消費税の2割特例はいくら?簡易課税と比べてどちらが得?

対象: 免税事業者からインボイス登録した人。令和8年9月30日の属する課税期間まで。

2割特例 約105,600円

国税82,400円+地方消費税23,200円

簡易課税264,200円・本則課税392,000円。最少は2割特例(次点より158,600円少ない)。

売上は0以上、100億円までの数で入れてください(仕入れは空欄でもかまいません)。

国税庁2割特例・No.6505・設例8で計算(令和8年9月30日まで・2026年10月4日確認)

目安。最終的な額は確定申告で決まります。

申告の方法国税地方消費税合計
2割特例82,400円23,200円105,600円
簡易課税(第5種50%)206,100円58,100円264,200円
本則課税305,800円86,200円392,000円
課税標準額(税抜・千円未満切捨て)10%分4,545,000円
課税標準額(税抜・千円未満切捨て)軽減8%分925,000円
売上に係る消費税額(国税 7.8%+6.24%)412,230円
2割特例の控除(消費税額×80%)−329,784円
差引税額(国税・百円未満切捨て)82,400円
地方消費税(国税×22/78・百円未満切捨て)23,200円
2割特例の納付税額(国税+地方消費税)105,600円

2割特例は売上税額の2割で、仕入れの実額もインボイスの保存も要りません。売上は請求書・領収書の税込の金額を税率ごとに合計して入れます。仕入れ(任意)は、本則課税と比べたいときだけ、インボイスを保存した課税仕入れの税込額を税率ごとに入れます(給与・保険料など消費税のかからない支払いは除く)。簡易課税の事業区分(みなし仕入率)は、事業が1種類のときの計算です。

消費税の2割特例とは

2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者になって課税事業者となった人が、消費税の納付税額を売上げに係る消費税額の2割にできる特例です(国税庁 2割特例特設ページ)。仕入れや経費の消費税額を実額で計算する必要も、仕入れのインボイスを保存する必要もありません。

  1. 売上に係る消費税額=税込売上高を100/110(10%)・100/108(軽減8%)で割って千円未満を切り捨てた課税標準額に、7.8%・6.24%をかけたもの(税率ごとに計算)
  2. 控除する仕入税額=売上に係る消費税額×80%(みなし)。差し引いた残り(百円未満切捨て)が国税の納付税額です
  3. 地方消費税=国税の納付税額×22/78(百円未満切捨て)。国税と合わせた額がこのページの答えです(国税庁 設例8・手引き)

国税庁の手引きの例では、売上が税抜700万円(税70万円)なら、70万円×80%=56万円を引いて、納める税額は14万円(税込売上の約1.8%)です。このページの10%のみの計算でも、税込770万円を入れると同じ14万円(国税109,200円+地方消費税30,800円)になります。

簡易課税とどちらが得か

2割特例は、売上税額の80%を仕入税額とみなすので、簡易課税のみなし仕入率が80%の場合と同じ額になります。みなし仕入率が80%より高い事業は簡易課税、低い事業は2割特例のほうが、納める税額が少なくなります(国税庁 No.6505)。

事業区分みなし仕入率2割特例と比べて
第1種事業(卸売業)90%簡易課税が有利
第2種事業(小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業に限る))80%同額
第3種事業(農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業および水道業)70%2割特例が有利
第4種事業(第1種・第2種・第3種・第5種・第6種以外の事業。飲食店業など)60%2割特例が有利
第5種事業(運輸通信業、金融業および保険業、サービス業(飲食店業に該当するものを除く))50%2割特例が有利
第6種事業(不動産業)40%2割特例が有利

簡易課税は、事前に「消費税簡易課税制度選択届出書」を出した人だけが使えます(基準期間の課税売上高5,000万円以下)。2割特例は届出が要りません。2割特例を使った翌課税期間から簡易課税にするなら、その翌課税期間の申告期限までの届出で間に合います。

簡易課税の納付税額だけを事業区分から計算するページ(2種類以上の事業の加重平均・75%ルールを含む)は簡易課税の消費税の計算です。

税込売上高ごとの納付税額(10%のみ・仕入れなし)

