熊本ばってん下戸だモンの日 (記念日 9月21日)

熊本ばってん下戸だモンの日

「下戸」という言葉の成り立ちは、意外にも飲酒とは無関係な税制度にあります。律令制では課税単位を「戸」と呼び、課税額の多い順に大戸・上戸・中戸・下戸の4等級に分類されていました。婚礼の際に用意する酒の量もこの等級に準じ、上戸の家では8瓶、下戸の家ではわずか2瓶。この差が転じて、お酒をよく飲む人を「上戸」、あまり飲めない人を「下戸」と呼ぶようになったとされています。そんな「下戸」たちが堂々と集まれる場をつくろうと、熊本県熊本市で発足したのが「熊本下戸の会」です。2016年(平成28年)9月21日に第1回の会を開催し、それを記念してこの日が「熊本ばってん下戸だモンの日」に制定されました。2017年(平成29年)には一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されています。

同会のコンセプトは明快で、お酒が飲めない人だけでなく、「できれば飲まずに異業種交流をしたい」という人も対象にしています。懇親会というとお酒が前提になりがちな日本のビジネス文化の中で、飲めない人が肩身の狭い思いをしなくて済む場の存在は、参加のハードルを大きく下げます。この日を中心に、ソフトドリンクで乾杯する異業種交流会が開催されています。体質的にお酒が飲めない人、妊娠中や服薬中で飲めない人、単純に好まない人など、下戸の事情は人それぞれですが、この会ではその理由を問わず誰でも対等に参加できます。

「ばってん下戸だモン」という名前には、熊本弁の「ばってん(だけど)」が入っており、飲めないけれど交流は楽しみたい、というポジティブな逆接の気持ちが込められています。お酒が飲めないことを引け目にせず、むしろその共通点を旗印にして集まる発想は、記念日の名前そのものに表れています。熊本らしい方言を冠したこの名称が、地域に根ざした活動の親しみやすさをよく伝えています。