知的障害者愛護デー (記念日 9月10日)
「精神薄弱者愛護デー」という名称が60年以上前の記念日の出発点です。1964年(昭和39年)、日本精神薄弱者福祉連盟が9月10日をこの記念日として制定しました。当時、「精神薄弱者」は知的障害のある人を指す公的な呼称として使われており、福祉制度も現在と大きく異なる時代でした。高度経済成長期のさなか、障害のある人々の生活支援や社会参加は十分に整備されておらず、この記念日は社会的関心を呼びかける場として位置づけられました。
「精神薄弱」という用語は、長年にわたって法律や行政の場で正式に使われてきましたが、「精神」という語が人格全体を指すように受け取られやすく、知的な発達に関する障害を的確に表していないとして、当事者団体や支援者から見直しを求める声が高まりました。1998年(平成10年)、「精神薄弱の用語の整理のための関係法律の一部を改正する法律」が公布され、翌1999年4月の施行により「知的障害」が公式な呼称となりました。日本精神薄弱者福祉連盟も同年に「日本知的障害福祉連盟」へ名称を変更し、これに伴って記念日の名称も「知的障害者愛護デー」と改められました。
9月1日から30日は「知的障害福祉月間」に定められており、知的障害者愛護デーはその中核となる日です。各都道府県の知的障害者福祉協会などが啓発活動や福祉パレードを実施し、知的障害のある人への理解と地域での支え合いを呼びかけています。就労支援や自立支援をテーマにしたイベントが開かれることも多く、福祉月間全体を通じて支援の輪を広げる取り組みが続けられています。
制定から60年以上が経った現在も、この記念日は知的障害福祉の歩みを振り返る機会となっています。用語の変遷は、社会が障害のある人をどう見てきたかの歴史そのものです。名称が変わっても、当事者の生活を支え、社会参加を後押しするという記念日の根本は変わっていません。