税込売上高2割特例簡易 第1種簡易 第3種簡易 第5種
300万円54,400円27,100円81,700円136,200円
500万円90,800円45,300円136,200円227,100円
800万円145,300円72,600円218,000円363,500円
1,000万円181,700円90,800円272,600円454,400円
2,000万円363,500円181,700円545,300円908,900円
3,000万円545,300円272,600円818,000円1,363,500円

国税+地方消費税の合計。10%の売上だけで、仕入れ・値引き・貸倒れは入れていません。

2割特例が使える期間と、使えない人

  • 使える期間: 適格請求書発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間です(平成28年改正法附則第51条の2。インボイスQ&A問115)。個人事業者は令和5年10〜12月分と令和6〜8年分、法人は9月30日を含む事業年度までです。
  • 令和8年度改正の3割特例: 個人事業者に限り、令和9年分・令和10年分の確定申告で、納付税額を売上税額の3割にできる「3割特例」が設けられました。要件は、個人事業者であること、基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下であること、インボイス発行事業者であること。法人は、令和8年9月30日の属する事業年度の後は、一般課税か簡易課税での申告になります(国税庁 令和8年度税制改正特集)。法人に3割特例はありません。このページの計算は2割特例のものです。
  • 使えない人: インボイス発行事業者でない課税事業者、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える人、特定期間の課税売上高が1,000万円を超える人、資本金1,000万円以上の新設法人、調整対象固定資産・高額特定資産の仕入れで免税に戻れない人、課税期間の特例を選んでいる人など、インボイス制度と関係なく課税事業者になる人です(適用可否フローチャート)。
  • 申告のしかた: 届出は不要です。確定申告書に2割特例を適用する旨を付記し、付表6を付けます。申告したあとから、使う・使わないを変えることは原則できません。

この計算に入れていないもの

  • 売上の返還・貸倒れ・貸倒回収・中間納付: 値引き・返品、貸倒れ、貸倒れた売上の回収、中間納付がある場合は、実際の納付額がこの計算とずれます。
  • 本則課税の細かい条件: 課税売上割合が95%未満の場合の按分、インボイスのない仕入れの経過措置(令和8年10月からは70%控除など、令和8年度改正で段階的に縮小)、仕入れの税率ごとの区分は入れていません。入れた課税仕入れはすべて控除できるものとして出します。
  • 2種類以上の事業を営む場合の簡易課税: 事業ごとにみなし仕入率が違うときの計算(75%ルールなど)は入れていません。
  • 飲食料品の税率引下げ: 令和9年4月1日から2年間の飲食料品の消費税率の引下げは、このページの対象(令和8年9月30日までの課税期間)に入らないので反映していません。

値は国税庁の2割特例特設ページ・適用可否フローチャート・確定申告の手引き・設例8・インボイスQ&A・タックスアンサー No.6505・令和8年度税制改正特集で確かめています(消費税法)。

2割特例のよくある質問

2割特例は届出が必要?

届出は要りません。消費税の確定申告書に2割特例を適用する旨の付記(申告書の「税額控除に係る経過措置の適用(2割特例)」欄に○)をし、付表6を付けて申告するだけです。簡易課税制度選択届出書を出している人でも、2割特例で申告できます(国税庁「2割特例特設ページ」・手引き)。なお、申告をした後から2割特例を適用しない(または適用する)ことに変えるのは、修正申告や更正の請求でも原則としてできません。

簡易課税の届出とどう関係する?

2割特例と簡易課税は、課税期間ごとにどちらで申告するか選べます。簡易課税を使うには事前の届出(適用したい課税期間の初日の前日まで)が要りますが、2割特例を使った課税期間の翌課税期間から簡易課税にしたいときは、その翌課税期間の申告期限までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を出せば足ります(翌課税期間が令和8年9月30日以前に終わるときは、その課税期間の末日まで。国税庁 No.6505)。簡易課税は選んだら原則2年間続けます。個人事業者が令和9・10年分に3割特例を使った後も、同じ形で翌課税期間から簡易課税に移れます。

2割特例と簡易課税、どちらが得?

