10円カレーの日 (記念日 9月25日)
毎年9月25日、東京・日比谷公園の「松本楼」前には朝から長い行列ができます。目当ては880円(2015年時点)のハイカラビーフカレーが、たったの10円で食べられるイベント「10円カレーチャリティ」です。この一風変わった慣習には、火災と再建、そして感謝にまつわる半世紀以上の歴史があります。
松本楼は1903年(明治36年)、日比谷公園の開園と同時に誕生した老舗洋食レストランです。ところが1971年(昭和46年)11月、沖縄返還協定に反対するデモ隊が建物に乱入し、ガソリンに火が放たれて全焼しました。店が燃えているというニュースが広まると、全国から「ぜひ再建してほしい」という手紙や電話が1,500件以上も届いたといいます。その声に励まされて再建を決意し、1973年(昭和48年)9月25日にリニューアルオープンを果たしました。「支えてくれた人々への感謝を形にしたい」という思いから始まったのが、開店を祝うカレーを10円で振る舞うというアイデアです。「無料ではお客様をもてなしたことにならない」という考えから、あえて10円という価格が設けられました。
以来、毎年9月25日には先着1,500名を対象に10円でカレーが提供されてきました。10円という象徴的な値段に加え、多くの来場者が自発的に募金を上乗せするため、集まった売上と寄付は交通遺児育英会や日本ユニセフ協会などに寄贈されています。1995年の阪神・淡路大震災では義援金として届けられたこともあります。
2023年からは形式が変わり、創業からの年数に合わせた金額(122円以上など)を寄付することでカレーが振る舞われる「カレーチャリティー」として受け継がれています。先着人数も500名程度に変更されましたが、感謝と社会貢献という精神は変わりません。正式名称は「10円カレーチャリティ」ですが、「10円カレーの日」という愛称で長く親しまれてきた所以がここにあります。
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