2024年10月29日、日本のSTEM人材AI導入調査で生産性損失が浮き彫りに

STEM人材AI導入調査

開催日:10月29日

日本のSTEM人材はどれくらい生産性を無駄にしてるの?
日本のSTEM人材は、高度なAIツールを利用できないために週平均約6時間を無駄にし、年間約8.8兆円の生産性損失が発生しています。
日本企業のAI導入の状況はどうなってるの?
日本のSTEM人材の43%が自社のAI導入が同業他社に後れを取っていると感じており、経営陣のデジタルリテラシーの低さが課題となっています。

日本経済における生産性格差の現状

日本のSTEM(科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学)人材に関する調査が、SThree株式会社によって実施されました。この調査によると、日本では約370万人のSTEM人材が、高度なAIツールを利用できないために、週平均約6時間を無駄に費やしていることが明らかになりました。この結果、年間約8.8兆円の生産性損失が発生していると試算されています。

調査に参加したSTEM人材の約20%は、AIツールを導入していない環境が仕事の生産性に最も大きな悪影響を与えていると回答しています。特に、日本のSTEM人材の約10%が、AIによって迅速化できる業務に週のほぼ丸一日を費やしているというデータもあります。

AI導入の遅れとその影響

STEM人材とは、ソフトウェアエンジニア、環境科学者、生物医学研究者、データアナリストなど、多岐にわたる専門家を指します。これらの専門家は、さまざまな業界でイノベーションを推進する重要な役割を担っています。

SThreeは、STEM先進国である米国、英国、日本、ドイツ、オランダの5カ国において、2,500人以上のSTEM人材を対象に調査を実施しました。調査の結果、日本のSTEM人材の43%が、自社のAI導入が同業他社に後れを取っていると感じていることがわかりました。

企業のデジタルリテラシーの現状

調査結果によると、日本のSTEM人材の53%が自社の経営陣を「デジタル音痴」と評価しています。これは、最新テクノロジーが仕事の質を向上させることを理解していないと考えているためです。また、76%のSTEM人材が雇用主にテクノロジーやソフトウェアのイノベーションを提案した経験があり、そのうちの65%は実現に至っていないと述べています。

これらの結果は、企業のリーダー層がデジタル技術に対してオープンでないことが、イノベーションの推進を妨げていることを示しています。

STEM人材の声と企業の責任

SThree Japanの代表取締役、クリストファー・ライリー氏は、労働力人口の減少と高齢化の進展に伴い、STEM人材を雇用・確保する必要性が高まっていると指摘しています。特に、より優れたテクノロジーやAI導入の推進に対する従業員の要求に耳を傾けることは、すべての組織の責務であると述べています。

また、SThreeのCEO、ティモ・レーネ氏は、STEM人材がAIの利点を具体的に特定できる立場にあることを強調しています。ビジネスリーダーは、テクノロジーの急速な発展に後れを取らないよう努める必要があります。

調査の背景と方法

本調査は、SThree Plcの委託を受け、FT Longitudeが7月10日から8月11日にかけて実施しました。調査対象は、英国、米国、日本、ドイツ、オランダの5カ国で、2,597人のSTEM人材が回答しました。回答者の30%は、従業員500人以上の企業に所属しています。

日本のSTEM人材の平均時給は約7,845円であり、年間の生産性損失は、370万人の労働者が週に失う時間から計算されています。具体的には、370万人×5.86時間=2,165万2,114時間、年間11.3億時間が失われていることになります。

生産性向上のための提言

日本のSTEM人材が直面している課題を解決するためには、企業は以下のような取り組みを行う必要があります。

  • AIツールの導入を促進するための投資を行う
  • デジタルリテラシー向上のための教育プログラムを導入する
  • STEM人材の意見を積極的に取り入れる

これらの施策を通じて、企業は生産性を向上させ、競争力を維持するための基盤を築くことができるでしょう。

要素 内容
調査対象 日本および5カ国のSTEM人材2,597人
生産性損失 年間約8.8兆円
無駄に費やす時間 週平均約6時間
AI導入の遅れを感じる人材 43%
経営陣を「デジタル音痴」と評価する人材 53%

この調査から得られた情報は、日本のSTEM人材が直面している課題を明らかにし、企業が今後どのように対応すべきかを示唆しています。生産性を向上させるためには、AIツールの導入やデジタルリテラシーの向上が不可欠であることがわかります。