岡山大学が頭頸部がん治療と口腔機能の関係を解明、11月20日発表予定

研究成果発表

開催日:11月20日

研究成果発表
岡山大学の研究で何が明らかになったの?
頭頸部がん治療が口腔機能の低下を介して生活の質(QoL)を低下させることが明らかになったよ。
がんサバイバーにとって口腔機能のリハビリは重要なの?
口腔機能のリハビリは、がん治療後の生活の質を改善する可能性があるから、とても重要なんだ。

岡山大学の新たな研究成果

2025年1月3日、国立大学法人岡山大学は、頭頸部がん治療と口腔機能の低下、そして生活の質(QoL)との関係を明らかにする研究成果を発表しました。この研究は、頭頸部がん治療後のがんサバイバーにおける口腔機能の重要性を示唆しており、今後の治療法やリハビリテーションの方針に大きな影響を与える可能性があります。

研究グループは、岡山大学学術研究院医歯薬学域の横井彩助教と江國大輔教授、さらに宝塚医療大学の森田学教授が共同で行いました。この研究は、2024年11月20日に欧州の科学雑誌「Supportive Care in Cancer」に掲載される予定です。

【岡山大学】頭頸部がん治療と、口腔機能の低下、QoLとの関係を明らかに~歯科受診はがんサバイバーの未来を明るくする!~ 画像 2

研究の背景と目的

近年、医療技術の進歩により、がん治療を受けた後も、仕事や趣味を楽しむ「がんサバイバー」が増加しています。これまでの研究では、頭頸部がん治療ががんサバイバーのQoLに影響を与えることが知られていましたが、具体的なメカニズムについては不明でした。

今回の研究では、頭頸部がん治療が直接的にQoLを低下させるのではなく、口腔機能の低下(口が開きにくい、しゃべりにくい)を介してQoLに影響を与えることが明らかになりました。この結果は、治療後の口腔機能を改善するリハビリがQoLの向上に寄与する可能性を示唆しています。

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口腔機能の重要性

口腔機能は、食事やコミュニケーション、さらには全身の健康にまで影響を及ぼします。特に、頭頸部がんの治療を受けた患者にとって、口腔機能の低下は重大な問題です。治療後に口腔機能を改善するためのリハビリを受けることが、がんサバイバーのQoLを向上させる可能性があることが示されています。

現在、歯科医療の分野では、口腔機能を改善するための取り組みが進められています。特に、オーラルフレイル対策としてのリハビリは、頭頸部がんサバイバーにとって重要な治療法となるでしょう。

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研究の具体的な成果

研究の結果、頭頸部がん治療後の口腔機能がQoLに与える影響が明らかになりました。具体的には、以下のような点が指摘されています。

  • 頭頸部がん治療後に口腔機能が低下することが、QoLの低下に繋がる。
  • 口腔機能を改善するリハビリにより、治療後のQoLが改善される可能性がある。
  • 定期的な歯科受診が、がんサバイバーにとって重要である。

これらの成果は、がんサバイバーがより良い生活を送るための重要な情報となります。特に、がん治療後の口腔機能のリハビリは、患者の生活の質を向上させるために欠かせない要素であることが示されています。

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横井彩助教のコメント

研究を行った横井彩助教は、定例記者会見において次のように述べています。「がん治療を受ける患者さんに、歯科受診の重要性を理解してもらうことが大切です。実際に歯科受診を終えた患者からは、口の中がさっぱりしたと喜んでもらえることが多く、これが歯科医療の力だと感じています。」

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研究の今後の展望

この研究は、がんサバイバーのQoL向上に向けた新たなアプローチを示しています。今後、より多くの研究が行われ、具体的なリハビリテーションプログラムの開発や、歯科医療の重要性が広く認識されることが期待されます。

また、研究成果は、がん治療を受けた患者が口腔機能を改善するための手助けとなるでしょう。定期的な歯科受診を通じて、がんサバイバーがより良い生活を送るための基盤を築くことができると考えられます。

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論文情報

本研究に関する論文は、以下のように発表されています。

論文名 Relationship among cancer treatment, quality of life, and oral function in head and neck cancer survivors: A cross-sectional study
掲載紙 Supportive Care in Cancer
著者 Aya Yokoi, Takayuki Maruyama, Reiko Yamanaka, Noriko Takeuchi, Daisuke Ekuni
DOI https://doi.org/10.1007/s00520-024-09015-y
URL https://link.springer.com/article/10.1007/s00520-024-09015-y

この研究結果は、今後の医療現場において、がんサバイバーのQoL向上に向けた重要な指針となるでしょう。定期的な歯科受診の重要性を再認識し、がん治療後の生活をより豊かにするための一助となることが期待されます。

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まとめ

岡山大学の研究により、頭頸部がん治療と口腔機能、QoLとの関係が明らかになりました。以下に、研究の主要なポイントをまとめます。

研究の主要ポイント 内容
頭頸部がん治療の影響 口腔機能の低下を介してQoLを低下させる
リハビリの重要性 口腔機能を改善することでQoLが向上する可能性
定期的な歯科受診の推奨 がんサバイバーにとって口腔機能を維持するために重要

この研究は、がんサバイバーの今後の生活において、口腔機能の重要性を再認識させるものとなりました。今後の研究と実践を通じて、より多くの患者がその恩恵を受けられることが期待されます。

参考リンク: