2024年10月26日、再生医療政策見直しを求める陳情書提出

再生医療政策見直し

開催日:10月26日

再生医療政策見直し
再生医療政策の見直しが求められている理由は?
自由診療下での悪質な再生医療ビジネスが増加し、現行法制度の不備が安全性や効果に影響を与えているためです。
院内細胞培養加工施設にはどんなリスクがあるの?
専門施設ではないため、適切な管理体制が不足し、感染症や品質の不均一といったリスクが存在します。
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再生医療政策の抜本的見直しを求める陳情書を厚生労働省に提出

2024年10月26日、一般社団法人再生医療安全推進機構は、急増する自由診療下での悪質な再生医療ビジネスに警鐘を鳴らし、「再生医療相談室」を運営する中で、再生医療に関する政策の早急な見直しを求める陳情書を厚生労働省に提出しました。この陳情書は、現行の再生医療政策と法制度における重大な問題点を指摘し、早急な改善を要請するものです。

再生医療は、細胞治療や組織工学、分子治療といった多岐にわたる技術を駆使し、病気や損傷を受けた組織や器官を修復・再生する革新的な医療分野です。この分野では、科学的な進展と臨床応用が急速に進んでおり、重篤な疾患や難病に対する新たな治療選択肢としての期待が高まっています。

再生医療の現行法制度とその課題

再生医療における臨床研究から治療応用には、安全性と品質の担保を目的とした「再生医療等安全性確保法(安確法)」が存在します。この法律により、再生医療を行うには審査機関(特定認定再生医療等委員会)の審査が必要ですが、現状ではその審査機関において明確な審査ガイドラインが設けられていないことが問題視されています。

そのため、本来であれば受理されない治療提供計画書が受理されるという現象が発生しています。このような状況は、再生医療の安全性や効果に対する信頼を損なうものであり、早急な見直しが求められています。

医療機関内での培養施設のリスク

再生医療の幹細胞治療において、専門の培養施設ではなく、医療機関内で行われる「院内細胞培養加工施設(院内CPC)」の運用には重大なリスクが潜んでいます。CPCとは、再生医療に必要な細胞の培養・加工を行う専用施設であり、高度な無菌環境で細胞の分離・増殖を行い、患者へ安全に移植できる品質を保つ役割を担います。

院内CPCは、医療機関における院内で細胞を培養・加工する施設であり、治療において重要な役割を果たしますが、専門の施設ではないため、適切な管理体制の不備や感染症、品質の不均一といった深刻なリスクが発生する可能性があります。

陳情書の主な内容

提出された陳情書には、以下のような具体的な要望が含まれています。

  • 臨床現場の患者ニーズを反映した政策立案
    再生医療における政策立案には、現場からの直接的フィードバックが必須です。医療従事者、研究者、患者からの具体的な意見や体験は、医療の透明性を高め、患者中心のケアの促進に寄与します。
  • 明確な審査ガイドラインの策定
    特定認定再生医療委員会における審査プロセスの標準化は、治療の安全性と効果を保証する上で不可欠です。委員会間での連絡協議会を設置し、共通の審査ガイドラインを作成することで、一貫性のある評価基準を確立することが期待されます。
  • 法規制の適切な更新
    再生医療技術の進展速度に法規制が追い付かず、治療法の承認プロセスの遅れが患者の治療機会を制限しています。これを解決するために、再生医療の安全性や効果に関する包括的なデータベースの構築が提案されています。
  • 効果的な監視体制の構築
    令和5年10月時点で約700の医療機関が法規制外の治療法を行っている現状があります。これらの問題を解決するためには、厚生労働省が主導的にガイドラインを制定し、明確な法的枠組みを確立する必要があります。

再生医療安全推進機構の活動と今後の展望

一般社団法人再生医療安全推進機構は、2023年4月に設立され、再生医療が安全に提供される社会の実現を目指しています。患者や医療従事者、再生医療ビジネスにかかわる企業など、再生医療の専門家でなくとも信頼に足る情報にアクセスできるようにするために、「再生医療相談室」を運営しています。

厚生労働省は、2024年10月25日付で「再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づく緊急命令について」と題し、医療機関名を公表し重大辞退報告を行っています。この事案は、当機構として看過できない重大事案であり、再生医療政策の抜本的な見直しが進むことが期待されます。

一般社団法人再生医療安全推進機構の概要

所在地
〒813-0017 福岡県福岡市東区香椎照葉5-1-12
設立
2023年4月
事業内容
再生医療関連事業
URL
再生医療相談室

まとめ

再生医療政策の見直しを求める陳情書の提出は、現状の再生医療における課題を解決するための重要な一歩です。具体的な要望として、患者ニーズの反映、審査ガイドラインの策定、法規制の更新、監視体制の構築が挙げられています。これらの取り組みが進むことで、再生医療の安全性と効果が確保され、患者にとってより良い治療環境が整うことが期待されます。

要望内容 詳細
臨床現場の患者ニーズを反映した政策立案 医療従事者、研究者、患者からの意見を取り入れる。
明確な審査ガイドラインの策定 特定認定再生医療委員会の審査プロセスを標準化。
法規制の適切な更新 再生医療の安全性や効果に関するデータベースの構築。
効果的な監視体制の構築 厚生労働省が主導する法的枠組みの確立。

再生医療の安全性と効果を確保するための取り組みが進むことにより、患者にとってより良い治療環境が整うことが期待されます。

参考リンク: