風生忌 (記念日 2月22日)
- 生誕地
- 愛知県豊川市
- 生没年
- 1885年〜1979年(享年93歳)
- 本名
- 富安謙次
- 師匠
- 高浜虚子
- 主宰誌
- 俳句雑誌「若葉」
- 受賞歴
- 1971年 日本芸術院賞
官僚として逓信次官まで上り詰めながら、俳句の世界でも第一人者となった富安風生(1885〜1979年)。その忌日にあたる2月22日は「風生忌」と呼ばれ、近代俳句史における稀有な二刀流の人物として今も記憶されています。1885年(明治18年)、愛知県豊川市に生まれた富安風生(本名・謙次)は、東京帝国大学法科大学(現:東京大学法学部)を卒業後、郵便や通信行政を担う逓信省に入省します。行政官として着実に実績を重ね、やがて逓信次官というポストに就くまでになりました。逓信省は現在の総務省・日本郵政・NTTにあたる官庁であり、近代日本の通信インフラを支える中枢に身を置きながら、彼は俳句への情熱を手放すことがありませんでした。
俳句の師は高浜虚子。入門後は俳句雑誌「ホトトギス」の同人となり、虚子の流れを汲む花鳥諷詠の精神を深めていきます。逓信省内では俳句雑誌「若葉」の選者を務め、後に主宰として多くの俳人を育てました。岸風三楼、蒲池あや、清崎敏郎、加藤楸邨、岡本眸など、後の俳壇を担う人材が「若葉」から巣立っています。
温和な作風で知られた風生の句は、日常の景物を静かな眼差しで捉えるものが多く、激しい主張や奇抜な表現とは一線を画します。句集には「草の花」「松籟」「夕浪」「古稀春風」があり、長い俳句人生を通じて積み重ねた作品群は、穏やかな叙情の中に深みを持っています。
1971年(昭和46年)、86歳のとき日本芸術院賞を受賞し、日本芸術院会員にも選ばれました。官界と俳壇の両方で頂点に立ったこの経歴は、近代俳句史の中でも異例といえます。1979年(昭和54年)2月22日、動脈硬化症と肺炎のため93歳で死去。戦前から戦後にかけての俳句界を静かに支え続けた生涯でした。
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