佐伯ごまだしの日 (記念日 11月10日)

皆さんは「佐伯ごまだし」という調味料をご存知でしょうか？その独特な風味と歴史ある背景から、多くの人々に愛され続けている佐伯市の郷土料理です。特に「佐伯ごまだしうどん」は、寒くなる季節にぴったりの温かい料理として親しまれています。今回は、この魅力的な調味料について詳しくご紹介します。

佐伯ごまだしの歴史と文化的背景

佐伯ごまだしの起源とその歴史

「佐伯ごまだし」は、大分県佐伯市で生まれた伝統的な調味料で、漁師の家庭料理として長年愛されてきました。エソやアジ、カマスなどの魚肉をすり鉢でごまと混ぜ合わせ、醤油で味を調えることで作られます。この調味料が地元の食堂で提供されるようになったのは、100年以上前のことです。1967年（昭和42年）頃からは、お土産用に瓶詰めが販売され、より広く知られるようになりました。

また、佐伯ごまだしは2021年（令和3年）に文化庁が推進する「100年フード」に選定され、その価値が再評価されています。さらに、2007年（平成19年）には農林水産省の「農山漁村の郷土料理百選」にも選ばれました。これらの選定は、佐伯ごまだしの歴史的価値と文化的意義を示しています。

このように、佐伯ごまだしは単なる調味料ではなく、地域の文化や歴史を伝える重要な存在です。地元の学校では、味の伝承のために小中学生が授業で研究し、高校生には卒業前に振る舞われることもあります。これにより、次世代へとその味が引き継がれているのです。

佐伯ごまだしの製造過程とその特徴

佐伯ごまだしの製造は、非常にシンプルでありながらも手間がかかります。魚肉とごまをすり鉢で丁寧に混ぜ合わせることで、その豊かな風味が生まれます。この工程は、家庭ごとに異なるため、それぞれの家庭で独自の味が楽しめるのが魅力です。例えば、ある家庭では魚の種類を変えたり、醤油の量を調整したりして、個々の好みに合わせた味を作り出しています。

また、佐伯ごまだしは保存性が高く、作り置きができるため、忙しい日常の中でも手軽に使えるのが嬉しいポイントです。うどんに合わせるだけでなく、お茶漬けや豆腐、ゆでた野菜など、様々な料理に活用できる万能調味料として、多くの家庭で重宝されています。

佐伯ごまだしの記念日とその由来

「佐伯ごまだしの日」は、11月10日に設定されています。この日付は、11を「いい」と読み、10を「魚（とと）」と表現することから来ています。また、すり棒（1）とすり鉢（0）に見立てることも由来の一つです。このようなユニークな発想で記念日が設定されるのも、佐伯ごまだしの魅力の一部と言えるでしょう。

また、11月7日頃に訪れる二十四節気の「立冬」を過ぎ、秋も深まったこの時期に食べる「佐伯ごまだしうどん」は、特に美味しいとされています。寒さが増す中で、温かい料理が体を温めてくれるのは、何よりの幸せですね。

佐伯ごまだしの楽しみ方と地域への影響

佐伯ごまだしの多様な楽しみ方

佐伯ごまだしは、そのままうどんにかけるだけでなく、多様な料理に応用できるのが魅力です。例えば、ごまだしを使ったお茶漬けは、魚の旨味とごまの風味が絶妙に絡み合い、一度食べたら忘れられない味わいです。また、豆腐にかけたり、ゆでた野菜と和えたりして、一品料理としても楽しむことができます。

さらに、佐伯市内の食堂や道の駅「やよい」では、地元の味をそのまま楽しめる「ごまだしうどん」が提供されています。観光客にとっても、地元の味を手軽に楽しめるスポットとして人気があります。特に、国道10号線沿いにある道の駅は、佐伯市街地の玄関口として、多くの人々が訪れる場所です。

こうした多様な楽しみ方ができる佐伯ごまだしは、家庭料理としてだけでなく、地域の観光資源としても重要な役割を果たしています。

佐伯ごまだしが地域にもたらす影響

佐伯ごまだしは、地域の経済や観光にも大きな影響を与えています。お土産用の「ごまだしうどんの素」は、観光客に人気のアイテムで、地元の特産品として広く知られています。また、佐伯市観光協会が事務局を務める「佐伯ごまだし暖簾会」が制定した記念日を通じて、さらに多くの人々にその魅力を知ってもらうことが目的とされています。

このように、佐伯ごまだしは地域のアイデンティティを形成し、地元経済を支える重要な要素となっています。観光客が訪れることで地域の活性化が図られ、また地元の人々もその価値を再認識する機会となっています。