建設業の倒産急増、職人不足と人件費高騰が経営を圧迫する背景
ベストカレンダー編集部
2024年11月3日 11:16
建設業倒産急増
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建設業の倒産動向とその背景
2024年1月から10月にかけての「建設業」の倒産件数が急増していることが、株式会社帝国データバンクの調査によって明らかになりました。この調査は、負債1000万円以上で法的整理による倒産を対象としており、2024年10月31日までの集計結果が報告されています。
調査の結果、2024年に発生した建設業の倒産件数は1566件に達し、これは8年ぶりの高水準を記録した前年をさらに上回るペースで推移しています。このままの勢いで進むと、通年での倒産件数は過去10年で最多を更新する見込みです。
倒産の要因:職人不足と人件費の高騰
建設業の倒産増加の背景には、深刻な「職人不足」とそれに伴う人件費の高騰があります。2024年9月時点で、建設業における人手不足感を抱える企業の割合は69.8%に達しており、これは非常に高い水準です。
特に都市部では再開発事業が活発であり、災害復旧工事などの需要も旺盛ですが、今年4月から導入された残業時間の上限規制が影響し、建築作業を担う職人や現場監督の求人難が顕著となっています。このような状況下で、現場での人手不足が続くことで、人件費が高騰し、企業の経営を圧迫しています。
人件費の上昇とその影響
2024年7月の現金給与総額は前年同月比で約10%上昇しており、これは全産業を大幅に上回る高い伸びです。この人件費の上昇は、業務遂行に不可欠な資格を持つ従業員が転職や退職することによって、さらに悪化しています。このような「人手不足倒産」が増加していることも、倒産件数の増加に寄与しています。
また、職人が不足していることで工期が延長したり、後ろ倒しになるなどの悪循環が生じやすくなっています。これにより、企業の信頼性や受注機会が減少し、経営にとって非常に厳しい状況が続いています。
市場環境の変化とその影響
現在の建設業界は、戸建て住宅の価格高騰や金利上昇などの影響を受けて、「住宅着工が振るわない」といった企業も増えています。このような市場環境の変化は、中小零細規模の建設業者にとって、さらなる経営の圧迫要因となっています。
特に、賃上げ圧力が内外からかかっている中で、賃金引き上げの余力が乏しい中小零細企業は、倒産のリスクが高まっていると考えられます。このような状況を受けて、建設業界全体の動向が注視されています。
今後の展望
建設業の倒産件数が急増している現在、業界の安定化には人手不足の解消が不可欠です。また、企業が持続可能な経営を行うためには、適切な人材の確保と育成が重要な課題となります。これに加えて、業界全体での労働環境の改善や、賃金の適正化も求められています。
今後の市場動向に注目しつつ、建設業界がどのように変化していくのか、引き続き情報を収集し分析する必要があります。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
倒産件数(2024年) | 1566件(10月まで) |
人手不足感の割合 | 69.8%(2024年9月時点) |
現金給与総額の上昇率 | 約10%(前年同月比、2024年7月) |
倒産の要因 | 職人不足、人件費の高騰 |
建設業界は、職人不足や人件費の高騰といった深刻な課題に直面しており、倒産件数の増加が続いています。このような状況を踏まえ、業界の安定化に向けた取り組みが求められています。