美肌へ導く、化粧水の日 (記念日 9月9日)
9月9日の重陽の節句は、中国に由来する五節句の一つです。陽数の最高である「9」が重なる日として古くから尊ばれ、日本の平安時代には菊を使った優雅な習慣がもたらされました。その習慣の一つが「着せ綿」で、この風習が現代の化粧水という概念へと進化していったとされています。
着せ綿とは、9月8日の夜間に白い綿を菊の花にかぶせ、翌朝9月9日に菊の香りが移った露に湿った綿で顔や体を拭く行事です。古い医学書には、菊のエッセンスを含む水が健康と長寿をもたらすと記されており、平安貴族の間でこの習慣は大切にされました。特に女性たちは若さと健康を保つため、綿の色合いを厳密に選びました。白い菊には黄色い綿、黄色い菊には赤い綿、赤系の菊には白い綿をそれぞれかぶせるという決まりがあり、この配色の美しさも行事の魅力でした。色彩の組み合わせは単なる美意識ではなく、それぞれの色が持つ薬効を組み合わせることで相乗効果を狙ったものと考えられています。
このような古来の習慣から着想を得て、現代の化粧品メーカーが開発した製品が化粧水です。肌に直接かけて清潔さと潤いを保つというコンセプトは、露に湿った綿で肌を整える着せ綿の行為と通じています。そうした背景から、東京都港区浜松町に本社を置く資生堂ジャパン株式会社の中四国営業本部は、この日を「化粧水の日」として制定しました。古い時代の知恵と現代の美容技術が結び付く、歴史的な意義を持つ記念日となっています。
秋口は気温の低下により肌が乾燥しやすく、肌トラブルが増える季節です。現代でも多くの人が秋に化粧水を使い始めたり、より高い保湿力を求めたりします。季節の変わり目で肌が揺らぎやすい時期だからこそ、かつての貴族たちが実践した菊を使った肌ケアの知恵を思い出し、化粧水の歴史的背景に思いを馳せるのは、日本の伝統文化を感じるとともに、季節に応じた美容について考える良い機会といえます。