売上税額に対して、2割特例は80%を仕入税額とみなす(みなし仕入率80%相当)のと同じです。簡易課税のみなし仕入率が80%より高い第1種(卸売業・90%)なら簡易課税の方が納付税額が少なく、第2種(小売業など・80%)は同額、第3種(70%)〜第6種(40%)なら2割特例の方が少なくなります。ただし、設備投資などで仕入れが売上より多く、本則課税なら還付になる年は、本則課税が最も有利です。このページは課税仕入れを入れると3つを並べて比べます(本則課税はインボイスを保存した仕入れの実額で、課税売上割合95%以上の場合の目安)。

2割特例はいつまで使える?

適格請求書発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間です(平成28年改正法附則第51条の2)。個人事業者は令和5年10〜12月分と令和6〜8年分、法人は9月30日を含む事業年度(例: 令和8年4月〜令和9年3月)まで使えます。令和8年10月1日以後に始まる課税期間には使えません。個人事業者に限り、令和9年分・令和10年分の確定申告で、納付税額を売上税額の3割とする「3割特例」が国税庁の令和8年度税制改正特集に載っています(要件は、個人事業者で、基準期間=2年前の課税売上高が1,000万円以下で、インボイス発行事業者であること)。法人には3割特例はありません。

インボイスの登録をしていないと使えない?

使えません。2割特例は、免税事業者がインボイス制度を機にインボイス発行事業者の登録を受けて課税事業者になった場合の特例です(課税事業者選択届出書を出して課税事業者になった免税事業者が登録した場合も含みます)。インボイス発行事業者でない課税事業者は対象外です。免税事業者のままなら消費税の申告そのものが要りません。

2割特例が使えないのはどんな人?

インボイス制度と関係なく課税事業者になる人は使えません。基準期間(個人は2年前・法人は原則2事業年度前)の課税売上高が1,000万円を超える人、特定期間(個人は前年1〜6月)の課税売上高が1,000万円を超える人(給与等の支払額で判定する場合を除く)、資本金1,000万円以上の新設法人、課税事業者選択届出書の提出後2年以内などに調整対象固定資産(税抜100万円以上)を一般課税で仕入れて免税に戻れない人、高額特定資産を仕入れた人、課税期間の特例(1か月・3か月に短縮)を選んでいる人、令和5年9月30日以前から課税事業者選択届出書で課税事業者になっていた人の、令和5年10月1日を含む課税期間(個人は令和5年分)などです。こうした人も、その翌課税期間(個人は令和6年分)以後は、ほかの要件を満たせば使えます(国税庁 インボイスQ&A問115・適用可否フローチャート)。

売上は税込で入れる?軽減税率は?

請求書や領収書の税込の金額を、税率ごとに合計して入れます。10%と軽減税率8%(飲食料品・新聞)は分けて計算する決まりです(国税庁の手引き)。令和5年分の人は、インボイス発行事業者になった令和5年10月1日以後の売上だけを入れます。売上の返還(値引き・返品)・貸倒れ・貸倒回収・中間納付がある場合は、このページの計算には入っていません。

2026年10月6日現在の情報です(データ最終更新: 2026年10月4日)。出典: 国税庁 2割特例 特設ページ(適用可否フローチャート・手引き・設例) / 国税庁 インボイス発行事業者の「2割特例」適用可否フローチャート(令和6年9月版) / 国税庁 2割特例用 消費税及び地方消費税の確定申告の手引き / 国税庁 申告書の記載例 設例8 2割特例(付表6の計算) / 国税庁 インボイスQ&A 問115 2割特例の適用ができない課税期間 / 国税庁 No.6505 簡易課税制度 / 国税庁 令和8年度税制改正特集(3割特例・簡易課税への移行) / 国税庁 消費税及び地方消費税の申告書(簡易課税用)の書き方 / e-Gov 法令検索 消費税法(第9条・第30条・第37条)