除夜 (年中行事 12月31日)

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除夜の意義と風習

年の瀬に静かに訪れる「除夜(じょや)」は、多くの日本人にとって特別な夜です。一年の最後の日、すなわち「大晦日(おおみそか)」の夜を指し、この時期は家族や友人と共に過ごし、新たな年への期待を込めて年越しをします。

除夜の由来と歴史

除夜の起源は古く、一年の神「年神(としがみ)」を迎えるために、夜を徹して過ごす風習がありました。年神は新たな年の豊作や家族の健康をもたらすとされ、この神聖な時を祝うために多くの儀式や習慣が生まれました。

年越しそばと除夜の鐘

除夜には、家庭で「年越しそば」を食べる風習があります。これは長寿と繁栄を願い、また一年の苦労を断ち切る意味が込められているとされています。また、深夜0時を挟む時間帯には、寺院で「除夜の鐘」が撞かれ、これにより一年の終わりと新年の始まりを告げます。

除夜の鐘は、眼(げん)・耳(に)・鼻(び)・舌(ぜつ)・身(しん)・意(い)という六根に対する好(こう)・悪(あく)・平(へい)の感覚、計18類に浄(じょう)と染(せん)の状態を加えて36類、さらに前世・今世・来世の三世に配して総数108となり、これが人間の煩悩の数を象徴しています。また、月の数12、二十四節気の数24、七十二候の数72を合わせた108は一年間を表すとも言われており、除夜の鐘は煩悩を消し去ると同時に、一年を清算する意味合いも持っています。

除夜の鐘と文化的意義

除夜の鐘の音は、日本の冬の夜に響き渡り、多くの人々にとって心の洗浄とも言える重要な瞬間です。この習慣は日本の文化や宗教に深く根ざしており、年の終わりに自己反省を促し、新たな年への希望を新たにするきっかけとなります。

煩悩の消去と心の浄化

108回の鐘の音は、それぞれの打鐘が私たちの心に残る煩悩を消し去り、新しい年に向けて心を清らかにするとされています。この美しい伝統は、日本人の精神性と結びついており、除夜の鐘を聞くことは多くの人にとって年中行事の中でも特に感慨深いものです。