骨董の日 (記念日 9月25日)

骨董の日

「骨董」という言葉を日本に広めたのは、江戸時代の戯作者・山東京伝でした。1814年(文化11年)に刊行した随筆集『骨董集』で、それまであまり一般的でなかったこの語を世に知らしめた人物です。その著作の一巻に記された「文化十二乙亥九月二十五日」という日付が、骨董の日の由来となっています。

骨董の日は、京都市中京区を拠点に骨董・美術品のオークションを手掛ける株式会社古裂會(こぎれかい)が制定しました。日本の古き良き文化の一つである骨董品を多くの人に愛してもらうきっかけの日とすることを目的とし、2017年(平成29年)に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されました。

骨董品(こっとうひん)とは、希少価値のある古美術や古道具のことを指します。フランス語ではアンティーク(antique)と呼ばれ、その語源は「古い」を意味するラテン語のアンティクウス(antiquus)に由来します。骨董品として重要なのは「古いこと」と「希少価値」であり、物品のジャンルは問いません。食器・文具といった日用品をはじめ、玩具、貴金属や宝石を含む装飾品、衣類、家具など、その範囲は多岐にわたります。

中国では古くから「乱世的金銀 太平時的骨董」という言葉があります。乱れた世では金銀が価値を持ち、平和な時代には骨董こそが価値あるものとして尊ばれるという意味です。戦乱や動乱の時代には生活の安定が最優先となる一方、世が落ち着いて初めて人々は美や歴史への関心を向ける余裕を持てる——骨董品はそうした人間の文化的営みの成熟を映す鏡とも言えます。

なお、文化遺産の保護などを目的として、骨董品の輸出を規制している国も少なくありません。そのような国から骨董品を持ち出す行為は違法となる場合があり、国際的な取引には十分な注意が必要です。日本においても、重要文化財や国宝に指定された品については輸出が厳しく制限されており、文化財の海外流出を防ぐ仕組みが整備されています。

山東京伝が筆を執った江戸の時代から200年以上が経った今日も、骨董の世界は多くの愛好家を惹きつけ続けています。骨董の日は、古いものに宿る歴史と美を改めて見つめ直すきっかけとして、その意義を静かに伝えています。