 一時所得の金額の計算(一時所得内の内部通算の可否) / e-Gov 法令検索 所得税法(第22条・第34条・第69条・第89条・第121条) / e-Gov 法令検索 地方税法(第313条 所得割の課税標準) / 横浜市 市民税・県民税の申告について(20万円以下でも住民税の申告が要る人)