大腸全摘出手術の影響と生活の変化を解説します

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大腸全摘出って何?
大腸全摘出とは、潰瘍性大腸炎や大腸癌などの治療のために、大腸をすべて切除する手術のことです。
手術後の生活はどうなるの?
手術後は排便回数が増加しますが、ほとんどの患者が日常生活に大きな制限はなく、妊娠や出産にも影響は少ないです。

大腸全摘出手術の概要と必要性

大腸全摘出手術は、潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸癌などの疾患に対して行われる外科的治療の一つです。この手術は、大腸をすべて取り除くことを意味し、患者の生活に多大な影響を及ぼすことがあります。そもそも、なぜこの手術が必要とされるのでしょうか。

潰瘍性大腸炎の場合、内科的治療が効果を示さない場合や、癌が発見された場合、手術が検討されます。手術を行うことで、炎症や癌のリスクを軽減し、患者の生活の質を向上させることが期待されます。例えば、広島大学の研究によると、潰瘍性大腸炎の患者のうち5〜25%が手術を必要としています。手術により、長期的な症状の改善が見込まれるため、選択肢として重要視されています。

手術の流れと入院期間

大腸全摘出手術は通常、2回に分けて行われます。最初の手術では、大腸を全て切除し、小腸の一部を使って便を貯める袋(回腸嚢)を作り、人工肛門を設置します。これにより、便が肛門から直接排出されることを防ぎ、術後の回復を助けます。

手術の流れは以下の通りです:

  1. 大腸全摘出
  2. 回腸嚢の作成と肛門との吻合
  3. 一時的な人工肛門の設置

手術後は、通常2週間程度入院し、その後自宅療養を経て、約3ヶ月後に社会復帰が可能となります。緊急手術の場合は、手術が3回に分けられることもあり、社会復帰までに5ヶ月程度かかることがあります。

手術後の経過と生活への影響

手術後、患者は排便回数が増加する傾向があります。大腸は水分を吸収する役割を持っているため、全摘出後は便が水分を多く含むことになり、排便回数が1日6〜8回に増えることが一般的です。しかし、肛門括約筋は残されているため、便意を我慢することができ、生活の質は向上します。

術後の生活に関する調査では、手術を受けた患者の90%以上が日常生活に大きな制限がないと報告しています。食事制限も基本的にはなく、通常の食事に戻ることが可能です。ただし、便の状態が泥状になるため、時折漏便の問題が発生することもあります。

手術後の注意点と合併症

大腸全摘出手術には、いくつかの合併症が伴う可能性があります。代表的なものには、以下のようなものがあります:

  • 出血
  • 感染症
  • 縫合不全
  • 腸閉塞

これらの合併症は、手術後の回復に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。また、術後には定期的なフォローアップが必要であり、医師の指示に従って生活を続けることが重要です。

妊娠と出産に関する考慮

潰瘍性大腸炎の患者が大腸全摘出手術を受けた場合でも、妊娠や出産に対する影響は少ないとされています。多くの研究によれば、手術が妊娠や出産の妨げになることはなく、通常の経膣分娩も可能です。妊娠中のリスクも通常の妊娠と変わらないことが示されています。

まとめと今後の展望

大腸全摘出手術は、潰瘍性大腸炎やその他の疾患において重要な治療法です。手術を受けることで、長期的な症状の改善が期待され、患者の生活の質が向上することが多いです。手術後は一定の生活の変化があるものの、多くの患者が日常生活に戻ることができ、妊娠や出産にも影響がないことが確認されています。

以下に、この記事で触れた内容を整理した表を示します:

項目 内容
手術の目的 潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸癌の治療
手術の流れ 大腸全摘出 → 回腸嚢作成 → 人工肛門設置
入院期間 通常2週間、社会復帰まで約3ヶ月
術後の排便回数 1日6〜8回
合併症 出血、感染症、縫合不全、腸閉塞
妊娠・出産への影響 通常の妊娠と同様

大腸全摘出手術を受けることは大きな決断ですが、適切な情報と医療サポートを受けることで、より良い生活を送ることが可能です。