スプツニ子！の個展が2024年11月2日から開催、テクノロジーと未来を考察

マルチメディアアーティスト・スプツニ子！の個展について

2024年11月2日（土）から2025年1月25日（土）まで、KOTARO NUKAGA（天王洲）にて、マルチメディアアーティストで映像作家としても知られるスプツニ子！（Sputniko!）の個展「Can I Believe in a Fortunate Tomorrow? ー幸せな明日を信じてもよい？ー」が開催されます。この展覧会では、未発表の新作を含む3シリーズの作品が展示され、現代社会におけるテクノロジーと人間の関係について深く考察されます。

本展のテーマは、「かつてわたしたちが夢見た、テクノロジーと共存する未来」の現在地を問い直すことです。スプツニ子！は、2000年代から2010年代にかけてのインターネットやソーシャルメディアの発展がもたらしたユートピア的なビジョンが、2020年代に入ると誤情報の拡散や社会の分断といった冷厳な現実へと変わってしまったことを指摘しています。特に、11月上旬に行われるアメリカ大統領選挙は、こうした分断の現状を鮮明に反映しており、彼女はテクノロジーがもたらすべき「幸せ」や「希望」が今どこにあるのかを再考する必要性を強調しています。

展覧会の作品構成とシリーズ紹介

本展は、1〜30分程度の映像作品16点から構成され、以下の3つのシリーズが展示されます。

シリーズ①：《Drone in Search for a Four-Leaf Clover》

この作品は、群生するクローバーの上をドローンが飛行する映像をAIが解析し、「幸せの象徴」とされる四つ葉のクローバーを探し出すという内容です。この作品は、2023年に金沢21世紀美術館で開催された「DXP（デジタル・トランスフォーメーション・プラネット）―次のインターフェースへ」展で展示され、現在イギリスの著名なデジタルアート・アワードであるThe Lumen Prize（ルーメン・プライズ）にもノミネートされています。

テクノロジーの進歩によって、かつては人の目で探し出すしかなかった四つ葉のクローバーが、今では簡単に発見できるようになりました。しかし、その「進歩」が果たして本当に私たちを幸せにするのか、という疑問が投げかけられています。

シリーズ②：《Can I Believe in a Fortunate Tomorrow?》

このシリーズでは、太陽近くの雲が虹のように七色を帯びて見える「彩雲」をAIによってシミュレートした映像作品が展示されます。古来より「吉兆」と信じられてきた彩雲を、AIが解析し合成した映像は、見る人に幸せをもたらす一方で、実際にはフェイク映像であるという両義性を暗示しています。

映像は流れる雲の中の水や氷の粒で光が屈折・散乱することで七色に輝く様子を描写しており、テクノロジーが創り出す未来の可能性とその影響について考えさせられます。

シリーズ③：《Tech Bro Debates Humanity》

この作品では、ふたつのモニターに映し出された2人の男性が様々な人類の課題について議論を繰り広げます。彼らは、スプツニ子！の容姿や声音を生成AIモデルによって「白人男性」化し、テクノロジー界隈の影響を受けたアバターです。議論の内容も全てAIによって生成されており、テクノロジーがもたらす未来の姿を示唆しています。

開催概要と関連イベント

本展の開催概要は以下の通りです。

また、11月9日（土）には、展覧会会場にてトークイベント「社会を変えるアートとテクノロジーの交差点」が開催され、スプツニ子！や金沢21世紀美術館のチーフキュレーター、他のアーティストが登壇します。事前予約は不要で、着席定員は40名となっています。

スプツニ子！のプロフィールと活動

スプツニ子！は東京生まれで、東京を拠点に活動するマルチメディアアーティストおよび映像作家です。インペリアル・カレッジ・ロンドンを卒業後、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで修了しました。彼女はバイオテクノロジーやジェンダー・パフォーマンス、異なる生体間のコミュニケーションといったテーマを扱い、科学やテクノロジーを駆使して現代社会の価値観を探求しています。

スプツニ子！の作品は、ニューヨーク近代美術館やポンピドゥーセンター・メス、ヴィクトリア＆アルバート博物館など世界中の著名な美術館で展示されており、彼女の活動は国際的に高く評価されています。

本展は、テクノロジーの進歩が私たちの未来にどのような影響を与えるのかを考える貴重な機会となります。アートを通じて、社会やテクノロジーの関係性について深く考察する場として、多くの人々に新たな視点を提供することが期待されます。

以上の情報を基に、スプツニ子！の個展への関心が高まることが期待されます。アートとテクノロジーの交差点で繰り広げられるこの展覧会は、訪れる人々に新たな発見と考察の機会を提供することでしょう。