4月12日から徳川美術館で国宝「初音の調度」10年ぶりの一挙公開

初音の調度展覧会

開催期間:4月12日〜6月8日

初音の調度展覧会
「初音の調度」ってどんな展示なの?
「初音の調度」は、江戸時代の豪華な婚礼調度品で、徳川家光の長女・千代姫のために製作された国宝です。
公開期間はいつからいつまで?
2025年4月12日から6月8日まで、名古屋の徳川美術館で公開されます。

国宝「初音の調度」10年ぶりの一挙公開

2025年4月12日から6月8日まで、名古屋の徳川美術館にて国宝「初音の調度」が10年ぶりに一挙公開されます。この展覧会は、江戸時代の美を極めた大名婚礼調度であり、将軍家の威信をかけた豪華絢爛な蒔絵の傑作が揃います。特に、3代将軍徳川家光の長女・千代姫が尾張徳川家に嫁ぐ際に誂えられた調度品は、散逸の危機を乗り越えて現代に伝わる歴史の至宝です。

「初音の調度」は、贅を尽くした材料と技術の粋を集めて製作され、当初は200件から300件が製作されたとされています。現在残る70件が一堂に会する機会は非常に貴重であり、江戸時代の婚礼文化を知る上で欠かせない展示となります。

日本一豪華な嫁入り道具 国宝「初音の調度」を10年振りに一挙公開〔徳川美術館/名古屋〕 画像 2

千代姫の婚礼事情と「初音の調度」の背景

千代姫は寛永14年(1637)に誕生し、わずか2歳6ヶ月で尾張家の2代光友に嫁ぎました。千代姫の誕生は、将軍家にとって「次期将軍の確保」という大きな使命を伴うものであり、婚礼準備は急ピッチで進められました。尾張家江戸屋敷に嫁いだ千代姫は、将軍家の姫君として「姫君様」と呼ばれ、大切に扱われました。

千代姫はその後、二代にわたる将軍の姉として権勢をふるい、将軍家と尾張家の架け橋となりました。彼女の生涯は華麗かつ誇り高きものであり、その婚礼に際して製作された「初音の調度」は、将軍家の威信をかけた日本一豪華な嫁入り道具として知られています。

日本一豪華な嫁入り道具 国宝「初音の調度」を10年振りに一挙公開〔徳川美術館/名古屋〕 画像 3

「初音の調度」の魅力と技法

「初音の調度」には、様々な漆工芸の技法が駆使されており、その中でも特に注目すべきは「葦手(あしで)」という技法です。これは、和歌の文字を意匠の中に巧みに散りばめる技法であり、特に慶事に用いられるおめでたい装飾として知られています。以下に、この技法を含む「初音の調度」の魅力をいくつか挙げます。

  • 意匠の中に隠された和歌の文字
    「初音の調度」には、母が我が子の便りを待ちわびる心情を詠んだ和歌が巧みに配置されています。
  • 凝縮された超絶技巧
    多種多様な漆工芸の技法が取り入れられ、1作品を見るだけでもその種類の多さに驚かされます。
  • 製作年代・作者が明確
    千代姫の婚礼調度として明確な目的を持って製作され、幸阿弥長重が指揮したことが記録として残っています。
日本一豪華な嫁入り道具 国宝「初音の調度」を10年振りに一挙公開〔徳川美術館/名古屋〕 画像 4

具体的な技法の紹介

「初音の調度」に使用されている主な漆工芸技法は以下の通りです:

技法名 説明
梨子地 金粉を透漆で塗りこむ技法で、家格の高い家のみ使用が許された。
高蒔絵 漆や地の粉を高く盛り上げ、立体感を表現する技法。
平蒔絵 漆で模様を描いた上に金粉を蒔く、蒔絵の基本技法。
研出蒔絵 漆の上に金粉を蒔き、磨き出して模様を浮き上がらせる技法。
彫金埋込 文字を彫金で制作し、蒔絵に埋め込む技法。
付描 粘度の高い漆で細い線を描いた上に金粉を蒔くことで、繊細な表現を可能にする技法。
切金 薄い板金を切り、ひとつずつ貼り付ける技法。
珊瑚貼付 珊瑚の彫刻を貼り付け、全体を豪華に演出する技法。
日本一豪華な嫁入り道具 国宝「初音の調度」を10年振りに一挙公開〔徳川美術館/名古屋〕 画像 5

関連イベントと展覧会の詳細

国宝「初音の調度」の公開に合わせて、いくつかの関連イベントも開催されます。特に注目すべきは、俳優の内藤剛志さんをゲストに迎えたトークショーや、地元食材を使った拘りのお食事を楽しむ「徳川ナイトミュージアムPREMIUM 華燭の宴」です。以下に主なイベントをまとめます。

  • 徳川ナイトミュージアムPREMIUM 華燭の宴
    日時:2025年4月26日(土)18:00~21:00
    参加費:20,000円
  • 記念講演会
    日時:2025年4月5日(土)13:30~15:00
    講師:大西 智洋氏
  • 土曜講座
    日時:2025年4月19日(土)13:30~15:00
    講師:吉川 美穂
  • 土曜講座
    日時:2025年5月10日(土)13:30~15:00
    講師:板谷 寿美
日本一豪華な嫁入り道具 国宝「初音の調度」を10年振りに一挙公開〔徳川美術館/名古屋〕 画像 6

展覧会の概要とアクセス情報

展覧会は徳川美術館の開館90周年を記念して開催され、国宝「初音の調度」を中心に、千代姫の華麗なる生涯をテーマにした企画展も同時開催されます。詳細は以下の通りです。

項目 詳細
会期 2025年4月12日(土)~6月8日(日)
開館時間 10:00~17:00(最終入館は16:30)
休館日 月曜日(GWは開館)
料金 一般1,600円、高大生800円、小中生500円
会場 徳川美術館 本館展示室

名古屋市の東区徳川町に位置する徳川美術館は、JR中央本線「大曽根」駅から徒歩8分の距離にあります。美術館南側には無料駐車場も完備されています。公式ホームページやSNSを通じて、最新情報やチケットの購入が可能です。

国宝「初音の調度」の展示は、江戸時代の文化や工芸の魅力を再確認する貴重な機会です。歴史に触れ、当時の人々の思いを感じることができる展覧会に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

参考リンク: