タイガー魔法瓶の新断熱技術、2025年5月から大阪万博で保冷輸送に活用開始
ベストカレンダー編集部
2025年4月8日 13:14
万博保冷輸送開始
開催日:5月1日

新開発のステンレス密封真空断熱パネルの概要
タイガー魔法瓶株式会社は、2025年大阪・関西万博での保冷輸送に新開発の「ステンレス密封真空断熱パネル」(TIVIP)を活用することを発表しました。このパネルは、熱伝導を非常に低く抑える高性能な断熱材であり、環境に配慮した持続可能な資材として注目されています。今後、万博会場内外での保冷輸送において、これを使用したリーファーコンテナや保冷ボックスが導入されます。
この新技術は、従来の非ステンレスの真空断熱材では得られなかった不燃性と高断熱性を兼ね備えており、長期間にわたってその性能を維持することが可能です。これにより、輸送時の温度維持に必要な電気エネルギーの使用を抑え、CO2削減に貢献します。

万博での具体的な活用例
2025年5月以降、万博会場内外での保冷輸送において、以下の3つの器材が活用されます:
- 真空断熱リーファーコンテナ
- 真空断熱プロテクトBOX
- 真空断熱ロールBOX
これらの器材は、温度維持に必要な電気エネルギーを削減し、環境負荷を軽減することを目的としています。具体的には、真空断熱リーファーコンテナでは屋外設置時に消費電力の比較を行い、真空断熱プロテクトBOXとロールBOXは会場内外での飲食物輸送に活用されます。

ステンレス密封真空断熱パネルの特長
ステンレス密封真空断熱パネル(TIVIP)は、以下の特長を持っています:
- 高断熱性:内部を真空状態にすることで、熱伝導率を0.0025W/m・K以下に抑え、従来の断熱材の約10倍から25倍の高い断熱効果を発揮します。
- 長寿命:30年以上の真空断熱を維持することが可能で、長期間にわたってその性能を保持します。
- 不燃性:ステンレス素材を使用しているため、安全性が高く、従来の真空断熱材では得られなかった不燃性を実現しています。
- 薄型設計:発泡ウレタンの約1/10の薄さで同等の断熱効果を得ることができ、省エネやスペース効率を重視する分野での使用が期待されます。
この技術は、タイガー魔法瓶が100年以上にわたり進化させてきた真空断熱技術を応用したものであり、宇宙分野への挑戦も含まれています。

協業パートナーと持続可能な取り組み
今回のプロジェクトでは、日本通運と岐阜プラスチック工業との協業が重要な役割を果たしています。岐阜プラスチック工業は、軽量かつ高強度の樹脂製ハニカムパネル「テクセル」を提供し、TIVIPを保護しながら軽量で強固な断熱ユニットパネルを形成しています。
これにより、従来の冷凍・冷蔵・定温輸送で必要だった蓄冷材や蓄熱材を不要とし、電力使用量の大幅な削減を実現しました。また、タイガー魔法瓶は不要になったステンレス製ボトルを回収し、リサイクルしてテクセルに使用しています。

展示情報と今後の展望
2025年10月7日から10月13日までの期間、万博会場内で「フューチャーライフエクスペリエンス」として、ステンレス密封真空断熱パネル技術の展示が行われます。この展示は、大阪府のカーボンニュートラル技術開発・実証事業の支援を受けており、最先端技術の開発と実証に挑戦する企業を後押しするものです。
展示内容には、タイガー魔法瓶によるステンレス密封長寿命不燃真空断熱パネル技術の開発・実証が含まれ、来場者はこれを通じて新技術の実際の利用例を目にすることができます。

まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
技術名 | ステンレス密封真空断熱パネル(TIVIP) |
活用開始日 | 2025年5月以降 |
協業パートナー | 日本通運、岐阜プラスチック工業 |
特長 | 高断熱性、長寿命、不燃性、薄型設計 |
展示期間 | 2025年10月7日~10月13日 |
展示場所 | 万博会場内(西エントランス広場側) |
このように、ステンレス密封真空断熱パネルは、環境に配慮した持続可能な技術として、2025年の大阪・関西万博で大いに活用されることが期待されています。今後の展開に注目が集まります。
参考リンク: