建築の歴史を刻む「定礎」とは?その意義と役割を解説
ベストカレンダー編集部
2024年04月17日 21時28分
定礎とは何か?
定礎(読み方:ていそ)は、建築物の土台となる礎石(そせき)を定め、設置することを指します。古代ギリシャやローマにおいては、建築物の基準となる石に印を刻み、工事の無事や建物の長寿を祈願する儀式が行われていたことが、定礎のルーツとされています。(出典)
現代の日本においては、定礎はビルやマンション、学校などの大規模建築物の正面玄関付近や南東側に設置されることが多く、御影石やステンレス、銅など耐食性の高い素材で作られた定礎板(ていそばん)に竣工日などが記されています。(出典)
定礎には法的な設置義務はなく、設置されるかどうかは建築主の裁量に委ねられていますが、建築物の完成を記念し、またその歴史を後世に伝えるためのタイムカプセルの役割も果たしていると言えるでしょう。
定礎の役割と中身について
定礎の設置は単なる飾りではありません。その中には定礎箱(ていそばこ)と呼ばれる箱が埋め込まれていることが多く、以下のようなものが封入されています:
- 土地を守る氏神様のお札
- 建物の図面
- 会社の社史
- 施主の名前
- 建築会社名
- 当時の新聞や紙幣・硬貨
- 写真などの思い出の品
定礎箱に入れるものに明確な決まりはありませんが、建物の歴史や記念すべき瞬間を後世に伝えるためのアイテムが選ばれることが一般的です。(出典)
定礎箱は、建物が解体されるまで開けられることはなく、そのためにタイムカプセルとしての役割を果たします。建物が壊された際に発見される定礎箱からは、過去の貴重な資料が発見されることもあります。(出典)
定礎式が行われるタイミングは、本来は建物の着工前ですが、現在では竣工時に行われることが一般的です。これは、建物の安全を祈願する地鎮祭が着工時に行われるため、定礎は竣工を記念する行事として位置づけられているためです。